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交響曲第2番

ベートーヴェンの交響曲は第1番、第2番を除いてはどれも特徴ある交響曲ですので、書くべきキーワードを持っていますが、いかんせん最初の2曲については、影の薄い楽曲で、どういうスタンスでこれらの交響曲を紹介しようか迷うものがあります。

『第3番』のように殻を飛び出した楽曲であるならばいくらでもネタは尽きませんが、この初期の2曲は古典派の殻さえも破っていないで、まだまだ古典派の中に浸っている交響曲です。交響曲第2番が違っているところを考えると、ハイリゲンシュタットの遺書を書こうとしていた事です。

ハイリゲンシュタットの遺書を書こうとしていたその時にこの『第2番』は書かれているのです。悩んでいる最中の音楽であるという事を、頭に置いておかないといけません。ピアノソナタに目をやってみると「テンペスト」と同時期に作られている事。これがこの交響曲の要だと思います。

ベートーヴェン『交響曲第2番』概要

交響曲の『第1番』が18世紀の総括だとすれば、『第2番』は明らかに19世紀への新しい一歩を踏み出した音楽と言えるでしょう。まだ、ハイリゲンシュタットの遺書は書いていませんが、その中に書こうとしていた思いが伝わってくる内容です。

「私は今後新しい道を進むつもりだ」と明言して生み出された「テンペスト」を含む作品31のソナタは、この『第2番』と同じ1802年に作曲されています。第1番とは明らかに違うステージに向かおうと所いている彼の姿がそこに感じられます。

『第2番』の中から暗く沈んだものを発見する事は出来ません。ハイリゲンシュタットの遺書のようなイメージは感じられません。これが何を意味しているのか、少なくともこの曲を作曲している時には、心の中には絶望はなかったという事でしょう。

この時期のベートーヴェン

耳の疾病という点を除けば、この時期のベートーヴェンには何のマイナス要因もありません。というより、むしろ恵まれていた時期だったようです。カール・リヒノフスキー侯爵との出会いがあり、1800年から1806年までの間、侯爵はベートーヴェンを経済的に支援します。

また、ハイリゲンシュタットは自然に囲まれた穏やかな環境でした。『第2番』はここで書かれています。「穏やかな環境で、経済的な心配もない」ことが、『第2番』の音楽に関係しているのかもしれません。私が思っていた『第2番』への考えを、改めなければならないようです。

この年の秋に書く、ハイリゲンシュタットの遺書を考えると、この時期はもっと悩んでいた状態と思っていましたが、どっちかと言えばかなり穏やかな、創作に精を出せる良い時期であったことが窺われます。その中で生まれた『第2番』だったのです。

ベートーヴェン『交響曲第2番』楽曲解説

ベートーヴェンの最も明朗で、生の喜びに満ちた才気あふれる交響曲です。中でも第2楽章ラルゲットはベートーヴェンの緩徐楽章中もっとも美しいものの一つで、ここでは全てが歌っています。これは、ベートーヴェンが古典派を抜け出そうとしているかのようでもあります。

第1楽章

『第2番』の交響曲を特徴付ける物の一つは、第1楽章の冒頭に長い序奏を持つことです。木管楽器と弦楽器が叙情的に対話をしながら進んでいきます。様々な楽器が少しづつ絡んでいくのも聞きものです。序奏の最後にヴァイオリンが下降してきたのを受けて、低弦に第1主題が出てきます。

この歯切れの良い主題がいろいろな角度から展開されます。ハイドンやモーツァルトに模倣したようで、実はベートーヴェンが自ら作り出したものです。こういうところが、ベートーヴェンの凄さなんですね。コーダは、第1主題によるもので、楽章全体のクライマックスを華やかに築きます。

第2楽章

ベートーヴェンの交響曲の中で最も甘美な楽章の一つです。瞑想的で幻想性あふれる音楽もまたベートーベンを構成する重要な部分であり、その特徴が一つの形として結実したのがこのラルゲット楽章なのです。苦悩に立ち向かうばかりがベートーヴェンではないのです。

第3楽章

後半の2つの楽章は、第2楽章とは対照的に躍動感に溢れています。第3楽章はベートーヴェンの交響曲の中で始めて登場したスケルツォ楽章です。当時は3楽章では、メヌエットが常識でしたので、ベートーヴェンの革新性を示していると言えます。

フォルテとピアノ、低音と高音がいろいろな楽器で点描的に出てくる、独特のユーモアを持った主題で始まります。スケルツォですから大変短くてユーモラスな楽章として収まっています。革新性も、まだまだ、これからを待たねばならないといった趣です。

第4楽章

鮮烈な威勢の良い主題で始まります。この主題は楽章中によく顔を出します。続いて、第1主題を中心とした展開部になります。ユーモアと劇的な効果が合わさったものです。短調になった後、また気分が明るくなり、再現部になります。

コーダはひっそりと始まり、次第に情熱的に盛り上がり、華やかに、そしてベートーヴェンらしくちょっとしつこく、終曲します。とても、活発で、愉快な気分の曲になっています。いずれにしても、とても上機嫌なベートーヴェンちょっと驚きです。

まとめ

『第2番』は『第1番』と同じように、古典的なおとなしい作品だと思っていましたが、意外や意外、アルコールが入っているような、愉快な楽曲でした。しかし、まだまだ、ベートーヴェンとしての独自の主張は、以降の交響曲と比べると雲泥の差があります。

この『第2番』を足掛かりにして、『英雄』以降の大プロジェクトを立ち上げていきます。この頃はまだ、その仕込みをやっている最中という感じです。精神的にも発展するのは、この次の年からになります。全てを一変させる前のかすかな灯のような交響曲でした。

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