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ジェシーノーマン

世界でも最高のソプラノ歌手として名高いジェシー・ノーマンの魅力は、なんといってもその声量、パワフルさにあります。それと声質もどのソプラノ歌手とも違う独特のものを持っています。良いことずくめの現代の歌姫、それがジェシー・ノーマンなのです。

来日公演で2度私も彼女の歌声を聴きましたが、パワフルな歌声と、魅力的な声質、そして、声量の大小に関わらず、見事に会場中を感動の響きで満たしていました。実に素晴らしいソプラノ歌手です。歌劇だけではなく、マーラーなどのソリストとしても最高です。

そのほかにも黒人霊歌やジャズも歌う歌手として、人気があります。おそらく、現在のオペラ界の女性歌手の中で、最も稼いでいる人物かもしれません。今回は、そんな優れたソプラノ歌手のジェシー・ノーマンを簡単に紹介したいと思います。

ジェシー・ノーマンの略歴

1945年9月15日、アメリカのジョージア州生まれ。アメリカ国内で声楽を学び、1969年にはミュンヘン国際コンクールで優勝。同年にベルリン・ドイツ・オペラにおけるワーグナー『タンホイザー』のエリーザベト役でデビュー、「歴史的なソプラノ」との高い評価を得ました。

それ以来、世界中のオペラハウス、音楽祭などで超一流の指揮者やオーケストラから引っ張りだこ、主要音楽都市でのリサタル開催など、とどまるところを知らない活躍を続けます。彼女のリサイタルは全て完売、まさに世界の歌姫としてその実力を世界に誇っていました。

これまでにロナルド・レーガン氏とビル・クリントン氏の米大統領就任式で国歌を歌ったほか、1986年にはエリザベス英女王の60歳の誕生日でも歌を披露しています。また、1996年に開かれたアトランタ・オリンピックの開会式では「アメイジング・グレイス」を歌いました。

1997年にはケネディ・センター名誉賞を、2006年にはグラミー賞の特別功労賞を受賞。2009年にはアメリカの国民芸術勲章とフランスのレジオンドヌール勲章を授与されています。彼女の実力が認められていた証です。本当に世界の人から愛されていた人物でした。

ジェシー・ノーマンの音楽

ジェシー・ノーマンは頭の良い人物だったのでしょう。音楽の知的な解釈には定評があり、それをあの表情に溢れ、深みのある素晴らしい声で表現するのですから、感動しないわけがありません。ジェシー・ノーマンはなるべくして歌姫になった人物です。

こういう人物は滅多に出てきません。ソプラノでいえば、エリザベート・シュワルツコフ、グンドゥラ・ヤノヴィッツ、アンナ・トモワ=シントウら歴史的天才スターと肩を並べる才媛でした。彼女たちはみな自分の一時代を作って活躍した人達です。

音楽評論家の故・吉田秀和がジェシー・ノーマンを始めて聴いた時の評論を最後に紹介します。

「ジェシー・ノーマンという歌手はこれまでの経験を超えた桁外れの存在である。その歌から放射されてくるものは、大きさ、深さ、高さといった次元のどれかだけで言っても正確に言い現わせず、充分にとらえられない。彼女の歌は大自然の奥に秘められた泉から直接湧いてくるかのようだ。その意味で、この人は純粋に人間的存在でありながら、何か宗教的なものを思わせずにはおかない」

彼女の音楽に接した事のある人には、良く分かると思います。「これまでの経験を超えた桁外れの存在」なのです。一目見ただけで只者ではない雰囲気を発しています。天才音楽家にはこういった共通点があります。彼女もまた天才なのです。

まとめ

ジェシー・ノーマンはその性格もあって、皆から愛される人物です。声量に支えられた深い響きを持つ声は、まさにディーバを証明するものです。こんなソプラノ歌手はこれからも出てこないでしょう。ジェシー・ノーマンの芸術は、永遠に語り継がれるものとなるでしょう。

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