20世紀最高の指揮者は誰か?クラシック音楽に興味を持つ方なら必ず一度は考えた事があると思います。20世紀前半から活躍した指揮者が次々と頭をよぎって行く事でしょう。トスカニーニ、フルトヴェングラー、ワルターなど20世紀前半に活躍した指揮者たち。

そして、カラヤン、バーンスタイン、C・クライバーなど20世紀後半を彩った指揮者たち。その中での本当のナンバーワンは誰なのか、興味深々です。偉大な指揮者が多く、本当に難しい事ですが、指揮者1人1人を吟味していく事は、自分の耳を鍛える事でもあります。

クラシック音楽にも時代の流行と言う物もあり、また20世紀前半の指揮者は残っている録音がモノラルというハンデもあります。それらを超えて、素晴らしさが伝わってくる本当の巨匠は誰なのか、これからじっくりと見ていきたいと思います。

ランキング基準

  1. 20世紀に活躍している
  2. 時代を超えるような名演奏を残している
  3. 判断に必要な多くの録音を残している
  4. カリスマ性を持っていた
  5. 既に亡くなっている
皆が感動した指揮者を探すのですね。
要は名指揮者だったかどうかじゃな!!

第10位 ハンス・クナッパーツブッシュ

歴史的 指揮者

名前:Hans Knappertsbusch
生誕・死没年:1888年3月12日~1965年10月25日
出身国:ドイツ
略歴

大学はボン大学。学科は哲学科。しかし、同時にケルン音楽院にも通い、指揮を学び、両方の大学とも卒業。1922年、バイエルン国立歌劇場音楽監督に就任。ウィーン・フィルとも良好の関係になるが、ナチス政権の元、バイエルンの職を解かれる。戦後、1951年からバイロイト音楽祭の常連として活躍した。

ハンス・クナッパーツブッシュと言えば、なんといってもワーグナーとブルックナーの大家として知られています。残されている録音の中で、『ワルキューレ』第1幕とブルックナー『交響曲第8番』を聴くだけで、彼がどんなに凄い指揮者だったかを窺い知る事が出来ます。

第9位 エフゲニー・ムラヴィンスキー

歴史的 指揮者

名前:Evgeny Aleksandrovich Mravinsky
生誕・死没年:1903年6月4日~1988年1月19日
出身国:ロシア帝国
略歴

1920年、ペトログラード大学に入学し、生物学を専攻。1924年、レニングラード音楽院に入り直し作曲と指揮を学ぶ。1938年、全ソ指揮者コンクールに優勝。レニングラード・フィルハーモニー交響楽団の常任指揮者に就任。以後、半世紀にわたってこの地位に君臨する。

独裁的な指揮者として、1番目に挙げられる指揮者だと思います。20世紀前半の巨匠指揮者はほとんどが独裁的でしたが、彼ほどの人はいませんでした。しかし、そのお陰で、レニングラード・フィルは世界的オーケストラに発展しました。ロシア物だけでなく、古典派も得意でした。

第8位 カルロ・マリア・ジュリーニ

歴史的 指揮者

名前:Carlo Maria Giulini
生誕・死没年:1914年5月9日~2005年6月14日
出身国:イタリア
略歴

最初はヴィオラ奏者から出発。1953年、ミラノ・スカラ座の音楽監督。1969年、シカゴ交響楽団の首席客演指揮者。1973年、ウィーン交響楽団の首席指揮者。1978年、ロサンジェルス・フィル音楽監督。ロス・フィルを辞めた後はフリーとして、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルなどに著名なオーケストラとの客演、録音を繰り返す。

ロス・フィル、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、シカゴ交響楽団などのオーケストラとの録音はとてもレベルの高いものが多くあります。中でも『新世界』やブルックナーの後期交響曲、ブラームス全集、マーラー『交響曲第9番』などは名盤です。

第7位 ジョージ・セル

歴史的 指揮者

名前:George Szell
生誕・死没年:1897年6月7日~1970年7月30日
出身国:オーストリア=ハンガリー帝国
略歴

わずか3歳からウィーン音楽院でピアノ、指揮、作曲を学ぶ。11歳で自作を弾いてピアニストデビュー。16歳でウィーン交響楽団を指揮して指揮者としてもデビュー。プラハ国立歌劇場音楽総監督も務める。1946年からクリーヴランド管弦楽団の常任指揮者。クリーヴランド管弦楽団を世界的オーケストラに鍛え上げ、アメリカBIG5までに押し上げる。

「完璧主義者」と呼ばれた指揮者。ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンら古典派の作品は評価が高いものがあり、また、シューベルト、シューマン、ブラームス、R.シュトラウス、ドヴォルザークなどのロマン派の演奏にも優れています。録音にも名盤と呼ばれるもの多数。

第6位 アルトゥーロ・トスカニーニ

アルトゥーロ・トスカニーニ

名前:Arturo Toscanini
生誕・死没年:1867年3月25日~1957年1月16日
出身国:イタリア
略歴

チェロ奏者としてスタートしたが、突然のきっかけで指揮者に転向。その後、ミラノ・スカラ座、ニューヨーク・フィルやメトロポリタン・オペラの監督など務めた。戦争の影響で引退を余技されたが、アメリカの石油会社が彼のためのNBC交響楽団を作り、現役復帰。以後、このオーケストラとの名演を次々と残す。

「楽譜に忠実な」演奏というものを実践した最初の人と言われていますが、その彼でさえ、楽譜に手を入れて演奏していました。当時はそれが許されている時代だったのです。しかし、NBC交響楽団との一連の録音は名演が多数残されています。テンポが異常に早い演奏をした指揮者でした。

第5位 ブルーノ・ワルター

ブルーノワルター 指揮者

名前:Bruno Walter
生誕・死没年:1876年9月15日~1962年2月17日
出身国:ドイツ
略歴

1894年にケルン市立歌劇場でデビュー。1901年にマーラーの招聘によってウィーン宮廷歌劇場の副指揮者、後に楽長となる。著名な歌劇場の音楽監督を歴任した後、ナチスの台頭で1939年アメリカ移住。アメリカ移住後はポストには就かず、フリーな立場で活躍。戦後はヨーロッパ楽壇に復帰し、ウィーン・フィルなどを指揮した。

ワルターのモットーは「常に微笑を忘れずに」でした。この時代の指揮者は独裁的な人物が多かった中で、彼のリハーサルはとても丁寧なものだったようです。ワルターは、かなりの数の録音を残しています。特にモーツァルトやマーラーなどのドイツ物は非常に得意でした。

第4位 カルロス・クライバー

名前:Karl Ludwig Kleiber
生誕・死没年:1930年7月3日~2004年7月13日
出身国:ドイツ、後にオーストリア国籍を取得
略歴

デュッセルドルフ、チューリッヒ、シュトゥットガルトなどの歌劇場を経て、1968年にはバイエルン国立歌劇場の指揮者となり名声を確立する。1973年、ウィーン国立歌劇場デビュー。その後も世界の著名な歌劇場やオーケストラの指揮台に立つが、一度も特定の楽団や歌劇場と音楽監督などの常任契約を結ぶことなくフリーとして活躍した。

カルロス・クライバーほど音楽的表現のセンスがある指揮者はとても稀なのではないでしょうか。実際に彼の演奏を耳にした事があるため、よりそう感じるのかもしれません。彼の残した録音は非常に少ない数ですが、どれもが名盤の誉れ高いものです。

第3位 レナード・バーンスタイン

レナード・バーンスタイン

名前:Leonard Bernstein
生誕・死没年:1918年8月25日~1990年10月14日
出身国:アメリカ
略歴

ハーバード大学・カーティス音楽院で学ぶ。1958年、ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団の音楽監督に就任。同オーケストラの黄金時代を築く。1969年辞任後は、フリーに徹し、ヨーロッパ進出。ウィーン・フィル、イスラエル・フィル、バイエルン放送交響楽団、ロンドン交響楽団、フランス国立管弦楽団などに客演した。

フリーになってからのバーンスタインは、特にウィーン・フィルとの関係が良好で、ライヴ録音でベートーヴェン交響曲全集、ブラームス交響曲全集などの名盤を残しています。もっと早く、ウィーン・フィルとの関係が出来ていれば、もっと多くの名盤が生まれた事でしょう。

第2位 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

名前:Wilhelm Furtwängler
生誕・死没年:1886年1月25日~1954年11月30日
出身国:ドイツ
略歴

1915年マンハイム歌劇場の指揮者になり認められるようになる。1920年にベルリン国立歌劇場、1922年にはベルリン・フィル常任指揮者に就任する。戦時中はドイツに留まった事から、戦後は戦犯として裁かれ、復帰したのは1947年。1954年までベルリンフィルの終身指揮者。カリスマ性を持った巨匠として、現在でも人気の高い指揮者。

ベートーヴェン、ブラームス、ワーグナー等のドイツ物を得意としました。特徴は、故・吉田秀和の言葉を借りると、「濃厚な官能性と、それから高い精神性と、その両方が一つにとけあった魅力でもって、聴き手を強烈な陶酔にまきこんだという点」。現在でも崇拝者が多く存在します。

第1位 ヘルベルト・フォン・カラヤン

カラヤン

名前:Herbert von Karajan
生誕・死没年:1908年4月5日~1989年7月16日
出身国:オーストリア
略歴

1929年、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団を指揮してデビュー。ウルム市立劇場の指揮者を経て、1935年アーヘンの音楽総監督に就任。1948年、ウィーン楽友協会の芸術監督に就任。1956年、ベルリン・フィル芸術監督・終身指揮者就任。同年からウィーン国立歌劇場の総監督を兼任。ヨーロッパの楽壇に君臨し、「帝王」カラヤンと呼ばれるようになる。

カラヤン・レガートと呼ばれる、レガート奏法を駆使し、音響的ダイナミズムと、室内楽的精緻さという相反する要素の両立を実現しました。録音の数は膨大で、そのどれもが今でも現役盤として販売されている事が凄いです。20世紀最後の巨匠でした。
 

カラヤンの残した録音は素晴らしいものが多くあります!!
カラヤンこそ「20世紀最高の指揮者」!納得じゃ!!

20世紀最高の指揮者ランキング結果

第1位 ヘルベルト・フォン・カラヤン
第2位 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
第3位 レナード・バーンスタイン
第4位 カルロス・クライバー
第5位 ブルーノ・ワルター
第6位 アルトゥーロ・トスカニーニ
第7位 ジョージ・セル
第8位 カルロ・マリア・ジュリーニ
第9位 エフゲニー・ムラヴィンスキー
第10位 ハンス・クナッパーツブッシュ

カラヤンをランキング第1位にしました。その理由は、彼の残した膨大な録音はどれもが水準を超えたものになっており、また、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、そしてオペラまで、後世に残したい名盤も数多く、それゆえの第1位です。

カラヤン、バーンスタイン、C・クライバー、ジュリーニは実際に自分が聴いた事のある指揮者という事で、多少甘くなったかもしれません。ライナーやクーベリック、バルビローリ、ミュンシュなども正直悩みました。どの指揮者も光るものがありますが、最後は私の好みです。

そうは言っても、ランキングに挙げた指揮者たちは、皆、20世紀を代表する指揮者であり、実力はどの指揮者も素晴らしく、個性的な方々ばかりです。音楽に対する姿勢は誰もが同じであり、良い演奏をしようとする意欲が伝わって来ます。20世紀最高の指揮者に値する指揮者たちです。

まとめ

「20世紀最高の指揮者は誰か」をランキング形式で見てきました。私が思うTOP10はこのようになりました。録音をベースに選択した事で、モノラルの音質が良くないものとデジタル録音のものを比べるのは、やはりハンデがありました。その点は否定できません。

けれども、ここで選んだ10人はこのランキングに選ばれてしかるべき指揮者たちだと思っています。クラシック音楽初心者にも、古い録音もありますが、まず、これら10人の録音から聴いて欲しいと推す事が出来ます。それだけ、素晴らしい10人を挙げたつもりです。

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