藤田真央(ふじた まお、男性)は、2019年のチャイコフスキー国際コンクール、ピアノ部門で見事第2位に輝いた逸材です。まだ、20歳ながら、今まで歩んできた道を見てみると、とても華やかなものがあり、将来を嘱望されている新進気鋭のピアニストです。

写真ではまだまだ幼さが残っていますが、ピアノを弾けばこんな名手なのと驚いてしまいます。現在はまだ東京音楽大学で学んでおり、今後の伸びしろが多くとても楽しみです。YouTubeで演奏している姿が見られますが、本当にピアノを弾くのが楽しくてしょうがない様子が伝わって来ます。

故・中村紘子をして「演奏に恋をした」と言わしめた藤田真央のピアノの才能の凄さを追いかけてみる事にしましょう。チャイコフスキー国際コンクール第2位が決してまぐれではなかった事が分かって貰えると思います。生い立ちやコンクール歴、そして人柄なども伝えられたら幸いです。

藤田真央・略歴

藤田真央ピアニスト©EvgenyEvtyukhov

1998年11月28日、東京生まれ。3歳からピアノを始める。東京音楽大学付属高等学校卒業。東京音楽大学特別特待奨学生としてピアノ演奏家コース・エクセレンス在学中。2010年、第64回全日本学生音楽コンクール小学校の部全国大会第1位。併せて各賞を独占。

2016年には、故・中村紘子氏が最後に審査員を務めた浜松国際ピアノアカデミーコンクールで第1位。2017年、第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝。併せて「青年批評家賞」「聴衆賞」「現代曲賞」の特別賞を受賞。この受賞を以て、ピアノ界で話題となる。

2019年6月、第16回チャイコフスキー国際コンクール、ピアノ部門にて第2位を受賞。審査では聴衆から熱狂的なスタンディング・オベーションで迎えられた。これまでに、世界各国のオーケストラから招待され、協演を重ねている。また、様々な音楽祭からの招待も数多い。

2019年の映画『蜜蜂と遠雷』では、風間塵役の演奏を担当して話題となる。CDはナクソス・ジャパンから全5枚のソロ・アルバムがリリースされている。

藤田真央・チャイコフスキー国際コンクール第2位

2019年6月28日、第16回チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門にて、藤田真央は見事第2位を獲得します。審査では、聴衆から熱狂的なスタンディング・オベーションで迎えられ、ネット配信を通じて世界中の注目の的となりました。

入賞記念ガラ公演では、ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団と共演し、喝采を浴びました。同コンクールは、エリザベート王妃国際音楽コンクール、ショパン国際ピアノ・コンクールと並ぶ世界3大コンクールの1つで、4年に1度開催されています。

第1位を逃したことは残念ですが、彼の素晴らしさを証明するには充分の価値があります。コンクールは演奏する順番などの、音楽とは関係ない要素も乗り越えなければならない壁がありますから、時の運という事もあったかも知れません。しかし、第2位という成績は立派なものです。

藤田真央、故・中村紘子から絶賛

2016年、浜松国際ピアノアカデミーコンクールで第1位を受賞した時、故・中村紘子は「藤田くんのラフマニノフの『(ピアノ)協奏曲第3番』に恋しちゃったわ。 あの演奏が心に絡みついてどうにも離れないし、夜も寝られない。」と絶賛しました。

くしくも、2016年の浜松国際ピアノアカデミーコンクールは、故・中村紘子が審査委員長をした最後の年でした。将来の日本のピアノ界のために立ち上げたンクールでしたから、最後に藤田真央のような逸材が出てきて、天国の中村紘子もきっと喜んでいると思います。

藤田真央の音楽

インタビューから彼の言葉を拾ってみます。

「「全ての音を自分が支配して、どういう音を自分が出したいのか、すべての指にそれが伝わり、すべての響きとしてそうなるように」と指導されていて、それを意識しています。難しいですけど、そうならないといけないかな、と感じています。」

「常に「音」のことは意識しています。やっぱり自分はテクニックの前に、音がきれいであるかどうか、音がどれだけ魅力的であるかどうかを考えて弾いています。例えば、次はこういう音を出そうとか。ですので、音を出す前に必ず100%こういう音をというのを作っています。」

「それから、「集中力」は昔から課題にしていました!すぐに集中が切れちゃうので。」そうは言っていますが、藤田真央の集中力は並大抵のものではありません。本番に挑むという事は集中力が命ですから、音楽家にとっては一番大切な事なのだと思います。

どんなピアニストになりたいかという問いに対して、「普段から自分が出す「音」にこだわりを持っています。自分にしか出せない音・響きに、より一層磨きをかけて、人々に喜びを与えられる、そして長い間愛されるピアニストになりたいです。」と答えています。

藤田真央の将来

今後のオーケストラの協演なども随分入っているらしいですし、CDの録音も続けて出すようです。レパートリーを増やす事も考えており、ベートーヴェンとかバッハとか弾きたい楽曲もあるそうです。まだ学生という立場でもあり、先生のいう事を一つ一つこなしていくようです。

まだまだ若い好青年ですから、音楽的深さも今後ますます身に着けていくことでしょう。話し方も人柄の良さを表していますし、藤田真央が純粋な青年である事も良く分かります。その感覚で純粋に音楽の感性を磨いていけばもっと輝く良いピアニストになっていくと思います。

まとめ

ピアニスト、藤田真央は動画で見る限り明るい青年であり、ピアノを弾かなければ普通の大学生に思えます。変に冷めた出来上がった人間像でないところが、好ましいです。将来どうなるかは本人次第ですが、天才ピアニストとなる可能性も大いに期待できそうな人物です。

天性の才能が大いに開花する可能性が高い位置にいるピアニストであり、このまま上手く育ってほしいピアニストです。故・中村紘子があんなに絶賛したピアニストです。彼の音楽的精進を最大限に期待しています。

関連記事