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転落した指揮者

日本のクラシック音楽界に語り継がれる歴史的珍事があります。それは山田一雄(1912~1991)という有名な指揮者が、コンサート中に指揮台から転げ落ちるという誰もがびっくりする事故を起こしたのです!!本当にこの話は世代を超えてずっと語り継がれています。

指揮者としても当然著名な方なのですが、指揮台から落ちた男として、不名誉な形で名を残してしまった山田一雄氏について紹介していきたいと思います。何故指揮台から落ちてしまったのか、そして彼の不思議な人間性など、お楽しみください。

指揮中に消えた指揮者!


あなたがオーケストラの一員だったとして、急に指揮台から指揮者がいなくなったらどう思うでしょうか。急に消えてしまったと驚くでしょう事でしょうね。狐につままれた状態になる筈です。本来ありえない事を起こしてしまった山田一雄とは一体どんな人物なのでしょうか。

山田一雄転落事件

NHK交響楽団名古屋公演での出来事でした。有名な転落事件の真相について、当の山田一雄は『一音百態』という本の中で次の様に書いています。

振っていた曲は、ベートーヴェンの『レオノーレ・三番』。曲の、どのあたりを演奏中に落ちたのかは、はっきり覚えていない。何しろハッと気がついたら、わたしは惨めな姿で、客席に横たわっていた。とっさに、棒振りなんだから、ここであわてふためいては、指揮者としての沽券にかかわる!?と、気を立て直してすぐに起き上がった。

それから、何事もなかったようなそぶりで(とはいえ、二千五百人の聴衆は、確実に気づいていたが)客席の前をゆっくり歩いて、舞台上手のソデから指揮台に戻り、何くわぬ顔で振り続けた。

歩いている最中も、指揮棒だけは振り続けたそうで、ステージ上からは指揮棒だけが見えていたという伝説が残っています。どこも怪我をせず本当に良かったと思います。

山田一雄とは

山田一雄
1912年10月19日~1991年8月13日(享年78歳)
和男から画数を意識して夏精と改名、再び和男に戻した後、一雄と改名した改名魔でも知られています。マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」を日本で初演し、その際には実際に千人もの人間をステージ上にあげたという話もある、クラシック界で何かと話題性を持つ凄い人です。

亡くなる前まで新星日本交響楽団名誉指揮者、京都市交響楽団顧問、日本指揮者協会副会長、日本マーラー協会会長など、多くの要職につきました。

指揮者として

皆から「ヤマカズ」として愛された指揮者でした。私も何回も生で聴いていますが、指揮棒で指揮をするというよりは、体全体で指揮をしているといった人でした。指揮台で何度もジャンプする姿を見ました。はっきり言ってあの動きを見ていると指揮台から落ちるのも頷けます。

暗譜しないで楽譜を見ながら指揮する人でしたので、ジャンプするたびに眼鏡を元に戻し(汗でずれるのでしょうね)、まるでラジオ体操をしているような指揮振りに驚かされたり、その為に余計感動が大きくなったりと本当に不思議な人でした。奇人・変人・天才だったのでしょう。

山田一雄のエピソード

山田一雄のエピソード
彼には指揮台から転げ落ちた以外にも、面白いエピソードが多く残っています。こんな指揮者、他にいないと心から思います。しかしその実力は間違いなく一流のものでした。キワモノのような紹介していますが、本当に素晴らしい指揮者だった事もしっかりとわかって頂きたいと思います。

遅刻魔

小澤征爾もそうですが、音楽家には遅刻魔が多いのでしょうか。彼もまた結構遅刻する事も多かったようです。そして遅刻すると必ず言い訳をしたそうなのですが、なぜか言い訳には必ず女性の名を出していたそうです。一体どういう意図だったのか、本当に天才の考えはわかりません。

眼鏡ぶっ飛び事件

演奏中は夢中になると体全体で飛び上がりながら指揮をしていた人なので、汗で眼鏡が飛んでいく事故が多かったそうです。時にはジャンプして、着地と同時に眼鏡が指揮台に落ちて、それを自分で踏んでしまい壊してしまった事もあったようです。その後の指揮は平気だったのでしょうか。

指揮者としてはタブー!?

これもオーケストラの人達からの証言です。演奏中に一見普通に指揮をしているのですが、どこを振っているのかがわからなくなり、演奏者に小声で聞いたりして誤魔化していたのは当たり前だったようです。良く演奏が止まらなかった物です。指揮者が演奏者に聞くなんて驚きです。

一流指揮者の願望

ぼくだけは24時間でなくして欲しいな。もっと時間が欲しい。絵や物を見たり、浮気したり。今のままじゃ、浮気する時間もないものね。

亡くなる一年前77歳のときのインタビューでの一言だそうです。歳をとっても気持ちは若かったのですね。音楽家にはこういうパターンの人が何故か多いですね。

まとめ

日本クラシック界でも稀に見る指揮者だったと思います。調べてみてこんなに面白み溢れる指揮者だとは思いませんでした。何度も聴いていますから情熱的な指揮振りは知っていましたが・・・。

現在はこういう面白い指揮者もいなくなりました。皆、合格点以上は取ってるけど、面白みがかけているんですよね。こういった何事にも動じない、個性溢れる指揮者が出てくるとまた、日本クラシック界の指揮者の世界も変わってくると思うので指揮台から落ちる次世代に期待です。

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