
世界一のオーケストラはどこかと聞かれたら、迷わずにベルリン・フィルと答えます。“上手い”でも世界一。“儲かっている”でも世界一。“運営がしっかりしている”でも世界一。当然知名度でも世界一!どのような角度から見てもベルリン・フィルは輝けるNO.1なのです!!
クラシック音楽界の帝王と呼ばれるカラヤンを始め、超一流の演奏家だけが代々ベルリン・フィルという世界一のオーケストラを牽引してきました。今後キリル・ペテレンコが率いるベルリン・フィルもその伝統と輝きを保ち続けてくれるでしょう!
世界一のオーケストラと呼ばれるベルリン・フィルの何が凄いのかをもっともっと知って欲しいと思います。他のオーケストラとは違っている事や”ここが凄い”と思われる事を紹介していきます。読後に“だから、ベルリン・フィルハーモニーは世界一なんだ”と納得し頂けたら幸いです。
オーケストラのメンバーが凄い
プロオーケストラは、幼少期から心血を注いで楽器の腕を磨いてきたプライド高き奏者たちの集団です。しかし、単に超一流プレーヤーを集めただけではコンスタントに超一流の演奏ができるわけではありません。”ベルリン・フィル”という名前が特別な輝きを放っているのはなぜでしょう。
クラシック音楽界の世界的軍団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。コンクール優勝者など一流のプレーヤーたちが集まり、世界一のオーケストラとも称される名門中の名門です。ベルリン・フィルは世界最高峰と思わせるだけのブランド価値を持っています。
やはり、一番の理由はオーケストラ全員がソリスト級の腕を持ったオーケストラという事実です。有名なコンクールの優勝者、入賞者がたくさん在籍しています。その人たちが楽曲を一緒に練習し、目と目で会話しながら”あうんの呼吸”を作っているのですから、上手いのは当たり前です。
歴代音楽監督が凄い
ベルリン・フィルの音楽監督は時には首席指揮者とか芸術監督と呼ばれることもあります。呼び方はさておき、歴代音楽監督は世界的レベルの人ばかりでした。オーケストラが成立して140年近く経ちますが、その間の音楽監督数はわずか11人しかいません(次期音楽監督ぺテレンコ含む)。
- ルートヴィヒ・フォン・ブレナー(1882年-1887年 常任指揮者)
- ハンス・フォン・ビューロー(1887年-1892年 常任指揮者)
- アルトゥル・ニキシュ(1895年-1922年 常任指揮者)
- ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1922年-1945年 常任指揮者)
- レオ・ボルヒャルト(1945年 常任指揮者)
- セルジュ・チェリビダッケ(1945年-1952 常任指揮者)
- ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1952年-1954年 終身指揮者)
- ヘルベルト・フォン・カラヤン(1955年-1989年 終身指揮者・芸術監督)
- クラウディオ・アバド(1990年-2002年 首席指揮者・芸術監督)
- サイモン・ラトル(2002年-2018年 首席指揮者・芸術監督)
- キリル・ペトレンコ(予定)(2019年- 首席指揮者・芸術監督)
オーケストラによって自分たちの売りは様々だと思います。ブランドイメージを何にするかは非常に大切なことです。ベルリン・フィルは、一人の指揮者がオケの”顔”となって個性を強く打ち出してきました。2019年8月に就任するぺトレンコにはその意味でもとても期待しています。
客演指揮者が凄い
ベルリン・フィルに招待される指揮者たちも世界的指揮者ばかりです。音楽監督とはまた違った魅力を持っている指揮者たちで、オーケストラにとってもとても勉強になる指揮者たちかと思います。音楽監督に鍛えられ、客演指揮者からも様々に学べるのですから超一流に磨きがかかります。
小澤征爾、サイモン・ラトル、リッカルド・ムーティ、クラウディオ・アバド、ズビン・メータら、錚々たる顔ぶれです。それプラス一流のソリストたちが演奏するのですから、盛り上がって当たり前です。興行収入的にもプラス確実。まったく凄いオーケストラです。
時折、若手の有望株の指揮者にも機会を与えています。実際に指揮させてみて、その実力をチェックしているのです。こいつは大丈夫だとオーケストラ側から思われれば、また呼んでもらえます。こうやって少しずつ指揮者の腕試しをさせて、自分たちに合う指揮者を絶えず探しているのです。
オーケストラ自身が全てを決める
大抵のオーケストラは、理事会や事務局がオーケストラの上部団体として存在し、音楽監督や団員の入団などの決定権を持っていますが、ベルリン・フィルは全ての事を団員全員で決めます。団員の入団決定についても、音楽監督でさえ団員と同じ一票を持つだけです。
音楽監督を決めるのもオーケストラの団員一人一人が一票を持ち、投票で決定します。団員の二人が責任を持つリーダーとして存在し、その二人の進行の元、何でも話し合い、最後は投票で決定する仕組みを作っています。他のオーケストラにないシステムです。
リーダーの一人はこう言っています。”オケに関わるすべてのことについて意見を主張し、責任を担うという伝統があるのは、ベルリン・フィルの強み。このオケが高い地位と水準を保つことができている理由です”。ベルリン・フィルは”自主性”を重んじるオーケストラなのです。
個性の強いオーケストラ
ベルリン・フィルは、組織としてだけではなく、音楽的にも”自主的”です。他のオーケストラというのは、きちんと序列が決まっていていますが、ベルリン・フィルは第一コンサートマスター二人と、アシスタントコンサートマスター一人以外すべて同じ序列になっています。
例えば、オーケストラの後方で演奏している奏者であっても、並びに関係なく積極的に音楽に食らいついていきます。それが生み出す音の厚みと推進力は、ベルリン・フィルにしか出来ないものでしょう。このために、ベルリン・フィルの音楽は素晴らしいものとして受け入れられるのです。
第一コンサートマスターの一人である樫本大進はこう語っています。”すごくわかりやすいんです。色々ランクづけしないで、みんなでやるっていう感覚ですね。この形が可能なのは、一人一人が一流だからこそ。そうでなければ無理です”。
社会活動にも積極的
音楽は“贅沢品”ではなく、基本的な“必需品”である・・こうした考えの元、前任の音楽監督サイモン・ラトルが就任してからいち早く取り組んだのが、教育プログラム部門の立ち上げでした。オーケストラが出来る、子供たちの音楽教育に対して様々な事を打ち出しました。
例えば、毎年行われている”ダンス・プロジェクト”は、200人以上の青少年がベルリン・フィルの演奏をバックにダンスの舞台に立ち、クラシック音楽の楽しさと舞台を作り上げる面白さを体験するというものでした。これは『ベルリン・フィルと子どもたち』という映画になりました。
この他にも、様々な社会的背景の子供たちを対象に、参加型のワークショップなどを開催しています。長期的に見て、こうした活動が幅広いファン層を築くことになります。さらに、ベルリン・フィルは2007年に芸術団体として初めてユニセフ親善大使に任命されています。
世界一のネット配信始まる
ベルリン・フィルは新メディアに対しても力を入れています。2009年1月に”デジタル・コンサートホール”を開始しました。インターネットを利用して、年間30回程度のコンサートを同時配信しています。世界のどこでもベルリン・フィルの演奏を楽しめるようになりました。
アーカイブ化もされているので、好きなときにオンデマンドで視聴することも可能です。料金は月額で14.9ユーロ(約1500円)、年間で149ユーロとなっています。現在、契約している有料会員は世界で23万人とのことです。今後増えていくものと思われます。
このサービスはインターネットの普及によることが最大の理由です。しかし、このことが可能なのは、やはりオーケストラの高い技量があっての事です。ベルリン・フィルが、これだけの回数の生演奏を後世に残しても大丈夫と言えるだけ演奏レベルに自信があるからこそ出来る事です。
まとめ
ベルリン・フィルの”凄さ”を知って頂けたでしょうか。そして、なぜベルリン・フィルが世界一を続けていられるのかを理解しても頂けたかと思っています。スーパースターのオーケストラが一丸となっていれば、こんな事が出来るという素晴らしい見本です。
彼らは序列にとらわれず、自分の精一杯の事をこなしているだけにすぎません。でも、その意欲とか情熱などは他のオーケストラより強いのだと思います。だからこそ、世界を感動させる音楽が演奏できるのだと思います。ベルリン・フィルは今後も期待して聴いていきたいと思います。