親日家のピアニスト

超一流のオーケストラであるベルリン・フィルハーモニーウィーン・フィルハーモニーなどが毎年日本でコンサートを行っています。超一流が集まる日本は世界的に見ても極めてクラシック音楽が盛んな国と言えます!

日本を愛し、自他共に認める親日家ピアニストをランキング形式で紹介したいと思います。

親日家ピアニストランキング

japan
本ランキングは親日家ピアニストたちの来日頻度や日本クラシック界への貢献度など、様々な角度から親日度を分析して完成しています。彼らはどのようにして母国とは全く違う、独自の歴史や文化を持つ日本という国を愛したのでしょう。

世界的にその名を轟かせるような偉大なピアニストたちの中に存在した親日家たちのランキングをぜひお楽しみください。

10位 イングリット フリッター

イングリット フリッター

1973年アルゼンチン生まれ。2000年ショパン国際コンクールにおいて第2位を獲得。今日のショパン弾きの中で最も天分があり、聴衆に訴えるピアニスト。テクニックは抜群で、総合的な音楽的才能に恵まれたピアニストであり、世界的に活躍しています。

イングリット フリッターの親日家エピソード

日本が大好き…。ではないのかも?

親日家の両親を持つ天才ピアニスト
1994年、浜松国際ピアノコンクールのために初来日し、その後は2001年のリサイタルとオーケストラとの共演で来日と計2回しか日本には訪れていません。しかし、大の親日家であるマルタ・アルゲリッチとの親交が深い事や、親日家の家庭に育った事で彼女自身も少なからず日本に対して愛着があるのではと言う事で無理やりの10位にランクインです!

ランキング上位のピアニストは日本愛に非常に溢れた人気ピアニストばかりなのですが、上位と下位では親日度に非常に開きがあります。そんな所も楽しんでいただければと思います。

9位 セルゲイ・プロコフィエフ

セルゲイ・プロコフィエフ

セルゲイ・プロコフィエフ(1891年4月23日 – 1953年3月5日)は、ロシアの作曲家、ピアニスト、指揮者。作曲家として、交響曲から現代音楽まで幅広く数多くの楽曲を残しています。特に、自身がピアニストだったという事もあり、多くのピアノ曲の傑作を残しています。

セルゲイ・プロコフィエフの親日家エピソード

ヨーロッパから日本に来訪した初めての大音楽家なんだって!

亡命、そして日本滞在
1918年、27歳だったプロコフィエフは母国ロシアを捨て、アメリカへの亡命を決意します。同年5月にはシベリア鉄道に乗り新天地を目指しました。亡命先のアメリカに向かう過程で日本に一度上陸する事になります。親日家と呼ぶには少し無理があるかもしれませんが彼が2ヵ月ほど日本にいた事は事実です。

最初はアメリカ行きの船便がなかったので、仕方なく次の便を待つまで日本への滞在を余儀なくされるのですが、後にセルゲイ・プロコフィエフの最も有名な楽曲となるピアノ協奏曲第3番などの原型を着想したのが日本の奈良と言われています。

日本滞在中は東京・横浜周辺、そして大阪・奈良、箱根や軽井沢などの避暑地まで、日本を満喫する形となりました。ヨーロッパの大作曲家が日本に来訪するのはプロコフィエフが初めてだったとの事です。そして評論家大田黒元雄や徳川頼貞などと交流があった事からも、日本のクラシック音楽界に大きな影響を与えた人物だったと言えます。

傑作の着想を日本滞在中に得た事からも、プロコフィエフが日本に魅了されていた事がわかりますね!

8位 ゲルハルト・オピッツ

ゲルハルト・オピッツ

ゲルハルト・オピッツ。1953年2月5日生まれ。ドイツ出身。1977年、第2回ルービンシュタイン国際ピアノコンクールで優勝。1981年、ミュンヘン音楽大学の史上最年少のピアノ科教授として就任し、2012年まで教鞭を執りました。ベートーヴェン弾きとして有名です。

ゲルハルト・オピッツの親日家エピソード

ドイツ正統派のピアニストも日本を好きでいてくれてるなんてすごいや!次の来日公演が楽しみ!

ドイツの正統派ピアニスト
ドイツピアノの正統派を継承するオピッツが日本で一躍その名を広めたのが1994年のNHKで放映された7時間にも及ぶベートーヴェン・ソナタ集の演奏やレッスンでした。クラシックファンならまだまだ記憶に新しいのではないでしょうか。

そして2005~2008年にかけて行われた「ベートーヴェン・ソナタ全曲演奏会」は彼自身、日本で初の試みとなりましたが回を重ねるごとに評判を呼び、大絶賛のまま終了しました。続いて2010~2013年には「シューベルト連続演奏会」を行い、大喝采を浴びる大成功を収めています。

日本にはほとんど毎年来日しており、オピッツの親日家ぶりが十分に伺えると言えます。2015年からは「シューマン×ブラームス連続演奏会」を開催しており、日本での公演を本当に大切にしている事がわかります。日本国内での人気は絶大で、日本で最も人気のあるピアニストの一人ではないでしょうか。

20年以上も日本と深い関係を持つ一流のピアニストです。日本人が彼の演奏を愛しているのと同じくらい、オピッツも日本を愛してくださっているんですね。

7位 マリア・ジョアン・ピリス

マリア・ジョアン・ピリス

マリア・ジョアン・ピリス、1944年7月23日生まれ。ポルトガル出身。1970年に、ブリュッセルで開かれたベートーヴェン生誕200周年記念コンクールで首位獲得。モーツァルト弾きとして有名でした。2018年をもって現役の舞台からは引退し、現在は後進の指導に当たっています。

マリア・ジョアン・ピリスの親日家エピソード

NHKでピアノの先生をしていたんだね!

ラストイヤーもしっかり日本で公演
1969年に初来日、その後は日本でも幾度となくコンサートを行い、NHKの「スーパーピアノレッスン」の講師を務めた事もあり、彼女の奏でるベートーヴェンやモーツァルトを聴いた事がある人も多いのではないでしょうか。

若い頃に日本語を勉強していたなら今頃日本に住んでいたかもと語るほどの親日家です!初来日から半世紀近くが経過し、そのピアニスト人生にピリオドを打った2018年ラストイヤーにも日本で公演を行ってくれたのだから彼女にとって日本という国が大きな存在であったことがわかります。

一流ピアニストである彼女のレッスンを楽しみにしていた視聴者の方も多かったのではないでしょうか。

6位 ジョヴァンニ・ミラバッシ

ジョヴァンニ・ミラバッシ

ジョヴァンニ・ミラバッシ、1970年5月4日生まれ。イタリア出身。ヨーロッパのジャズ・シーンを代表するピアニストの一人。1996年、アヴィニヨン・フェスティバルで大賞を受賞。2001年、反戦歌、革命歌をピアノで演奏したアルバム「AVANTI!」で一躍その名を浸透させました。

ジブリの名曲がジャズになるとどうなるか気になるーー!

日本のアニメを愛するジャズピアニスト
クラシックとも非常に関係性の深いジャズの世界でその名を轟かす、大のアニメオタクと自負する親日家ピアニストです。アニメ好きが高じてリリースされた、ジブリ作品を中心にミラバッシが奏でるアニソンが詰まったAnimessiはぜひ一度手に取っていただきたいアルバムです。

30年以上前から日本のアニメに魅せられ、ピアニストでありながらその魅力を発信する事にも余念がない彼は、ピアノを通して世界中に日本のオタク文化を伝播させるために日々音楽を奏でているとかいないとか…。親日家としてのキャリアも長く、上位としたいところですが日本好きというより、アニメ好きなのではという疑問が浮かんだので少し厳しめの5位にランクインです!

日本人ならだれもが知るジブリの名曲がどう奏でられているのかはぜひCDを聴いてみてくださいね。

5位 イェルク・デムス

イェルク・デムス

イェルク・デームス(1928年12月2日 – 2019年4月16日)。オーストリア生まれ。1956年、ブゾーニ国際コンクールで優勝。一躍世界的なピアニストとして注目されます。特に、バッハ、モーツァルト、シューマンなどドイツ系作曲家の演奏には定評がありました。

イェルク・デムスの親日家エピソード

国がダメって言っても日本にきちゃうなんてすごいや!

熱い心を持つ侍ピアニスト
イェルク・デムスは世界各国で定期的にツアーを行う一流ピアニストで、大の親日家として知られています。2011年の東日本大震災と原発事故によってオーストリア政府から渡航禁止令が出たにも関わらず、それを押し切って来日したというエピソードを持つ侍ピアニストです。

坂入健司郎氏が指揮する慶應義塾ユースオーケストラ(現東京ユヴェントス・フィルハーモニー)の演奏会でシューマンのピアノ協奏曲を弾いた事で一躍日本での知名度を上げました。その後も毎年のように来日し、亡くなられる前の年まで日本での演奏会を開いていました。

亡くなる直前まで日本で公演をしていた真の親日家です。

4位 アンドレ・ギャニオン

アンドレ・ギャニオン

アンドレ・ギャニオン、1942年8月1日生まれ。カナダ出身。パリ留学中にポピュラー音楽に出会った事で強い衝撃を受け、クラシックとポピュラーの架け橋になる音楽活動を展開。世界的にブームになったヒーリング音楽の分野において名を馳せました。

アンドレ・ギャニオンの親日家エピソード

日本のテレビドラマの音楽を担当していたなんてびっくり!

日本のヒーリング音楽ブームの火付け役
1970年に大阪万博のカナダ館でコンサートを開くために初来日し、以降2007年まで度々コンサートのために来日していました。日本のテレビドラマの音楽を担当したり、人気歌手「平原綾香」のシングルの作曲を手掛けるなど、親日家ぶりが伺えます。

アンドレ・ギャニオンの代表曲である「めぐり逢い」はしばしばTVCMに起用されるなど、日本でも大人気の楽曲です。ご高齢のためか、2007年のラスト・コンサート以降は日本に訪れていませんが、クラシックのヒーリングミュージックとしての側面を日本に広めた事でも知られています。

彼の演奏に心癒された日本人は本当に大勢いたと思います。

3位 ジョヴァンニ・アレヴィ

ジョヴァンニ・アレヴィ

ジョヴァンニ・アレヴィ、1969年、イタリア生まれ。「21世紀のモーツァルト」「100年に1度の天才」などと呼ばれ国内外で活躍中。2006年リリースのアルバム『Joy』は15万枚を売り上げ、オリジナルのピアノ曲ではイタリア音楽史上初でクラシックチャートの1位を獲得しました。

ジョヴァンニ・アレヴィの親日家エピソード

とにかく日本が大好きだって事が伝わってくるよ!

超親日家のボンバーヘッド
2013年から日本ツアーを行っている、イタリアが生んだ天才ピアニストはとにかく日本への「愛」が止まりません!様々なインタビューで日本愛を語り、前世は日本人だったと豪語するほど生粋の親日家です!大好物はお寿司で、来日すると必ず食べるのだとか。

日本のためにリリースされたアルバム「LOVE」には自身が17歳の時に描いたと言われている「Japan」が収録されています。ティーンエイジャーの時にジャパンという曲を作ってしまうほどの親日家っぷりは本当に日本人として嬉しい限りです。

Japanという曲を作るぐらいですから日本への愛情は相当なものでしょうね。

2位 スヴャトスラフ・リヒテル

スヴャトスラフ・リヒテル

スヴャトスラフ・リヒテル(1915年3月20日 – 1997年8月1日)、ソビエト連邦生まれ。モスクワ音楽院に入学した時点ですでに完成されたピアニストだったといわれ、師のネイガウスは「何も教えることはなかった」と語っています。20世紀を代表するピアニストでした。

スヴャトスラフ・リヒテルの親日家エピソード

リヒテルは日本の文化が本当に好きだったんだね!茶室でコンサートなんて驚きだよ!

日本を愛した「幻のピアニスト」
日本でのデビューは1970年。日本万国博覧会で初来日を果たしたリヒテルは既に55歳でした。それまでリヒテルをLPの中でしか知る事がなかった日本人にとって彼はまさに「幻のピアニスト」でした。この来日をきっかけにリヒテルは我々もよく知る大の親日家となったのです。

リヒテルはとにかく日本のピアノを愛してくれました。日本が世界に誇るピアノメーカー「YAMAHA」と1969年のイタリアで運命的な出会いを果たしたリヒテル。ピアノの完成度だけでなく日本人調律師にも魅了されたのです。その後も数多くのコンサートや音楽祭でも可能な限りヤマハのピアノを指定するようりなりました。

55歳で初めて日本に訪れ、魅了されたリヒテルはその後何度も日本を来訪した生粋の親日家として知られています。全国62都市を訪れ、162回の演奏を開いたリヒテルは、日本の文化に魅せられたピアニストでした。そのため茶室でのコンサートなんてものまで開催したそうです。

リヒテルという偉大なピアニストは日本のピアノだけでなく、日本人の人間性に心底惚れた人物だったのです。

1位 マルタ・アルゲリッチ

マルタ・アルゲリッチ

マルタ・アルゲリッチ、1941年6月5日生まれ。アルゼンチン出身。1957年、ブゾーニ国際ピアノコンクール優勝。ジュネーブ国際音楽コンクール優勝。1965年、ショパン国際ピアノコンクール優勝。現在のピアニストで最高の評価を受けている一人です。

マルタ・アルゲリッチの親日家エピソード

私でも納得の1位だよ!絶対そうだと思ってたんだ!

日本クラシック界を支える天才ピアニスト
マルタ・アルゲリッチの親日家ぶりを疑う人は最早いないでしょう!クラシックファンの誰もが納得のランキング1位かと思います。彼女の親日家としてのエピソードは本当にたくさんあるので全部を紹介する事はできませんがいくつか印象に残っているものを紹介しようと思います。

1970年に初来日を果たして以降、毎年数回のペースで来日をする世界的ピアニストであり、クラシック界ナンバーワンの親日家です。別府で毎年行われる音楽祭には自身の名前が冠されており、外国人でありながら日本クラシック界に影響を与え続けてくれています。

特に私の印象に残っているのは、日本クラシック界に「佐村河内事件」の爪痕が残る中、現代最高といわれるバイオリン奏者ギドン・クレーメルと共に、東京の「格安コンサート」に参加したエピソードです。世界でも最高レベルの演奏家にも関わらず、S席でも3,500円という超格安コンサートにサプライズ登場したのです!事件に揺れ動く日本クラシック界の為に人肌脱いでの来日であったことはまず間違いないでしょう!

そして2005年にはなんとレナード・バーンスタインや小澤征爾も受賞している高松宮殿下記念世界文化賞を贈られています。日本とは絶対に切る事のできない縁で結ばれた超一流ピアニストです!!ピアニストランキングTOP30でも一位を獲得しており、親日度だけでなく、技術面においても世界一のピアニストと呼ぶに相応しい存在です。

日本の文化を愛し、風土を愛し、人々を愛するマルタ・アルゲリッチの演奏がいつまでも日本で聴けることを願います。

マルタ・アルゲリッチは定期的に演奏会を開いているだけでなく、日本そのものを愛してくれている世界一の親日家ピアニストです。

まとめ

親日家ランキングを最後までお読みいただきありがとうございます。

マルタ・アルゲリッチの親日家ぶりは本当に有名で、彼女の一位は誰もが納得の順位だと思います。まだまだ親日家のエピソードを持つ有名ピアニストは少ないですが、今後もっともっと日本を愛する一流ピアニストが登場する事に期待しましょう!

関連記事