クラシック音楽雑誌発行部数ランキング

クラシック音楽を専門に取り扱っている月刊雑誌は昔と比べるとずいぶん増えました。私がクラシック・ファンになった40年前には吹奏楽雑誌を含めても3、4種類しかなかったと思います。それだけ、クラシック音楽がより身近になり、ファンの好みも多様化してきたのだと思います。

考えてみると、昔は音楽雑誌では老舗の出版社『音楽之友社』から発行している雑誌しかなかったのではなかったかと思います。それが今やピアノ専門誌やフルート専門誌が出版されたりと範囲が広がってきました。とても喜ばしい事と感じています。

今回ランキングするのはクラシック音楽雑誌の発行部数です。同じ発行部数の場合は、雑誌の創刊年の古い方を上位にします。あくまでもクラシック専門雑誌の月刊誌、隔月刊誌、季刊誌に限定し、臨時増刊号などは除きます。さて、結果はどうなるでしょうか楽しみです。

第10位 THE FLUTE

発行部数:2万部

出版社:アルソ出版
創刊:1992年
毎月発売日:20日
値段:1,100円

タイトル通りフルート専門誌です。クラシックに限らず、ジャズ、ポップスなどジャンルには拘っていません。フルートの息使いの方法など、吹き方講習なども載っています。フルートも人気の高い木管楽器ですから、このような雑誌も売れるのでしょう。

第9位 サラサーテ

発行部数:4万部

出版社:せきれい社
創刊:2003年
毎月発売日:隔月刊奇数月2日
値段:1,320円

バイオリン・チェロを始めとする、弦楽器ファン向けの専門誌です。弦楽器奏者のインタビューや弦楽器の習い方など、初心者から専門的な方まで楽しめる誌面作りをしています。クラシック・ファンからすれば細分化された専門誌が出版される事は大歓迎です。

第8位 音楽現代

発行部数:4万部

出版社:芸術現代社
創刊:1971年5月
毎月発売日:15日
値段:880円(税込)

1975年創刊のクラシック音楽総合雑誌です。『音楽の友』に対抗して出版したのでしょうが、部数の伸びは『音楽の友』を超える事は出来ませんでした。現在でも部数に伸び悩んでいる雑誌です。企画ものを充実させる事や写真をふんだんに使用しないとなかなか厳しいです。

第7位 ムジカノーヴァ

発行部数:6万5千部

出版社:音楽之友社
創刊:1970年
毎月発売日:18日
値段:922円(税込)

ピアノ指導者と学習者のための雑誌です。指導者にとっては、充実したレッスン方法や長続きさせるための手法などを紹介しています。学習者向けには、レッスンの待ち時間や宿題に生徒が自主的に使える役立つ情報を連載しています。「ピアノを教える人、学ぶ人」を応援する雑誌です。

第6位 ショパン

発行部数:7万部

出版社:株式会社ハンナ
創刊:1984年
毎月発売日:18日
値段:990円(税込)

『ショパン』というタイトル通り、クラシックのピアノに特化した雑誌です。出版当初はこんな雑誌本当に売れるのか心配していたそうです。しかし、発行から36年も経つ歴史ある雑誌となりました。ピアニストの情報がてんこ盛りの雑誌となっています。

第5位 Band Journal

発行部数:8万部

出版社:音楽之友社
創刊:1959年
毎月発売日:10日
値段:996円(税込)

1959年に創刊された歴史ある吹奏楽愛好者向けの総合雑誌です。『音楽之友社』がクラシック音楽出版界の頂上を目指すために、クラシック総合雑誌『音楽の友』の姉妹誌として、吹奏楽専門誌を創刊したのです。現在でも人気のある音楽雑誌の一つです。

第4位 MOSTLY CLASSIC

発行部数:10万部

出版社:産経新聞社
創刊:1997年4月
毎月発売日:20日
値段:1,080円(税込)

「クラシック音楽を極めるための月刊情報誌」を目指し、1997年に創刊されました。毎月、大胆に一つのテーマに絞り込んで特集を組んでいる事が一番の特徴です。ベートーヴェンなどの作曲家の号は完売する事も度々あります。現在最も注目すべきクラシック情報誌です。

第3位 レコード芸術

発行部数:10万部

出版社:音楽之友社
創刊:1952年
毎月発売日:20日
値段:1,430円(税込)

日本で発売される全てのクラシックCD、SACD、DVD等の評論を中心とした総合雑誌です。本誌のメイン『新譜月評』と他には無い詳細データを誇る『巻末新譜一覧表』は、クラシック・レコード愛好家だけでなく、レコード会社、演奏家など、音楽関係者からも注目されています。

執筆陣も日本を代表する音楽評論家を多数起用しています。故・吉田秀和の音楽エッセイはどれほどクラシック・ファンに影響を与えたか計り知れません。また、『新譜月評』は解説だけでなく、録音評も載せている事が特徴です。この欄を中心に見ている読者も少なくありません。

第2位 音楽の友

発行部数:10万部

出版社:音楽之友社
創刊:1941年12月
毎月発売日:18日
値段:1,120(税込)

日本を代表するクラシック音楽総合誌です。クラシック音楽を愉しむコアなファン向けの雑誌として日本で最も早く創刊され、長く愛される存在となっています。特集記事、来日アーティスト、日本人アーティストのインタヴュー記事や、海外音楽界の情報などがてんこ盛りです。

購買層は10代から70歳以上まで幅広く読まれ、男女比は6対4の割合です。ふんだんにカラー写真を掲載し、読むだけではなく見るだけでも楽しい事が特徴です。クラシック音楽専門雑誌として確固たる地位を保っています。雑誌の名前の通り、音楽之友社の顔になる雑誌となっています。

第1位 月刊Piano

発行部数:20万部

出版社:ヤマハミュージックメディア
創刊:1996年
毎月発売日:20日
値段:763円+税

10代ピアノ女子に圧倒的知名度を誇るピアノ専門雑誌です。J-POP曲や、CM・映画で話題の曲など、ピアノで弾いてみたい曲の楽譜が毎号15曲ほど掲載されています。ソロや連弾などの楽譜もあります。弾いても読んでも楽しい、演奏意欲が掻き立てられる充実の曲集雑誌です。

ピアニストやアーティストのインタビュー、各種連載や講座ページ、音楽やミュージシャンがテーマの巻頭特集も見逃せません。女子に人気の雑誌のため、ピアノ雑誌なのに、巻頭特集で星占いが組まれる事もあります。発行部数20万部と音楽雑誌の中で断トツのトップです。

番外編 HANNA

発行部数非公表のため、番外編として扱います。ここで取り上げた理由は、こんな雑誌もある事を知って貰いたかったためです。歌のための専門雑誌など知らない人も多くいる事でしょう。オペラが大好きなクラシック・ファンも数多く存在します。

発行部数:非公開

出版社:株式会社ハンナ
創刊:2013年04月
毎月発売日:3,6,9,12月の18日
値段:876円+税

「うたを愛するすべての人たちの出会いの場」を目指して、創刊されました。歌、合唱、オペラを愛する人のための季刊雑誌です。歌の魅力、歌の魔力を楽しく紹介する内容になっています。クラシックの歌専門の月刊誌としては草分け的存在です。

まとめ

クラシック音楽専門雑誌を発行部数という観点からランキングしてきました。ここでは取り上げませんでしたが、サックス専門誌などもあります。『Piano』がこれだけ発行部数が多い事には驚きました。ヤマハ音楽教室でピアノを覚えた生徒たちが買うのでしょうね。

だからこそ10代の女性に人気があると思われます。当初の私の予想では『音楽の友』が第1位かと予想していました。調べてみたら意外や意外、『Piano』という結果で驚きました。しかし、どんな形であれ、音楽を愛する方たちが増えてくれる事は大歓迎です。

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