映画 クラシック音楽

良い映画ほど素晴らしい音楽が効果的に使われています。物語を盛り上げたり、観客の涙や感動が伝わるのは、映像だけでなく音楽の力も関係しています。良い映画を見た後で、つい音楽を口ずさんだ経験はありませんか。頭の中に良い思い出として刻まれるからです。

映画とクラシック音楽は切っても切れない関係です。それは、クラシック音楽には名曲が多いからです。そして、どんな場面でも使える音楽が存在しているからでもあります。映画全編には使われていませんが、その中でも肝の部分に丁度合ったクラシック音楽が使われます。

映画の内容は忘れても、音楽だけは不思議に忘れません。そこで、映画に使われているクラシック音楽ランキングを作成しました。あくまでも、好きな映画のランキングではなく、効果的に音楽が使われた映画のランキングです。そこを忘れずに読んで頂けたら幸いです。

第10位 短くも美しく燃え


使用されているクラシック音楽:モーツァルト『ピアノ協奏曲第21番』~第2楽章、ヴィヴァルディ『四季』~「夏」

監督:ボー・ヴィーデルベリ
製作国:スウェーデン
公開:1967年
出演者:ピア・デゲルマルク、トミー・ベルグレン、クレオ・ジェンセン

1889年にスウェーデンで実際に起こった事件を元に描かれた悲恋物語です。モーツァルト『ピアノ協奏曲第21番』の美しいメロディと見事な映像美が際立っている映画でした。ほぼ全編に渡ってこの2曲が流れますが、使われ方がお涙頂戴な点がマイナスで、第10位です。

第9位 ダイハード2


使用されているクラシック音楽:シベリウス『フィンランディア』

監督:レニー・ハーリン
製作国:アメリカ
公開:1990年
出演者:ブルース・ウィリス、ボニー・ベデリアほか

ブルース・ウィルス演じるマクレーン警部が、クリスマス休暇中に事件に巻き込まれるお馴染みの映画です。事件が解決し、燃料が無くなりそうな航空機が次々と着陸してくるシーンで使われ、大団円を迎えるにはもってこいの音楽でした。この部分だけの盛り上げであるので、第9位です。

第8位 ウェスト・サイド・ストーリー


使用されているクラシック音楽:レナード・バーンスタイン『トゥナイト』、『アメリカ』など

監督:ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ
製作国:アメリカ
公開:1961年
出演者: ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマーほか

シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をニューヨークに置き換えたミュージカルを映画化した作品です。バーンスタインの作曲の才能が存分に発揮された映画です。ミュージカル映画であるので、全編音楽が流れますが、純粋なクラシック音楽ではないのでこの順位です。

第7位 プラトーン


使用されているクラシック音楽:バーバー『弦楽のためのアダージョ』

監督:オリバー・ストーン
製作国:アメリカ
公開:1987年
出演者:チャーリー・シーン、トム・ベレンジャー、ウィレム・デフォーほか

ベトナム戦争での実体験をもとに製作されたオリバー・ストーン監督の代表作です。戦争の現実が、如何に無残で、悲劇的で、過酷なものだったかを、この映画は伝えています。その現実をよりリアルに伝わるようにこの楽曲が使われていて、想像以上の過酷さを伝える一役を担っています。

第6位 地獄の黙示録


使用されているクラシック音楽:ワーグナー『ワルキューレ』~ワルキューレの騎行

監督:フランシス・フォード・コッポラ
製作国:アメリカ
公開:1979年
出演者:マーロン・ブランド、ロバート・デュヴァル、マーティン・シーンほか

ベトナム戦争の映画。武装したヘリコプターが編隊を組んで進撃するシーンで『ワルキューレの騎行』が使用され、非常に効果的に使われています。この楽曲が、これから戦場へと向かっていく兵士たちの意志を強く打ち出しています。この場面だけの演出なのでこの順位です。

第5位 さよならをもう一度

さよならをもう一度
使用されているクラシック音楽:ブラームス『交響曲第3番』~第3楽章

監督:アナトール・リトヴァク
製作国:フランス・アメリカ合作
公開:1961年
出演者:イングリッド・バーグマン、イヴ・モンタン、 アンソニー・パーキンスほか

フランソワーズ・サガンの小説『ブラームスはお好き』を映画化したもの。フランス映画らしい大人のロマンスを描いています。全編に渡ってブラームス『交響曲第3番』のとても甘美なメロディが効果的に使われています。しかし、この楽曲自体が、名曲と言えるかどうかの点で第5位です。

第4位 ファンタジア(1940年版)


使用されているクラシック音楽:ストラヴィンスキー『春の祭典』、デュカス『魔法使いの弟子』、ムソルグスキー『はげ山の一夜』、シューベルト:『アヴェ・マリア』ほか

監督:ベン・シャープスティーン
製作国:アメリカ
公開:1940年
出演者:

ディズニーの長編アニメーション映画です。映画で初めてステレオ音声が使われました。8編の物語をオーケストラによるクラシック音楽だけを使ってアニメーションにしました。クラシック音楽を題材にしたアニメですが、あまりにも録音が古い事がマイナスなので、この順位にしました。

第3位 2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅
使用されているクラシック音楽:R・シュトラウス『ツァラトゥストラはかく語りき』~『日の出』、ヨハン・シュトラウスⅡ『美しく青きドナウ』ほか

監督:スタンリー・キューブリック
製作国:アメリカ
公開:1968年
出演者:キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター

アーサー・C・クラークの原作を基に、スタンリー・キューブリックが映像化したSF映画の金字塔です。冒頭の『ツァラトゥストラはかく語りき』の音楽は特に印象的です。最後にパイプオルガンの響きだけが残るのも感動物です!

この映画はセリフが少なく、その代わりにクラシック音楽が効果的に使われています。この映画を第1位に挙げる人もいる事でしょう。カラヤン指揮ウィーン・フィルの録音を使った素晴らしい映画ですが、第2位、第1位がそれ以上に素晴らしいので、この順位です。

第2位 アマデウス


使用されているクラシック音楽:モーツァルト『交響曲第25番』ほかモーツァルトの曲多数

監督:ミロス・フォアマン
製作国:アメリカ
公開:1984年
出演者: F・マーリー・エイブラハム、トム・ハルスほか

モーツァルトの死をめぐる舞台劇を、見事に映画にした傑作です。宮廷音楽家だったサリエリの回想から入り、モーツァルトの人物像を追っていく内容は素晴らしいの一言。映画冒頭の『交響曲第25番』第1楽章の疾走感がまた見事。これからの物語を暗示しているようです。

使用されているクラシック曲は『フィガロの結婚』、『魔笛』、『レクイエム』などなど名曲多数。全編に渡り、全て、モーツァルトの音楽が使われ、演奏も素晴らしいです。これを第1位にするかどうか悩みましたが、第1位の内容が勝ると判断しました。

第1位 ベニスに死す

ベニスに死す
使用されているクラシック音楽:マーラー『交響曲第5番』~第4楽章(アダージェット)

監督:ルキノ・ヴィスコンティ
製作国:イタリア・フランス合作
公開:1971年
出演者: ダーク・ボガード、ビョルン・アンドレセン、シルヴァーナ・マンガーノほか

マーラーがモデルと言われる小説を映画化したものです。こんなにも優雅な美しさに満たされた映画は他にあるでしょうか。クラシック・ファン、特にマーラー・ファンにはお勧めの映画です。ですので第1位としました。

全編に渡り、マーラーの音楽が流れます。特に『交響曲第5番』のアダージェットはこの映画と良くマッチして、心に迫ってきます。『交響曲第3番』も顔を出します。老人と少年の不思議な関係、人間の悲哀などマーラーの世界観が溢れ出ている作品です。

まとめ

映画に使われているクラシック音楽の数々を見てきました。映画の内容は様々ですが、映像をより効果的に盛り上げたり、逆に厭世感を覚えさせたり、音楽には映像とは違った力があります。映像と音楽が上手く合体する事によって、人間の心模様やストーリーの展開などを教えてくれます。

ここに挙げた映画以外でも、クラシック音楽が効果的に使われている映画は多数存在します。今ではクラシック音楽を題材とするアニメ映画も増えました。ホームシアターもいいですが、たまには映画館の大スクリーンで見るのもいいものですね。クラシックの名曲が使われているかも。

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