
若手指揮者の登竜門「東京国際音楽コンクール」で女性初の栄誉に輝いた沖澤のどか(おきさわのどか)。彼女が優勝した2018年秋の「東京国際音楽コンクール」は女性初優勝というだけでなく、日本人としても実に18年振りの快挙だったのです!
日本一の女性指揮者となった沖澤のどか、2019年5月に行われたデビューコンサートも大成功に終わり、今後はドイツのベルリンを拠点としながら世界各地でその活躍が観れるようになります!日本に凱旋しての夏の演奏会も非常に楽しみです!!
才能に溢れる次世代の女性指揮者についてぜひ詳しく知っていただければと思います。日本のクラシック界だけでなく、世界の歴史を変える可能性を秘めた沖澤のどかの経歴をご覧ください。燕尾服に身を包む彼女は最高にクールです。
「沖澤のどか」とは
1987年、青森県生まれ。日本音楽界の最高峰「東京藝術大学」の音楽学部指揮科を首席で卒業した本当に才能溢れる女性です。その後はベルリンのハンス・アイスラー音楽大学を修了し、2017年はロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のマスタークラスに参加しています。
幼少期から「音楽は完全に生活の一部だった」と語っていて、チェロを趣味にしていた伯父の影響から、4歳からピアノ、9歳からチェロ、そして16歳の時にオーボエを始めます。高校では吹奏楽部に所属、音楽家になる事を目標にしたのは在学中の2年の冬だったそうです。
東京藝術大学と沖澤のどか
語学留学先のオーストラリアで多様な文化や考え方に触れた事が音楽家を志すきっかけとなります。私立音大へ進学した姉がいた事で、始めは自身もオーボエで私立音大を考えますが、語学留学を許してもらった手前「オーボエを買ってほしい」とは言い出せなかったそうです。
そこで唯一知っていた国立音大の「東京藝術大学」目指す事になります。指揮科の受験要項のソルフェージュが得意だった事もあり、これならいけるかもと思ったそうです。指揮の本格的なレッスンは僅かに数回、それでも日本トップの音楽大学に進学できる才能はすごい!!
東京藝術大学では苦労も多かったようです。既に音楽家として活動している学生も多く在籍する一流大学だけに「出来て当たり前」という環境についていけず悩み、苦しみ、休学した時期もありました。それを乗り越え2015年に卒業。ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学に留学します。
ドイツ留学、そして日本一へ
ドイツではメンデルスゾーン基金の奨学生に選ばれ、その才能に磨きをかけていきます。メンデルスゾーン基金を設立し、彼の楽曲普及などに尽力し続けたクルト・マズア【指揮者】から音楽だけでなく、人生についてなど、様々な事を彼から学んだと言います。
たくさん努力を積み重ね、彼女の才能は日本全国に知れ渡る事になります。「東京国際音楽コンクール」で女性指揮者として史上初!そして日本人としても優勝は18年振りという快挙を成し遂げるのです!非常に女性が少ない指揮の世界に、新たなスターが誕生しました。
沖澤のどかデビューコンサートではコンクールの際に高い評価を受けた「交響曲第3番【スコットランド】」を指揮し大成功を納めている。これからは日本を含め、世界各地で様々なオーケストラを指揮する予定なのだそうです。
東京国際音楽コンクールとは
東京国際音楽コンクールは、広く有能な音楽家の発掘、育成に努め、世界の楽壇への活躍を力強く推進すると共に、世界各国との音楽文化交流の推進・発展を目的に、1966年より実施されている。これまで「指揮」「声楽」「室内楽」の3部門を行ってきたが、現在は3年に一度「指揮」部門を実施している。
本コンクール「指揮」は、今回の開催で18回目を数える世界的な指揮者への登竜門である。これまで、毎回世界30を超える国、地域からの応募のもと、審査を勝ち超えた数多くの若き音楽家が、世界の楽壇へと飛翔している。
これからも、世界各国の優秀な音楽家が多く見出され、新しい時代の楽壇を担いゆく人材の輩出のために、主催者として大きく貢献して参りたい。
まとめ
いかがだったでしょうか。東京国際音楽コンクール史上初となる女性優勝者である沖澤のどかは今後も大注目の日本クラシック音楽界の宝と言えるでしょう。こういうニュースが舞い込むと日本人として本当に嬉しい限りです。
そんな沖澤のどかが2019年から本格始動するので、ぜひ彼女の指揮を実際にみてもらえればと思います。まだまだ女性比率が少ないクラシック界ですが、素晴らしい才能を持った女性演奏家がどんどん増えてくる事に期待大です!!
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