
クラシック音楽のコミック化の先駆けとなった『のだめカンタービレ』は面白かったですね。テレビでも放送され映画にもなりました。私もコミックを全巻読み、テレビにも夢中になっていた1人です。
『のだめカンタービレ』の作者はどうして「カンタービレ」をタイトルに付けたのでしょうか?主人公の野田恵こと「のだめ」の成長して行く姿を躍動感溢れるように描きたかったからなのではないでしょうか。
この「カンタービレ」などの事を発想記号と言います。発想記号とは演奏記号のひとつです。今回は演奏記号について解説します。


1:強弱記号
音の強さ、弱さに対する記号です。フォルテとかピアノとか聞いたことがありますよね。たぶん小学校で習ったと思います。
ある強さが続くことを表す記号
この記号が書いてある音符よりあとの音符も、同じ強さで演奏することを表します。
いくつかの例を見てみましょう。
強弱記号
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読み方
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意味
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---|---|---|
f
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フォルテ
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強く |
p
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ピアノ
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弱く |
mf
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メゾ・フォルテ
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やや強く |
mp
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メゾ・ピアノ
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やや弱く |
強さの変化を表す記号
だんだん大きく、またはだんだん小さくすることを表す強弱記号には、文字によるものと図形によるものとの2通りがあります。意味は同じですが、文字によるものが通常変化の開始点に書かれるのに対し、図形では変化の開始から終了までにわたって書かれる事が普通です。
1:文字によるもの
いくつかの例を見てみましょう。
強弱記号
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読み方
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意味
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---|---|---|
cresc.
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クレッシェンド
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段々大きく |
decresc.
|
デクレッシェンド
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段々小さく |
dim.
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ディミヌエンド
|
段々小さく |
2:図形によるもの
いくつかの例を見てみましょう。
強弱記号
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読み方
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意味
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---|---|---|
<
|
クレッシェンド
|
段々大きく |
>
|
デクレッシェンド
|
段々小さく |


2:速度記号
音楽の速さ(テンポ)を表す記号です。一定の速度を表す物や変化を表す記号などがあります。
1:一定の速度を示すもの
いくつかの例を見てみましょう。
速度記号
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読み方
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意味
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---|---|---|
grave
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グラーヴェ
|
重々しく |
largo
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ラルゴ
|
幅広くゆるやかに |
adagio
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アダージョ
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ゆるやかに |
andante
|
アンダンテ
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歩くような速さで |
allegro
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アレグロ
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快速に・陽気に |
presto
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プレスト
|
急速に |
2:相対的な速さを示すもの
いくつかの例を見てみましょう。
速度記号
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読み方
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意味
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---|---|---|
più mosso
|
ピウ・モッソ
|
それまでより速く |
ritenuto(riten.)
|
リテヌート
|
それまでより遅く |
3:速度の変化を示すもの
いくつかの例を見てみましょう。
速度記号
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読み方
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意味
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---|---|---|
ritardando,rit.(ritard.)
|
リタルダンド
|
だんだん遅く |
stringendo(string)
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ストリンジェンド
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だんだん速く |
animato
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アニマート
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元気に速く |
4:その他の速度記号
いくつかの例を見てみましょう。
速度記号
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読み方
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意味
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---|---|---|
a tempo
|
ア・テンポ
|
元の速さで |
tempo primo
|
テンポ・プリモ
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曲頭の速さで |


3:発想記号
作曲者の意図や演奏時の心づもりや考え方を示すものです。いくつかの発想記号を見てみましょう。
発想記号
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読み方
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意味
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---|---|---|
cantabile
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カンタービレ
|
歌うように(美しく) |
agitato
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アジタート
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激しく |
appassionato
|
アパショナート
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熱情的に |
con brio
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コン・プリオ
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生気に満ちて 生き生きと華やかに |
dolce
|
ドルチェ
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甘美に |
legato
|
レガート
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滑らかに |
scherzando
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スケルツァンド
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愉快に ふざけるように |
sostenuto
|
ソステヌート
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音を保って |


4:アーティキュレーションを表す記号
音と音とのつながり方を変える事。また、音の強さのバランスを変える事をこう呼びます。以下に例を載せておきます。
アーティキュレーション記号
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読み方
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意味
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---|---|---|
tenuto(音符の上に”ー”を書く)
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テヌート
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音を保って |
staccato(音符の上に”・”を書く)
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スタッカート
|
音を切り離して |
slur(複数の音符の上に弧を書く)
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スラー
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音を結びつけて |


5:反復記号
ある部分を繰り返して演奏する事を表す記号です。ここでは記号表記が難しいので、簡単な使い方だけ挙げておきます。
反復記号名
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意味
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---|---|
繰り返し記号
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記号の範囲を繰り返して演奏する |
ダ・カーポ
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冒頭に戻る |


6:装飾記号
音を飾る記号です。装飾をどのくらい速く行うかなどは演奏者に任されます。これも記号を表示するのは難しいので例を何個か言葉で説明します。
装飾記号名
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意味
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---|---|
トリル
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その音とその2度上の音を速く反復させて音を揺らす |
ターン
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この記号がある所で2度上の音—その音—2度下の音—その音と、音を揺らす |
アルペッジョ
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和音を同時でなく、下から順にずらして弾く |


7:その他
その他様々な記号が用いられています。これも記号表記は難しいので、簡単な使用例を言葉で説明しておきます。
その他記号名
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意味
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---|---|
フェルマータ
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程よく伸ばす・拍を停止する |
グリッサンド
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2つの音の間の音を滑らせて演奏する |
ポルタメント
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次の音との間に短くグリッサンドを入れる |


まとめ
「カンタービレ」のような発想記号だけではなく、演奏記号全体をみてきました。楽譜って音符だけではなくこういった演奏記号もふんだんに使われています。
演奏者達が何気なく弾いている曲もこれら演奏記号の解釈をどう行なうかで我々が受ける感じは全く違って聴こえます。そうした事も考えて演奏会に通ってみるとまた違った楽しみ方も出来ると思います。