高嶋ちさ子の本業はヴァイオリニストですが、現在ではバラエティ番組で歯に衣着せない発言が好評らしく、すっかりタレントとして活躍しています。

正直な話、オーケストラの定期公演に呼ばれるような方ではないため、あえて彼女についての記事は封印してきたのですが、「高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト」公演の練習風景を見て気が変わりました。

クラシック音楽にも彼女のような活動も必要な事なのではと思い直したからです。現在の高嶋ちさ子の仕事やあの強烈なキャラとなった秘密などを真面目に追ってみたいと思います。

高嶋ちさ子と言えば毒舌おばさんのイメージでしょうか。
でも、一応ヴァイオリニストでもあり、何とストラディバリウス(ルーシー)を個人所有している!

高嶋ちさ子略歴

音楽家という視点で見てみると、そのバックグランドが気になります。彼女はどんな経歴を経て、音楽家になったのでしょうか。まず、そこからスタートしましょう。

1968年8月24日東京生まれ。兄と姉がいて、ちさ子は高嶋家の次女として誕生しました。

父は音楽ディレクター・プロデューサーとして有名な方で、東芝EMI時代はビートルズ担当のディレクターとして活躍し、ビートルズ来日の立役者と言われています。

東芝EMI、キャニオンレコードなどを経て、現在では高嶋音楽事務所の代表です。父は俳優の高島忠夫の弟で、髙嶋政宏、政伸兄弟は高嶋ちさ子の従兄弟にあたります。母はピアノ教師でした。

裕福な家庭で育ったちさ子は、両親の影響もあり幼少期から音楽の英才教育を受ける事になります。5歳でピアノを始めますが、2ヶ月で挫折。6歳からヴァイオリンを始めました。こちらは彼女に向いていたようで、以降ヴァイオリニストを目指すようになります。

高嶋ちさ子の音楽経歴

ここからは、高嶋ちさ子の音楽の経歴を見ていきます。日本を代表する先生に付いて、しっかりとヴァイオリンを勉強してきたようです。そして、プロとして活躍するまで紹介します。

学生時代

学歴は青山学院初等部、青山学院中等部、桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部卒業と進み、徳永二男、江藤俊哉、ショーコ・アキ・アールに師事しました。

桐朋学園を卒業後はアメリカのイェール大学音楽学部大学院のアーティスト・ディプロマコースに留学。イェール大学音楽学部はQS音楽大学ランキングで18位に入るほどの名門ですから、非凡な才能の持ち主である事は間違いなさそうです。

修士課程修了後、1994年、ニュー・ワールド・シンフォニーに入団しました。このオーケストラはクラシック音楽のプロとしてのキャリアに備えるための若いミュージシャンのためのトレーニングアンサンブルです。

プロデビュー

1995年、父から突然日本に戻るよう言われ、「チョコレート・ファッション」というチェリストとのユニットを結成しプロデビューします。当時、東芝EMIに勤めていた父の有無を言わせぬ命令だったようです。

父は彼女に歌を歌わせ、アイドルとしてデビューさせたのでした。ヴァイオリンの演奏は間奏部分だけ。彼女にとって苦痛でしかなかったと語っています。

あの気性の持ち主ですから、2人組のユニットが成り立つはずはありません。翌年、彼女はソロとして活動するようになりました。

「めざましクラシックス」誕生

1997年、フジテレビの『めざましテレビ』で知り合った軽部真一アナウンサーと意気投合し、「めざましクラシックス」を立ち上げます。クラシック音楽に興味を持っていない人たちに、クラシック音楽の魅力を発信するコンサートを行うようになりました。

「めざましクラシックス」は現在まで続いており、全国各地でコンサートを開催、その数350回を超えるまでになっています。

「高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト」

2006年には「高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト」を立ち上げました。高嶋ちさ子と12人の女性ヴァイオリニストで構成するユニットです。

クラシック音楽ばかりではなく、トークショーとしても楽しめる、誰でも気軽に訪れ易いような活動を行っています。高嶋ちさ子のキャラクター全開のショータイムといえばいいのでしょうか。

こちらも人気を集め、彼女の仕事のメインとなりました。

経歴も一流ですし、良い先生たちにも付いて普通にヴァイオリニストになったという印象ですね。
まだ彼女の人となりの部分は書いていないからね。

高嶋ちさ子の仕事について

「めざましクラシックス」にせよ「12人のヴァイオリニスト」にせよ、クラシック音楽を身近なものにという原点から始まった仕事です。

クラシック音楽に無縁な人を如何にしてコンサート・ホールに足を運ばせるかという点では、彼女のしてきた事は評価に値します。高嶋ちさ子というビッグネームがあるために聴衆はやってくるのです。

マスコミへの登場は彼女にとって営業活動なのです。あれだけ独特のキャラクターの持ち主ですから、注目度も高まり、高嶋ちさ子という名前が全国区になっていったのでした。

その高嶋ちさ子がどんな事をするのかを楽しみに聴衆はコンサートに足を運びます。演奏も楽しみでしょうが、今日はどんな毒舌が聞けるかという興味を持ってくる方も多いと思うのです。

どんな方法であれ、実際にホールに来てくれた方は、クラシック音楽を生で聴いてくださるわけであり、オーケストラやヴァイオリンの音色の凄さに気付いてくれます。

クラシック音楽のすそ野を広げてくれている事は確かな事実です。続けていく事でリピーターも増えてくるでしょう。

我々クラシック音楽人間としては邪道にしか映りませんが、彼女のしている事はとても大事なのではないかと思い直しています。彼女のコンサートを聴いて、ひとりでもクラシックの世界へ入ってきてくれる人がいれば御の字なのです。

クラシック音楽を楽しんで貰うような努力をしているのですね。
王道ではないが、こういったアプローチの仕方もあっていいと思う。

高嶋ちさ子の夫君について

高嶋ちさ子の夫君の父はソニーの創業者のひとりである故・盛田昭夫さんの末弟で、ソニー創業者の血筋です。夫君は現在、真珠で有名なミキモトに勤めています。

出会いは友人の紹介でしたが、付き合いだした彼女は結婚するならこの人しかいないと思い、自ら積極的にプロポーズしたそうです。

当時は結婚願望が強くあり、合コンなど積極的に参加していました。たまたま知人の付き合いでミキモトに行った事が彼女の運命を変えたのです。本当に人の出会いとはわからないものですね。

当時、夫君には彼女がいたそうですが、高嶋ちさ子が「そんなの整理しよう。結婚する気がないなら、引っ張っちゃまずい。別れなさい」と言って強引に別れさせたとも告白しています。

結婚式の時、高嶋家の人間はとても喜びました。喜んだ意味が普通とは違っていて、あの気性の持ち主を貰ってくれる相手がいて良かったという安堵の喜びだったのです。結婚式までこぎつけたのだから、あとは宜しくねと清々した気持ちも含まれていました。

結婚して20年以上になりますが、夫君は今でも彼女の言いなりのようです。夫君は自分が彼女に付いていけば、家庭は円満に収まると思っているようで、仕切っているのはずっと彼女でした。

夫婦には色々な形がありますから、傍からどうこう言うつもりはありませんけれども…。

毒舌キャラとして人気者(?)に

高嶋ちさ子はどうしてあんなにもきつい性格になったのかは気になるところです。本人曰く、「家族のせい」だそうです。

バラエティに出るようになった彼女は、堂々と家族の映像を世間に見せていますが、なるほど、高嶋家の会話は罵声のオンパレードでした。ちさ子の負けず嫌いが相まってあんな性格になった事がわかるような気もします。

彼女の言うには、「とにかく兄には負けたくなかった」から、精神的に強くなり、なんでも1番でないと気が済まなくなったそうです。家庭でも、学校でも、とにかくナンバー1でなければ納得できない性格になっていったのですね。

また、姉がダウン症であった事から、姉を守るためにも強くならなくてはと思っていたところもあります。

小さい時から「女番長」のように振舞っていたようです。子供時代のあだ名は「悪魔」、「Devil」だったというのですから、想像がつきます。

その延長線上で、現在の高嶋ちさ子があるのです。誰であっても言いたいことはきっぱり言う、一切の遠慮も忖度もなし、言葉使いも乱暴、というキャラクターは高嶋家が生んだものでした。

そこにテレビ局が目を付けます。上から目線ではなく、同じ土俵の上で毒舌を吐くキャラは時代が要求しているものでした。マツコ・デラックスが重宝されているのと同様に、高嶋ちさ子もバラエティに引っ張りだこになったわけです。

しかし、時にはかわいい面も見せています。自身の言葉で大炎上すると、あの言い方は悪かった、反省しているとツイッターでつぶやいている事もあるのです。憎まれキャラを楽しんでいる反面、気にしている事もわかります。

好き嫌いがはっきりしているキャラであるので、面白い、すっきりしたという人もいるし、最低の人間と切り捨てる人もいて、結構バランスが取れているのではと思っていますが、どうでしょうか…。

負けず嫌いが強かった事があんな性格になった原因ですね。
元々持って生まれた性格が、高嶋家という家庭で強化されたのだな。

高嶋ちさ子のエピソード

何といっても、子供のテレビゲームを壊したことで一躍脚光を浴びました。この事からバラエティの常連になっていったような気がします。

2016年2月12日の東京新聞のコラムに書いた出来事。9歳の長男が「平日に任天堂DSで遊ぶのは禁止」とのルールを破ったため、6歳の次男のものと合わせて2台を壊した。
夫と結婚前にスキーに誘われた彼女は「ただのミュージシャンじゃない。スキーでも何でも付き合えるよ」と噓を付いたために上級コースに連れていかれ、スキー板にソリのように座り込み、「ごめんなさい」と叫びながらなんとか滑り降りた。
高いヴァイオリンと安いのとの区別がつかず、いつも安い方を大事そうに抱えていたADに対してイライラして「あんたこの仕事向いてない」と言い放って辞めさせた。
「12人のヴァイオリニスト」の練習。まず、それぞれの私服に激怒。ヴァイオリンを弾いていた演奏家に「遅れるなよ、ボケ」とまた激怒。凍り付く練習場の11人。
鏡にうつった自分を見て「若さや見た目の美しさでは勝負できないから、人間性で勝負だな」と独り言を言ってたら、旦那に「あんたはそれが一番汚いからね」と一言。

まだまだ、限りなくありますが、この辺でお終いにしましょう。これだけでも、高嶋ちさ子の人間性が伝わると思います。

まとめ

高嶋ちさ子は、私には理解できない女性でした。性格が悪いのか、実は優しいのか、様々な面を持っている人間であるとしか言いようがありません。

毒舌、炎上キャラがウリですから、今後も番組では変わらずに言いたい事を言い続ける事でしょう。しかし、いざ音楽の事になるとより厳しくなるのは音楽家として当然です。

ヴァイオリニストとしての高嶋ちさ子についてはノーコメントとします。どうぞ御自分で実際にお聴きになり、御判断ください。

関連記事