
2019年9月17日、世界の優れた芸術家を顕彰する「高松宮殿下記念世界文化賞」の第31回受賞者が決まり、東京、パリなどで発表されました。今年の「音楽部門」では世界的に活躍しているヴァイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムター(56歳)が選ばれました。
アンネ=ゾフィー・ムターは現在のヴァイオリン界では第1人者であり、音楽的にとても優れたヴァイオリニストです。13歳で指揮者カラヤンに見いだされた彼女は、それ以来ヴァイオリン界の大きな存在として、活躍してきました。今回の受賞はクラシック界でも喜ばしい出来事です。
アンネ=ゾフィー・ムターとは
アンネ=ゾフィー・ムターは、現代最高のヴァイオリニストのひとりとして世界的に知られています。彼女の演奏には多彩な音色、完璧な技巧、卓越した表現力、豊かな音楽性といった音楽家に必要な能力が全て備わっています。まさに天才ヴァイオリニストといえます。
カラヤンに認められ、13歳で新星のごとく楽壇にデビュー!世界は特別な驚きをもって彼女を迎えました。少女時代から世界的ヴァイオリニストであり続け、現在は、世界最高峰のヴァイオリニストになっています。2挺のストラディバリウスを使って、聴衆を魅了続けています。
バロックから現代音楽までレパートリーも幅広く、テクニックには人並み以上に優れていて抜群であり、音楽の表現の幅にも定評があります。これまで米グラミー賞を4度受賞。世界各国で1000万枚以上のCDを売り上げ、クラシック界では異例の販売枚数を達成しています。
音楽活動、慈善・教育活動の両面で、長年にわたり高水準を保ち続けていることが世界各地で評価され、2017年、フランス芸術文化勲章コマンドゥール受章し、また、2019年、スウェーデンのポーラー音楽賞も受賞しています。世界最高峰として最高の評価の証です。
彼女は日本文化にも理解があり、自宅の庭は日本庭園風だそうです。しかも、盆栽や俳句なども興味があるとの事!彼女は言っています。「日本の聴衆はクラシック音楽に詳しく、深い情熱を持つ人たち。私は日本に来るたびに感動します」。
高松宮殿下記念世界文化賞とは
高松宮殿下記念世界文化賞は、公益財団法人日本美術協会(現総裁・常陸宮殿下)によって1988年に創設されました。前総裁・高松宮宣仁親王の「世界の文化芸術の普及向上に広く寄与したい」という遺志を継ぎ、日本美術協会設立100周年を記念して創設した賞です。
絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の5部門あり、世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与されます。ノーベル賞では表彰されない分野を補完する賞でもあります。国境や民族の壁を越えて全世界から選ばれた受賞者たちは、私たちの時代の文化芸術の世界を代表する人たちです。
例年9月中旬に受賞者が発表され、10月下旬に明治記念館で授賞式が行われます。授賞式には、日本美術協会の総裁である常陸宮正仁親王夫妻が出席し、常陸宮から受賞者に顕彰メダルが授与されます。受賞者へは金メダルと1500万円が与えられます。
2019年度の受賞者
- 絵画部門:ウィリアム・ケントリッジ
- 彫刻部門:モナ・ハトゥム
- 建築部門:トッド・ウィリアムズ&ビリー・ツィン
- 音楽部門:アンネ=ゾフィー・ムター
- 演劇・映像部門:坂東 玉三郎
まとめ
音楽部門でのアンネ=ゾフィー・ムターの受賞は、我々クラシック・ファンの取って、とても喜ばしい事です。これもひとえに、今まで彼女が真摯な姿勢でヴァイオリンに向かってきたからです。彼女の演奏は、どれもこれも本当に素晴らしいです。
帝王カラヤンが本当のソロ・ヴァイオリニストは彼女だけだと言い切った事も当然です。カラヤンが認めた唯一の逸材ですから、今後も、ハードスケジュールに負けず、健康で、素晴らしい音楽を我々に聴かせてくれる事を期待しています。受賞をみんなが祝福しています。