クラシック音楽・オーケストラの総合情報サイト

交響曲第1番

ベートーヴェンの最初の交響曲は彼が29歳の時に作曲されました。ピアニストとして、ある程度名が売れ、作曲家としても名を成そうと努力を重ねている時の作品になります。交響曲は作曲家としては最も力を入れる作品ですが、ベートーヴェンも独自色を出そうと挑戦しています。

しかし、まだまだ、ベートーヴェンの独創性は感じられなく、ハイドンやモーツァルトの古典派の影響を大きく受けている作品となっています。ピアニストとしての評価ではなく、作曲家としての評価をさらに高めるために重要な作品だったとも言えます。

最初の交響曲ですから当然気合も入っています。記録を見ると、当時では斬新的な音楽と捉えられていたようですが、現在の我々からは、古典派・ハイドンの亜流としか感じられないものがあります。駄作ではないが、合格点の音楽と言ったら納得して貰えるでしょうか。

ベートーヴェン最初の交響曲

ベートーヴェンはハイドンの弟子だった時期があります。ハイドンの弟子になり1年間で習作を245曲も作りましたが、ハイドンが見たのはたった42曲だけでした。ハイドンは指導者としては不向きな人だったのです。ベートーヴェンがハイドンからは何をも学ばなかったという事は本当でした。

ウィーンまで出てきたベートーヴェンはまず食べるためにピアノの先生になります。ハイドンの弟子という肩書はこの時に役に立った事でしょう。良家の子女向けの先生となり、いくばくかの稼ぎをえます。そうして、暮らしている間に自身が作曲した楽曲も少しずつ増えてきます。

『交響曲第1番』を作曲していた頃には、ピアノソナタ10曲と弦楽四重奏曲6曲が出来上がっていたぐらいです。ベートーヴェン29歳の作品になります。交響曲と言う総合力を評価される楽曲を世に問うベートーヴェンもおそらく緊張していた事でしょう。満を持しての公開だったと思います。

『交響曲第1番』の音楽

9つの交響曲のうち、『第1番』はハイドン、モーツァルトなどの古典派の作曲技法を受け継いで作曲されました。古典的な様式美を踏襲しつつも力強い音楽で、ベートーヴェンらしさが垣間見れる作品でもあります。しかし、まだ古典派の壁を破るほどの勢いはありませんでした。

傑作とか名称を付ける事は憚りますが、ベートーヴェンの自由な雰囲気が思いのほか出ていて、この時期でもうこんな交響曲が作曲出来るとはやはり、天才だったのだと思います。楽曲自体はまだまだですが、聴いていて次に繋がっていく上手さが出ていると思います。

ベートーヴェン『交響曲第1番』曲目解説

構成自身は交響曲の伝統通り4楽章です。開始からしてハ長調。ハ長調で始まる交響曲はなかなか珍しいものがあります。第1楽章の冒頭からして面白い入り方をします。ハイドンの交響曲より出来の良いものを作ってやるというベートーヴェンの意気込みが感じられます。

良く聴いてみると、至る所にそうした箇所が散りばめられており、4楽章通じて聴いてみると、風格さえ感じられる時があります。ベートーヴェンの交響曲の第1作目としては非常に意欲的で、当時としては今の現代音楽のように聴こえたのかもしれません。

第1楽章

とても個性的な序奏で入っていきます。初めての交響曲の冒頭だからこそ、ベートーヴェンは何かやりたかったに違いありません。そこで、こういう和音を持ってきたのです。ゆっくりと調性を探るような感じですすみ、次第にハ長調に入っていきます。

この主題はモーツァルトの「ジュピター」交響曲の第1楽章の主題と似ていると言われていますが、この『第1番』の方が、よりリズミカルで可愛らしい感じがします。第2主題はオーボエとフルートが和やかに掛け合いをするような楽しげなものです。

第2楽章

第2ヴァイオリンによる穏やかな第1主題で始まります。その後、これを模倣するように進んでいきます。この主題はモーツァルトの『交響曲第40番』の第2楽章の冒頭と似ていると言われています。第2主題は途中に休符を挟みながら上下する独特な流動感を持っています。

暫くして、ティンパニが聴こえてきます。展開部はそれほど長くなく、第2主題の展開で始まります。ここでも、ティンパニが効果的に使われています。しばらくして第2ヴァイオリンに第1主題が表れ再現部になります。ベートーヴェンがこういうイメージの曲を書くとは意外です。

第3楽章

最初の主題は,クレッシェンドしながら音階を上って行くようなエネルギーの強さを感じさせるものです。この楽章自体、ベートーヴェン得意のスケルツォとなっています。強弱の対比,レガートとスタッカートの対比などダイナミックなものになっています。

第4楽章

断片的な動機が発展して主題が生まれていく手法は、交響曲第5番や交響曲第9番の第1楽章冒頭でも用いられています。ベートーヴェンのセンスが光ります。序奏後のロンド風の主部は、ハイドンを思わせる明るいメロディです。最後は明るい活気あるメロディで終曲します。

まとめ

ベートーヴェン最初の交響曲は見事思惑通り、無事完成しました。古典的要素どっぷり包まれた音楽でもありますが、結構ベートーヴェン独自色にも含まれた音楽でした。ハイドン、モーツァルトを意識してわざと古典的に見せる、つまり模倣するような事もやっています。

第1交響曲からこういう遊びが出来るのですから、やはりベートーヴェンは凄かったのですね。この後、どんな交響曲を作るのかを我々は知っていますからこう言えますが、当時のベートーヴェンにすれば、これで満足していたのでしょう。

関連記事