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カラヤン

コンパクトディスク(略してCD)は1982年に発売されました。最初のCDプレーヤーを買った時はとても嬉しかった事を覚えています。あの頃まだ余りソフト自体が少なくて、値段も4千円近かったような気がします。最初にCDを聞いた時の感動は未だに覚えています。

LPのように曲の途中でひっくり返す手間がなくて、1曲丸々聞くことが出来る凄い商品が出たものだと感心しました。CD自体の開発には関与していませんが、実はあのクラシック音楽界で知らぬ者がいない伝説の指揮者カラヤンのアドバイスがあって正式な規格が生まれたのです。

CDの収録時間を決めたと言っても過言ではないカラヤンという人物の偉大さは計り知れません。ソニー副社長と個人的に知り合いだったという事が最後の逆転劇に繋がります。そして今でこそ当たり前となったCDがどのようにして生まれたのか、ご覧ください。

ヘルベルト・フォン・カラヤン

世界的な指揮者として知られる帝王カラヤン、彼が亡くなってから長い年月が経過しました。カラヤンについて知らない世代も増えてきてクラシック音楽を愛する者として寂しい気持ちはぬぐえません。そしてさらに残念な事にカラヤンの演奏はもう録音でしか聴くことが出来ないのですね。

そんな世代の若者のためにもカラヤンが如何に偉大な指揮者だったかを少し紹介しておきましょう。ベルリン・フィルを手中に収めた彼は、その後、ウィーン国立歌劇場の総監督なども務め、ヨーロッパのクラシック界の帝王として、君臨しました。

帝王カラヤン

1908年ザルツブルク生まれ。そして1989年に亡くなっています。81年の生涯。頭角を現してきたのは第2次世界大戦後のことです。カラヤンがベルリン・フィルの終身音楽監督になり、またウィーン国立歌劇場の音楽監督にも就任。この頃から「帝王」という冠が付くようになりました。

ウィーンは途中で辞めましたが、ベルリン・フィルと果たした業績は数限りなくあります。まさに1960年代から1980年位までは「帝王カラヤン」の大活躍の時代でした。クラシック音楽の頂点に登りつめた天才でした。カラヤンの果たした使命は彼以外には成し得なかったでしょう。

カラヤンの残した功績

カラヤンが如何に凄かったかは彼のCD、DVDを聴き、観てもらえばすぐに分かって貰えるでしょう。あれだけ精力的に録音、録画を残してくれたからこそ、現在でも彼の素晴らしさがよく分かります。これらの録音・録画は帝王カラヤンの遺産として現在に引き継がれています。

彼が当時の最先端の技術を取り入れ、自分で映像会社も作り、熱心に録音、録画に取り組んだからこそ、彼の偉大さが今の時代でも伝わっているのです。彼の録音を聴いてみてください。好き嫌いはあるでしょうが、全ての曲がこれだけのクオリティを持っているのは才能の証です。

本当にカラヤンの録音には「カス」がありません。録音ひとつひとつが優れた物ばかりです。後は好みだけの問題。ベートーヴェンの大曲から、オペラの序曲のような小品まで、細部まで拘って録音されています。全く「凄い」としか形容できません。

カラヤンが関わったCDの開発

前章でカラヤンの素晴らしさを分かって頂いたと思いますので、話を本題のCDの収録時間の話題に戻しましょう。直接開発したわけではありませんがCDの誕生に深く関わった人物の一人です。個人的に親しかった、ソニーの当時の副社長であった大賀典夫との関係が最後に生きたのです。

フィリップスとソニーで共同開発

1982年に製品化されたCDは世界的な家電メーカー、オランダのフィリップスと日本のソニーが共同開発したものです。フィリップスは日本だと電動シェーバーや歯ブラシが有名ですし、ソニーに関しては日本が世界に誇る家電メーカーです。

世界規格を作ろうと2社で始めた開発でしたが、全てが上手くいきかけていた最終段階、CDのサイズでの問題が浮き上がってきました。フィリップスもソニーも自分たちアイデアの方が正しいとの主張を曲げず、共同開発自体が危ぶまれる危機にも発展しました。

直径11.5cmか12cmか

開発の最終段階で両者が揉めたのは、その直径でした。つまり収録時間にも拘わる問題です。フィリップスはカセットテープの対角線である11.5cm(収録時間60分)を主張し、またソニーはクラシック音楽の95%が収録できる12cm(収録時間74分)を主張し、どちらも譲りませんでした。

フィリップスはカーオーディオで簡単にカセットからCDに切り替えられる事を考えていたようですが、ソニーはあくまで音楽ソフトの事を考え、オペラだったら1幕全体が入るように、交響曲はフルトヴェングラーの『第9』が入る事を考えていたようです。

ソニー内部での調査では12cm(74分)にするとクラシック音楽の95%は1枚で済むとの判断も大きかったようです。当時ソニーの副社長は声楽家出身の大賀典雄でした。彼は親交のあった当時クラシック界で大きな影響力があった帝王カラヤンに助言を求めました。

大賀典夫はカラヤンの現状を説明し、最後の詰めで上手く纏まらないので何か良い案は無い物かと相談したそうです。すると、カラヤンは即座に「ベートーヴェンの交響曲第9番が1枚に収まったほうがいい」と提言したそうです。そして、ソニーの主張を全面的に支持すると言ってくれました。

カラヤンの助言を受けた両社の最終判断

その後の両者の話し合いで、ソニー側からの説明の際、カラヤンの提言もフィリップス側に伝えられました。カラヤンの名前も出されて、しかもソニーの主張を支持していると伝えられたフィリップス側もそれを無視する事はできませんでした。

このカラヤンの提言を受け、クラシック音楽の95%が75分あれば1枚に収められるとの調査もあり、直径12cm最大収録時間74分42秒という規格に決定されたとのことです。彼の発言の影響力がそんなにもあったのですね。さすがは帝王ヘルベルト・フォン・カラヤンです。

この話が後から作られた作り話だと主張する人もいますが、ソニーの社史にも取り上げられていますし、後に大賀典夫も言っている事ですので事実とするのが正しい見方だと思います。CDの収録時間を最終的に決めた人物は、まぎれもなく、帝王カラヤンだったのです。

まとめ

愛するカラヤンがCDでも名が残るなんて素晴らしい事です。フィリップスとソニーの両社ともその提言に従ったのですから、本当に帝王だったのですね。最近は技術も進歩して同じ12cmでも80分入る物なども出てきました。技術の進歩は目まぐるしいですね。

今日はカラヤンのCDでも聴いて、心豊かになりましょうか。アンチカラヤンの方も今日位はカラヤンについて考えて見るのもいい機会かと思います。いい演奏がたくさん残っています。CD収録時間の最終決定者はカラヤンだったという事を確かめながら、1曲聴きましょう。

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