モーツァルトはケッヘルで表す!作品番号について調べてみました!!

作曲家の楽曲には必ず作品番号が付けられています。現代の作曲家にしてもそうです。作品番号は日本語なら「作品XX」、英語では「op.XX」と表します。

死後発見された楽曲でも、今は未完でない限り作品番号が付けられる決まりとなっています。大抵は「op.XX」がほとんどですが、中には「K.XX」とか「BWV.XX」なども見た事がある方も多くいる事でしょう。

作曲家によっては作品番号が「op.XX」でない事もあるのです。今回はそんな作曲番号について有名なものを紹介したいと思います。

昔の作曲家の作品整理はさぞや大変な作業だったのでしょうね。
存在する楽譜やスケッチを丹念に調べていくのだから、気の遠くなる作業だったと思うよ。

作品番号

作品番号とは、クラシック音楽の作曲家の楽曲に付される認識番号のようなものです。ほとんどが楽譜の出版順に付けられます。

普通の作曲番号

作品番号は英語やドイツ語ではOpus(オーパス)と呼ばれ、一般に「Op.」、「op.」などと略されて表記されます。日本語では「作品XX番」と表記されます。

作品番号は当然作曲された順番に番号が付けられている、と思っている人たちがほとんどでしょう。しかし、正確には楽譜が出版された順番に番号が付けられ、作曲者の死後出版された作品には「遺作」と付きます。

いくつもの楽曲が1冊に掲載されている「曲集」の場合は、作品番号の後にさらに数字が付きます。例えばショパンの『別れの曲』は正式には『練習曲ホ長調』op.10-3となります。曲集の中で3番目の楽曲と分かります。

作品番号の不完全さ

現代の作曲家は自分で作曲順に作品番号を付けますが、前の時代の作曲家は自分で付けた人もいるし、全く無頓着の人もいました。

自分で作品番号を付けるようになったのは、かのベートーヴェンが最初です。ですが、番号を付けない曲もあって混乱する原因も作りました。作品135がベートーヴェンが付けた最後の作品番号ですが、実際の作品数はもっと数多くあります。

そのためOp.という作品番号による楽曲の整理は完璧ではなく、いろんな作品番号が登場してくる要因ともなっています。

作品目録を作った研究者

有名な作曲家を研究する研究者は数多くいます。その中でも作曲家の作品目録を作るという事に執念を燃やした研究者もいました。有名な4例を紹介します。

ケッヘル番号

モーツァルト研究に成果をあげたのがケッヘルです。作曲順に作品目録を作成しました。そのためにモーツァルトの作品にはケッヘル番号が付くようになりました。略して「K」と表記します。

例として有名な『トルコ行進曲』を正確に表すと、『ピアノソナタ第11番イ長調「トルコ行進曲つき」』K.331と表します。この「K.331」こそ「ケッヘル番号331番」の略になります。モーツァルトの作品中331番目に書いた作品ですよという意味です。

目録の正式な書名は「モーツァルトの全音楽作品の時系列主題別目録」(1862年)です。凄い名前ですね。K.1からK.626まであります。

モーツァルト研究も進み、ケッヘル番号も何度も修正されてきました。現在は1983年出版の第8版が最新版となっています。

最新版の番号は最初に出版されたケッヘルの番号と少しずれている作品もあります。そこで『交響曲第25番ト短調』K.183 (K.173dB)などと「初版の番号(最新版の番号)」のように表記するのが一般的です。

番号の後についているアルファベットも意味があります。例えばK.173とK.174の間に作曲した楽曲が発見された場合、K.173aと表します。

何曲も発見された場合abcdと増えていくのです。それ以降にその間にまた発見されるとaa、abと表記される決まりができました。

BWV番号

バッハ・ヴェルケ・フェアツァイヒニスの略です。J.S.バッハの作品をドイツの音楽学者シュミーダーが作品分類により纏めた整理番号です。そのためにJ.S.バッハの作品はBWV番号で表すようになりました。

目録の正式名は「ヨハン・ゼバスティアン・バッハによる音楽作品の主題系統目録」といいます。

こちらは作曲年順ではなく作品分類別です。J.S.バッハの場合、作品数が1000曲を超える膨大な数のためこの形で行なわれたと想像できます。『マタイ受難曲』BWV.244というように使います。

BWV番号の数字でどのジャンルかが分かるようになっていますが、連続番号を振っているためすぐには分からないところが難点です。

Hob番号

ホーボーケンの略です。ハイドンの作品をオランダの音楽学者ホーボーケンが楽曲形態ごとにまとめた整理番号です。ハイドンの作品はHob番号で表します。

目録の正式名は「ヨーゼフ・ハイドン主題書誌学的作品目録」といいます。

例えば『弦楽四重奏曲第77番ハ長調「皇帝」』Hob.III.77のように楽曲形態はローマ数字で表し、その何番目かをアラビア数字で表します。

最初のローマ数字で交響曲か弦楽四重奏なのかが分かる仕組みになっています。バッハのBWVも同様のものですが、こちらは一工夫凝らした感じです。

ドイチュ番号

シューベルトの作品にオーストリアの音楽文献学者ドイチュが作品年代順に付けた整理番号です。シューベルトの作品はドイチュ番号で表すようになりました。「D」と略します。

目録の正式名は「シューベルト年代順作品表題目録」といい、『魔王』D328のように使います。「D」の後にドットは付けないでほしいとドイチュ自身が言っています。

シューベルトが存命中に出版した楽譜には、出版社がつけた作品番号が振られていますが、あまりにも数が少ないので、一般的にはこのドイチュ番号が使われています。

モーツァルトのケッヘル番号と同じように作曲順に番号を振っています。シューベルトも生涯1000曲程度作曲しているので、作曲年順に纏めるのはさぞ大変な作業だったと思います。

その他の作品番号

これら4例の作曲家だけではなく、作曲家ごとに様々な作品番号があります。代表的なものを挙げておきます。

・ヘンデル「HWV」
・ヴィヴァルディのリオム番号「RV」
・ベートーヴェン「WoO」(作品番号がつけられていない楽曲につけられている)
・リストのサール番号「S.」
・バルトークのセーレーシ番号「Sz」
これから作曲家になろうとしている人はしっかりと作品番号を振ってくださいね。
自分の作品なのだから、後世の研究家が苦労しないように、ぜひともそうしてもらいたいね。

まとめ

その他にも色々な作曲家の作品目録を作成した研究者も多くいます。番号を付けるだけだから簡単そうに思えますが、作曲した順番を調べるということはどれだけ大変か、容易に想像できます。

ここで挙げた4つの番号は良く使う物ですから、覚えていて損はありません。後は無理に覚える事もないと思います。

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