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交響曲第5番

2020年はベートーヴェンの生誕250年の記念すべき年です。ベートーヴェン・アニバーサリーの年に因み、ベートーヴェンを代表する名曲、『交響曲第5番「運命」』のベストCDを選んでみたいと思います。名曲のため、様々な指揮者が数多くの録音を残してきました。

録音技術が完成して以来、もう数百種類の『運命』が録音されているでしょう。全ての録音を聴く事は出来ませんので、私が聴いてきた録音の中から、これがベストと思う録音をチョイスします。その点は、どうかお許しください。それでも、数的には多い方かなとは思っています。

販売当初から話題になった録音もありますし、突如、ライヴ盤が見つかって皆が驚いた録音も数多いです。その中から、未来に残すべき歴史的録音と判断されるものを選びたいと考えています。皆さんのベストを考えてみる良い機会にもなるでしょう。

ランキングの判断基準

「未来に残すべき歴史的録音である事」この1点を基準にしました。私が聴いてきた『運命』のCDの中でそう思う物を取り上げます。ただ、録音状態が良くないものは良い演奏であってもランクを下げました。ベスト盤を探すのは自分の耳、感性を晒す事でもあります。

聴き比べしたCD

番号は単なる整理番号であって、順位とは関係ありません。西暦は録音年です。

1:カルロス・クライバー(1974年)
2:フルトヴェングラー(1954年)
3:フルトヴェングラー(1947年)
4:ショルティ(1986年)
5:クレンペラー(1957年)
6:バーンスタイン(1977年)
7:アバド(2000年)
8:カラヤン(1962年)
9:カラヤン(1976年)
10:カラヤン(1982年)
11:パーヴォ・ヤルヴィ(2006年)
12:スイトナー(1981年)
13:アンセルメ(1966年)
14:ベーム(1970年)
15:ティルソン・トーマス(2009年)
16:クーベリック(1973年)
17:ムーティ(1985年)
18:小澤征爾(2000年)
19:小澤征爾(1968年)
20:小澤征爾(1981年)
21:小澤征爾(2016年)
22:ジュリーニ(1981年)
23:マズア(1972年)
24:ムラヴィンスキー(1972年)
25:ハイティンク(1986年)
26:チェリビダッケ(1992年)
27:ブリュッヘン(1990年)
28:ラトル(2002年)
29:トスカニーニ(1952年)
30:ブーレーズ(1968年)
31:ワルター(1958年)
32:セル(1963年)
33:ライナー(1959年)

自分のCD棚を見られているようで恥ずかしいですが、私が聴いてきた『運命』の録音の数々です。この中から、ランキングしていきます。普通にクラシックを好きな方と比べると、量的には多い方かと思います。

第10位 クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(1957年録音)

意思の強さが感じられる『運命』です。この楽曲が持つスケールの大きさが、より大きな表現で演奏されています。緊張感もありますし、この曲を代表する録音かと思います。ただ、この順位にしたのは、録音の関係です。ステレオ感を出すために変な加工をされている感じがします。

第9位 セル指揮クリーヴランド管弦楽団(1963年録音)

クリーヴランド管弦楽団はクリアで純度の高い音色を聴かせてくれています。磨き抜かれたように精度の高い演奏でレベルが高い演奏だと感じます。ジョージ・セルらしい緻密な『運命』です。厳しめの『運命』ですので、好き嫌いがはっきり分かれる演奏と思い第9位としました。

第8位 ライナー指揮シカゴ交響楽団(1959年録音)

とてもテンポが速い『運命』です。しかし、音楽の纏まりは良く、演奏のレベルは高いものがあります。聴き終わった際の高揚感が堪らない演奏です。あまり話題に上らない録音ですが、未来に残したい録音です。ステレオ録音が始まった頃の独特の音作りのせいでこの順位にしました。

第7位 ラトル指揮ウィーン・フィル(2002年録音)

よどみなく、軽すぎもしないという、あくまでも現代的『運命』だと思います。早めのテンポで、各声部が良く聴こえ、強弱の変化も上手く処理しています。古楽器奏法を用いている演奏です。録音も良く素晴らしいですが、これがベストかと言われると疑問符が付きます。よって第7位です。

第6位 バーンスタイン指揮ウィーン・フィル(1977年録音)

遅いテンポと濃厚な表現。生き生きとした生命感。バーンスタインならではのライヴ録音。厚みと安定感のある音が、聴いていて安心出来ます。重々しく、少し大げさに聞こえる『運命』です。全体的に素晴らしい演奏ですが、テンポの遅さに戸惑うところもあり、この順位です。

第5位 トスカニーニ指揮NBC交響楽団(1952年録音)

疾走感溢れる『運命』です。トスカニーニらしく物凄く早い演奏です。高い集中力を持って、一点へ向けて突き進むような凄まじい演奏。ただ、残念な事に録音が良くなくて、全体像が上手く伝わってこないため、第5位としました。名盤なのにもったいないです。

第4位 カラヤン指揮ベルリン・フィル(1976年録音)

アンチ・カラヤンでもこの演奏は認めざるを得ないでしょう。最後の録音よりこちらの方が素晴らしいです。ベルリン・フィルの黄金期であり、カラヤン自らの美学が良く表現された『運命』です。雄大な演奏です。第4位に甘んじた理由はベスト3が凄すぎるせいです。

第3位 カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィル(1974年録音)

このCDを初めて聴いた時の衝撃は忘れられません。こんな『運命』もあるんだと思い知らされました。プロ野球の大谷が投打の二刀流で活躍するなんて誰も予想していませんでしたよね。まさに、そんな感じの事が『運命』でも起こったのです。そんな前代未聞の出来事でした。

この躍動感と生命力は凄いという表現しかありません。ウィーン・フィルもよくぞこんな演奏してくれました。これは「運命」の演奏を語るに外せない演奏だと思います。しかし、この演奏は好き嫌いがはっきり分かれる演奏です。その点で第3位とします。

第2位 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル(1954年録音)

スローテンポで『運命』の神髄を聴かせてくれる超名盤です。終始、遅めのテンポを守り落ち着いた演奏を聴かせてくれます。高い音楽性と巨大なスケールを感じさせるのはフルトヴェングラーならではの演奏だからです。スタジオ録音でモノラルですが、音質も良い状態を保っています。

フルトヴェングラーの良さがそのまま録音されています。ウィーン・フィルの演奏も優秀です。両者の関係性までもが分かる素晴らしい録音です。これを第1位と言っても納得する人は多いでしょう。しかし、第1位のベルリン・フィルとのライヴの凄さには敵わないため、第2位としました。

第1位 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル(1947年録音)

フルトヴェングラーが戦後復帰して初めての演奏会の模様を録音したものです。歴史的復帰演奏会は3日間行われ、5月25日と5月27日のものがレコーディングされていますが、5月27日の方がより感動的に感じます。録音の古さは感じますが、これだけ聞ければ十分です。

フルトヴェングラーの確信に満ちた音楽が鳴り響き、なぜ、フルトヴェングラーの信奉者が無くならないのかが、この録音を聴くと分かってきます。フルトヴェングラーという指揮者はかくある人だったという事が伝わって来る演奏です。『運命』歴史的名盤ベストはこの録音でした。

まとめ

『運命』聞き比べは如何だったでしょうか。フルトヴェングラーが第1位、第2位独占でした。皆さんが選ぶ『運命』のベストは誰の指揮ですか。最近はCDを買わなくてもYouTubeでも見聞きできる時代になりました。様々な演奏を聴いて、自分ながらの解説をしてみるのも楽しいですよ。

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