
クラシック音楽には動物をテーマにした音楽が数多くあります。登場してくる動物たちも身近な犬や猫から狼などまで様々です。作曲家たちは自分が感じたままにそれを五線譜に残しました。
作曲された時代もバロック音楽から現代音楽まで長い年月にわたっています。作曲家にとっては格好の題材だったのでしょう。同じ動物でも作曲家によって描写の違いがあるのも面白く聴く事が出来ます。
ベートーヴェンの「田園」にもナイチンゲールやカッコウが登場しますが、今回はそういう使い方ではなく、動物そのものをテーマにした音楽を取り上げます。


サン=サーンス『動物の謝肉祭』
00:00 序奏とライオンの行進
02:11 おんどりとめんどり
02:57 らば
03:35 亀
05:06 象
06:29 カンガルー
07:26 水族館
09:34 耳の長い登場人物
10:36 森の中で鳴くカッコウ
12:56 大きな鳥かご
14:10 ピアニスト
15:44 化石
17:04 白鳥
19:24 フィナーレ
上記のように次から次へと動物が登場してくる楽曲です。『動物学的大幻想曲』というサブタイトルが付いています。人間(ピアニスト)の楽譜には「わざとヘタクソに」との注意書きがあったり、生き物ではない化石が出て来たりと面白い構成です。
20分程度の短い曲ですが、面白く聴けるので本当にアッという間に終わってしまう感じがします。
ショパン『子犬のワルツ』
動物をテーマにした音楽で真っ先に頭に浮かんだのがこの曲でした。子犬がじゃれついている映像が見えるようです。
流石はショパン!ピアノでの可能性を最大限に発揮しています。犬好きな方にはたまらない1曲かと思います。
プロコフィエフ『ピーターと狼』
子供のために作られたナレーション付きの音楽です。音楽版の絵本といったところでしょうか。登場するのは人間(ピーター、おじいさん)、小鳥、アヒル、猫、狼で、それぞれ演奏される楽器が決まっています。
ストーリーは簡単に言ってしまうとピーターの狼退治のお話です。子供を飽きさせない様々な工夫が凝らされています。
シベリウス『トゥオネラの白鳥』
交響詩集『レンミンカイネン組曲』(4つの伝説曲)の第2曲目の音楽です。トゥオネラ川を泳ぐ白鳥のイメージを描いた作品です。
静まり返った水面に白鳥が泳ぐ姿がイングリッシュホルンで演奏されます。とても綺麗な澄んだ音楽です。
リムスキー=コルサコフ『くまんばちの飛行』
オペラ『サルタン皇帝』の第3幕で、主人公のグヴィドン王子が魔法の力で蜂に姿を変え、悪役の2人の姉妹を襲う場面で使われる曲です。熊蜂の羽音を模した親しみやすい曲調もあって広く知られています。
演奏者のテクニックを披露するために、ピアノ、ヴァイオリン、ギターなどの独奏に編曲されて親しまれています。
レスピーギ 組曲『鳥』
00:00 前奏曲
03:00 鳩
07:31 めんどり
10:34 ナイチンゲール
14:26 カッコウ
鳥の中からどうして鳩、めんどり、ナイチンゲール、カッコウの4種類だけを選んだのでしょうか。
4曲とも原曲は17世紀のものが使われています。この4種類に作曲家は創作する意欲を見出したのでしょうね。
ドビュッシー『金色の魚』
「金色の魚」とは金魚ではなく、ドビュッシーの書斎に飾ってあった日本の漆器盆に金粉で描かれた錦鯉の事です。
ドビュッシーはその錦鯉の絵柄に触発されてこの楽曲を作りました。流石は印象派の巨匠です。
アンダーソン『ザ・ワルツィング・キャット』
本当に猫がワルツを踊っているような可愛らしい楽曲です。ヴァイオリンによる猫の鳴き声が至る所に出てきて、猫好きには最高の音楽!
最後は犬に吠えられて逃げ出してしまいます。アンダーソンの作品はユーモアに満ち溢れている作品が多くあります。
ヴォーン・ウィリアムズ 『揚げひばり』
「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス」というサブタイトルが付いています。牧歌的な雰囲気の田舎に揚げひばりが空高く飛んで鳴いている様子が描写されています。
ひばりはヴァイオリンの独奏で心に染みてくる音楽です。癒し系の音楽になっています。
ヨーゼフ・シュトラウス ワルツ『オーストリアの村つばめ』
小説家のアウグスト・ジルバーシュタインによる長編大衆小説「オーストリアの村つばめ」に着想を得て作曲されました。
つばめの鳴き声が木管楽器や鳥笛で模倣されており、村つばめが訪れる初夏のウィーンの自然を表現した牧歌的な作品です。


まとめ
作曲家によって様々な動物の表現の仕方があり、個性がよくわかります。1曲だけ昆虫がありますが、生き物という点でお許しを。有名な曲なのでぜひとも取り上げたかったのです。
動物にちなんだ作品はもっと数多くあります。そのほかはご自分で探してみてください。クラシック音楽でもここに紹介したような表現が可能なのです。