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マウリツィオ・ポリーニ

ショパンコンクールの際に、審査委員長を務めたルービンシュタインに「我々、審査員の中で彼ほど上手く演奏できる者がいるだろうか、彼は私よりも上手いかもしれない」と言わしめた天才ピアニストマウリツィオ・ポリーニ。

ショパンの曲なら朝飯前!そんなマウリツィオ・ポリーニが完璧なテクニックで正確にスコアを再現していく演奏は、機械のようであるとクラシック音楽の歴史の中で幾度となく評価されています。それほどポリーニの演奏は完璧だったということです。

精密機械と言われる程に完璧な演奏をするマウリツィオ・ポリーニのピアノテクニック・音楽性・彼が残した名盤など情報盛りだくさんで紹介していきたいと思います。

ポリーニはクラシックの歴史に残るピアニスト

歴史に残るピアニスト
「スコアだけが全て」ポリーニは曖昧を嫌い、正確であることを重んじ、正確で力強く、徹底的に音を浮かび上がらせることに徹しています。そのストイック過ぎるピアノ演奏はクラシックの歴史に間違いなく名を残す天才ピアニストです。

正確すぎるテクニック

彼のピアノは常に冷静で鋭く、硬質な音も極めてクールなものです。あまりの完璧さゆえに、ポリーニの演奏は「冷たい、面白みにかける」とも評価され、しばし否定される事もあります。しかしそれほどまでに正確無比な演奏をするのが彼の才能なのです。

良くも悪くも「機械」と呼ばれ、時に正確すぎるテクニックが否定をされてきました。それでも音楽という芸術の世界で彼がMr.パーフェクトと呼ばれるに至ったのは、否定されても自分の音楽を貫く『鋼の精神』によるものも大きいのではないでしょうか。

ポリーニの音楽性

「単に客受けを狙った曲や音楽的に価値のない曲は弾かない」というのが近年のマウリツィオ・ポリーニのポリシーです。演奏する曲には異常なまでにこだわりをもち、近頃はシェーンベルグなど、現代音楽にも力を入れています。

テクニックのキレが冴え渡るポリーニは、ショパンのエチュードはもとより、前奏曲集やリストのピアノソナタも大変素晴らしいです。クラシック界に名を残すマウリツィオ・ポリーニのショパンは彼の正確無比な音楽性を存分に発揮した演奏です。

異常なこだわりを持つピアニスト

クラシックのアーティストは繊細な神経の持ち主で、気難しい人が非常に多いのが特徴です。完璧主義ゆえ、リハーサルの時からとても気を遣うそうですが、ポリーニはその中でも異常なまでにこだわりが強いピアニストです。

ステージ上のピアノの位置をこまかくチェックし、端から何センチとか、現代作品を弾くときはピアノを前方に置くとか、とにかく細かい指示が出るそうです。演奏だけでなく、あらゆる事にプロ意識を持つ本当にストイックなピアニストなのです。

マウリツィオ・ポリーニの名盤

正確無比なテクニックを持つ天才ピアニストの録音は素晴らしいものが非常に多いです。ソロも協奏曲も完璧にこなす技術はまさにパーフェクト!特筆して『ショパン:12の練習曲 作品10/作品25』はクラシックファンなら一度は聴いていただきたい名盤です!

マウリツィオポリーニの神録音

揺るぎない確立された演奏技術、硬質ながら鮮やかに彩られた音楽性。この紛れもない誉れ高き名盤は、クラシック音楽界の頂に君臨する金字塔と言っても過言ではないと思います。ポリーニの良さがよく出るとこんな名盤になってしまうのです。

ポリーニの名盤TOP10

1位 ショパン:12の練習曲 作品10/作品25
2位 ショパン:ピアノ・ソナタ 第2番&第3番、舟歌
3位 ショパン:24の前奏曲
4位 ブラームス:ピアノ協奏曲第1番、第2番(指揮:ティーレマン)
5位 ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの3章、プロコフィエフ:ピアノソナタ7番他
6位 ブラームス:ピアノ協奏曲2番(指揮:アバド)
7位 ドビュッシー:前奏曲集第1巻
8位 ベートーヴェン:ワルトシュタイン
9位 ベートーヴェン:月光
0位 シューマン:交響的練習曲

天才ピアニストを支えた人々

ピアニスト ポリーニ
マウリツィオ・ポリーニはとにかくこだわりが強く、ピアニストとして天才であると同時に周りから気を遣われる事も多く、正当な評価を受けられない事も多かったそうです。そんな天才ポリーニを支え、称賛した人のエピソードを紹介します。

これ以上、何をお望みですか?

日本が誇る評論家もマウリツィオ・ポリーニの才能を後押しした人物のひとりでした。このキャッチコピーは、ポリーニが演奏するショパン『12の練習曲 作品10/作品25』が発売された時に、私の敬愛する音楽評論家、故・吉田秀和がレコードの帯に書いたものです。

ポリーニの素晴らしい演奏を紹介するのにはこれしかない!というキャッチコピーだと思います。さすがは故・吉田先生、上手いことをすらっと書いています。実際このコピーがついた録音は、日本クラシック界の大ベストセラーとなりました。

ポリーニを支えたコンサートスタッフ達

上記でも紹介していますが、ポリーニのコンサートに対するこだわりは異常な程で、ポリーニの考えに振り回され、困惑するコンサートスタッフも多かったそうです。わがままなオヤジぐらいに思われていたのかもしれません。

しかしそんな考えを持つスタッフもポリーニの演奏やプロ意識を垣間見ると考えを一変させたそうです。ポリーニの出す指示を事細かにメモし、天才が安心して演奏できる最高の環境を整えるようになり、ポリーニも彼等の働きに感嘆するまでに至ったそうです。

ポリーニのエピソード集

ポリーニ エピソード

ポリーニの性格や人柄が伝わってくるような短いエピソードをいくつか取り上げてみたいと思います。演奏だけではなくMr.パーフェクトと称された天才ピアニスト「マウリツィオ・ポリーニ」のプライベート的な一面も垣間見えると思うのでご覧ください。

  • 単に客受けを狙った曲や音楽的に価値のない曲は弾かない。
  • 私生活でのポリーニは好奇心旺盛で、気に入るととことん熱中するタイプ。
  • 質問に対しては即答をしないで、良く自身の考えをまとめた上で回答するので時間が掛かる。
  • 同じミラノ生まれの指揮者クラウディオ・アバドとは昔から気の合う仲間で、今でも深い親交がある。
  • 体は小柄なのに、指がとても大きく、ピアノの1オクターブ半(約26cm)届く。
  • 趣味は映画、演劇、スポーツカーを乗り回すことで、チェスの腕前は名人級。

正確無比を誇る天才の悲しみ

マウリツィオ・ポリーニ
ポリーニはその演奏の正確性から「冷たい、面白みにかける」と批判される事もしばしばです。誰も真似できない機械とまで呼ばれる正確無比なテクニックが災いした面白い批評を見ていきたいと思います。

魂を抹殺するテクニック!

ある評論家がポリーニについてこんな事を言っています。「ポリーニは伝えるべきものが何もないのにテクニックだけがある。魂を抹殺するためにテクニックを鍛え上げたのだ」

あまりの完成度に「魂を抹殺する」とまで評されるポリーニ!最早批評ではなく、彼の技術を高く評価しているようにすら思えます。聴いているものにそこまで印象付けるテクニックは、やはり天才ピアニストだからこその力なのでしょう。

ミスタッチが恋しくなる演奏

「ポリーニの演奏を聴いていると、録音が古くてミスタッチだらけのコルトー盤がしきりに懐かしく思い出される」「完璧すぎて異様、ごまかしのなさが空恐ろしく、ぬくもりが全く感じられない」とも付け加え、ポリーニを一刀両断に切り捨てています。

聴衆にミスタッチが恋しくなる程に完璧な演奏を聴かせてしまうポリーニの技術はやはり異常と言っても過言ではないのかもしれません。表現力を重んじる芸術の世界ですが、テクニックを極めたこんなピアニストが一人ぐらいいても良いのではないでしょうか。

まとめ

マウリツィオ・ポリーニは完璧なテクニックを持った唯一無二のピアニストです。彼の演奏技術を超えるピアニストは今後いないのではないかと思う程です。

その正確さゆえに批判される事も多くありますが、彼はピアニストとして、そしてプロとしてストイックに自分の理想とする演奏を追い求めてきたひとりの素晴らしい音楽家なのです。是非みなさまも、ポリーニの氷のように冷たく正確無比な演奏をお楽しみください。

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