ショパンが得意なピアニスト

一口にショパンが得意なピアニストといっても、数多くいるピアニストの中から絞り込むのはなかなか難しい事です。ショパンコンクール優勝者だからといってショパンが得意とは限りません。過去の優勝、入賞者を並べても意味の無いものになってしまします。

コンクールはあくまでも若きピアニストたちの登竜門、通過点に過ぎませんから、その後のピアニストとしてのレパートリーとは比例するわけではないのです。モーツァルトやベートーヴェンを得意とするピアニストに変貌する事は日常茶飯事です。

それを踏まえた中で様々な点から勘案して、ショパン演奏で名声を得ていると評価したピアニストを10人選んでみました。私の主観によるものですが、それほど邪道でもないのではと思っています。順位を付けるのは難しいのでアルファベット順に並べてあります。

マルタ・アルゲリッチ

名前:Maria Martha Argerich
生没年月日:1941年6月5日~
国籍:アルゼンチン

現役では最高の評価を受けるピアニストです。女性ながら男性顔負けのダイナミックな演奏をする事で有名。自由奔放かつ情熱的な演奏に心打たれた方も多いのではないでしょうか。ショパン弾きですが、ショパンに限らず何でも弾く事が出来るスーパーウーマンです。

ウラディーミル・アシュケナージ

名前:Vladimir Davidovich Ashkenazy
生没年月日:1937年7月6日~
国籍:ロシア

2020年に惜しくも現役引退を発表しました。1980年代以降はピアニストよりも指揮者として活躍していました。N響の首席指揮者だった事もあります。ピアニストとしてアシュケナージは奇をてらう事がなく、実に美しい演奏を聴かせてくれました。

アルフレッド・コルトー

名前:Alfred Denis Cortot
生没年月日:1877年9月26日~1962年6月15日
国籍:フランス

ショパン弾きとしてあまりにも有名なピアニスト。ロマンティックな演奏に定評があります。美しい録音を残してくれた事で我々も彼の独創的な演奏に接する事が出来ます。ディヌ・リパッティ、クララ・ハスキルなどの個性派ピアニストの師でもあります。

サンソン・フランソワ

名前:Samson François
生没年月日:1924年5月18日~1970年10月22日
国籍:フランス

天才肌のピアニスト。好きなものは徹底的に勉強し、嫌いなものは全く手出しをしなかったと言います。そんな彼のショパンも全くの彼独特のものであり、何の制約も受けずに思い通り弾いたらこんな風になりました的な感じです。46歳というこれからという時に亡くなった事は残念です。

ディヌ・リパッティ

名前:Dinu Lipatti
生没年月日:1917年3月19日~1950年12月2日
国籍:ルーマニア

残念ながら我々は彼の事をわずかな録音と文献でしか知る事が出来ません。彼の演奏は決して華々しくはありません。どちらかというとワビ、サビの世界が似合うような演奏。しかし、心に染み入ってくる演奏です。こんな天才が33歳で亡くなったのは実に残念としか言いようがありません。

アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ

名前:Arturo Benedetti Michelangeli
生没年月日:1920年1月5日~1995年6月12日
国籍:イタリア

完璧主義者だったため、キャンセルが多いピアニストでした。年間10回ほどの演奏しかしないような人でしたので、却ってその名声が高まるという事もありました。テクニック、音楽性など比類するべきものが無い様な高みのピアニストでしたが、偏執狂のように完璧性に拘る変人でした。

マウリツィオ・ポリーニ

名前:Maurizio Pollini
生没年月日:1942年1月5日~
国籍:イタリア

ポリーニの特徴は、研ぎ澄まされ磨き上げられた硬質かつ透明な音色であり、正確なテクニックに支えられて素晴らしい音楽を生み出してきました。室内楽はほとんどやらずにソロと協奏曲だけ演奏、録音してきました。少し悲しい事は、最近では年齢によるものか衰えたと感じる事です。

スヴャトスラフ・リヒテル

名前:Sviatoslav Teofilovich Richter
生没年月日:1915年3月20日~1997年8月1日
国籍:ソ連

リヒテルのショパンはダイナミックな演奏が特徴です。聴きごたえのある演奏を我々に残してくれました。しかし、リヒテルの演奏は繊細でもあったのです。静かな場面では思い切り沈んだように弾いたり彼ならではの独特の演奏をしていました。

アルトゥール・ルービンシュタイン

名前:Arthur Rubinstein
生没年月日:1887年1月28日~1982年12月20日
国籍:ポーランド

20世紀最大のショパン弾きと呼んでも過言ではないでしょう。レパートリーは古典派から現代音楽まで広い人でしたが、特にショパンの演奏や録音をが中心になっていました。歳を重ねてもその演奏は情熱的で、我々を魅了したものです。

クリスティアン・ツィマーマン

名前:Krystian Zimerman
生没年月日:1956年12月5日~
国籍:ポーランド

ツィマーマンはレパートリーが広いですが、まず最初に挙げるべきものはショパンとなります。考え抜かれた落ち着いたショパンになっています。日本にも度々演奏旅行に来てくれていますので、日本のファンも多いピアニストです。クリアな音色が特徴でもあります。

まとめ

ショパンを得意とするピアニスト(ショパン弾き)を10人挙げました。これらのピアニストは特にショパンに造詣が深いピアニストたちです。この中ではルービンシュタインの演奏を実際に聴いてみたかったですね。

他にも世界的に有名なショパン弾きは存在すると思いますが、私が聴いてきた録音ではこんな10人に落ち着きました。ショパンの音楽は不思議です。

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