アヴェマリア

誰でも1度は『アヴェ・マリア』を耳にした事があると思います。心が洗われる気分になりますね。私はキリスト教徒ではありませんが、この曲を聴くと本当に「神」が存在するように思えてなりません。そして、心が落ち着く自分がいます。

アヴェ・マリアは様々な作曲家が曲を付けていますが、中でもシューベルト、グノー、カッチーニの作品は「三大アヴェ・マリア」と呼ばれています。今回はこの3曲を実際に聴いてみましょう。聴き慣れた作品ですが、新たな感動を得る事が出来るはずです。

いつ収まるか分からない新コロナ・ウィルス。日々不安で困難な毎日ですが、この音楽を聴いて心の平安を保ちましょう。そして、毎日健康に生きている自分に感謝し、明日への活力を引き出しましょう。『アヴェ・マリア』は心の平安を与えてくれます。

アヴェ・マリアについて

「アヴェ・マリアの祈祷文」はカトリック教会における最も基本的な祈祷文のひとつです。原文はラテン語で新約聖書の「ルカによる福音書」から取られた文章と中世においてフランシスコ会の修道士が付け加えた文章から成り立っています。

「アヴェ」の意味は「こんにちは」または「おめでとう」ですが、教会では『アヴェ・マリア』は「祝福あれ、マリア」と訳します。『アヴェ・マリア』はこの祈祷文が転じて、カトリック教会の聖母マリアへの祈祷そのものを指すようになりました。

【アヴェ・マリアの祈祷文】(ラテン語)

Ave Maria, gratia plena,
Dominus tecum,
benedicta tu in mulieribus,
et benedictus fructus ventris tui Jesus.
Sancta Maria mater Dei,
ora pro nobis peccatoribus,
nunc, et in hora mortis nostrae.

【口語和訳】

アヴェ、マリア、恵みに満ちた方、
主はあなたとともにおられます。
あなたは女のうちで祝福され、
ご胎内の御子イエスも祝福されています。
神の母聖マリア、
わたしたち罪びとのために、
今も、死を迎える時も、お祈りください

シューベルト『アヴェ・マリア』

「三大アヴェ・マリア」の中ではこの『アヴェ・マリア』が最も聴き慣れたものでしょうか。ただし、彼の『アヴェ・マリア』は歌詞がドイツ語で、しかも原詩は祈祷文ではなく、スコットランドの詩人ウォルター・スコット『湖上の美人』から引用しています。

彼の『アヴェ・マリア』は7曲からなる歌曲集『湖上の美人』の中の第6曲目です。『湖上の美人』の中でエレンという女性によって歌われるのですが、エレンが歌う曲としては3曲目にあたるので「エレンの歌第3番」とも呼ばれる事があります。

心が洗われるような不思議な魅力を持った作品です。メロディメーカーといわれたシューベルトの天才ぶりが思う存分表現されています。この作品を聴くと胸がいっぱいになって涙が出そうです。シューベルトの歌曲は本当に素晴らしいです。

【1番のみ】

Ave Maria! Jungfrau mild,
Erhöre einer Jungfrau Flehen,
Aus diesem Felsen starr und wild
Soll mein Gebet zu dir hinwehen.
Wir schlafen sicher bis zum Morgen,
Ob Menschen noch so grausam sind.
O Jungfrau, sieh der Jungfrau Sorgen,
O Mutter, hör ein bittend Kind!
Ave Maria!

アヴェマリア!寛容な乙女(マリア)よ、
一人の生娘(エレン)の嘆願をお聞き入れ下さい、
この固く荒々しい岩壁の中から
私の祈りが貴女のもとへ届きますように。
私たちは朝まで安らかに眠ります、
たとえ人々がどんなに残忍であっても。
おぉ乙女(マリア)よ、この生娘(エレン)の心配事を見て下さい、
おぉ聖母(マリア)よ、一人の懇願する子(エレン)を聞いて下さい。
アヴェマリア!

グノー『アヴェ・マリア』

今ではグノーの『アヴェ・マリア』として有名です。しかし、グノー自身はメロディだけ作曲して、ピアノ伴奏部分はJ.S.バッハの『平均律クラヴィーア曲集』の第1巻・第1番・「プレリュード」の丸パクリ。ただ、1小節だけ付け足しました。

著作権などなかった時代ですからそんな事も許されたのです。メロディはグノー自身のもので大変美しい物ですから、そのまま定着してしまいました。グノーの『アヴェ・マリア』は「マリア祈祷文」を使った正当なものです。

シューベルトの『アヴェ・マリア』とはまた違った印象があります。何といってもメロディが素晴らしいです。心の中に感動が湧きあがってきます。この『アヴェ・マリア』も聴く度に涙が出そうです。真摯な気持ちに包まれる作品です。

カッチーニ『アヴェ・マリア』

現在ではカッチーニの『アヴェ・マリア』として認知されていますが、ジュリオ・カッチーニの作品ではない事が明らかになっています。当初は「作曲者不詳」でしたが、ソ連の作曲家ウラディミール・ヴァヴィロフが作曲したものと判明しました。

ヴァヴィロフの死後にこの曲の最初のCDが出ましたが、どういった訳かカッチーニ作と表記されたため、カッチーニの『アヴェ・マリア』として広まってしまいました。後にヴァヴィロフの作曲と分かりましたが、多くの人たちはカッチーニ作と思って聴いています。

この『アヴェ・マリア』の歌詞は「Ave Maria」だけの繰り返しです。作曲者はカッチーニではなくとも、美しい作品である事に間違いないありません。敬虔な気持ちにさせてくれます。心の中の汚いものを洗い流してくれるようです。

まとめ

「三大アヴェ・マリア」を聴いてきました。10人を超える様々な作曲家が『アヴェ・マリア』を作曲してきましたが、やはりこの「三大アヴェ・マリア」には敵いません。困難な時期ですが、そんな時だからこそこういった音楽を聴いて心の平安を保ちましょう。

関連記事