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オーボエ

オーケストラの演奏を聴きに行って、団員が全員揃うと、最後にコンサートマスターが出てきて、チューニングが行われます。オーケストラによってやり方は少し異なりますが、全ての楽器が一斉に音を出し、オーケストラの音程を合わせる儀式が行われます。

チューニングが始まるとこれから演奏が始まるという期待感が高まってきます。オーケストラをライヴで味わう醍醐味の一つだと思います。オーボエがロングトーンで「ラ」の音を吹き、管楽器、そして弦楽器と合わせていく作業は単純ですが、とても意味のある事なのです。

最初のオーボエの音色の良し悪しは、オーケストラのその日の演奏に大きくかかわります。なぜ、オーボエに基準音を合わせるのか、またチューニングの大切さなど、オーケストラを聴くにあたって知っておかねばならない情報を簡単に紹介して行きたいと思います。

オーボエが基準の理由

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
オーケストラの楽器の中でオーボエとファゴットは、構造上、リード(口で息を吹き込むところ)の抜き差しでしか音程が調節出来ません。他の楽器のように簡単に音程を調節できないからオーボエに周りの楽器が合わせるようになったといわれています。

ファゴットではなかった理由は、オーボエの音色の方がよく響いて、他の楽器の人に聴こえ易いからのようです。オーボエがチューニングの際に出す音は「ラ」の音と決まっています。「ラ」の音は弦楽器だと開放弦で引けますから、調律に便利だという利点があります。

オーケストラのチューニングはなぜ必要なのか

オーボエ
オーケストラの、各奏者は、あらかじめ楽屋などでチューニングをしておきます。ところが、舞台上は強い照明などのために温度や湿度が楽屋とは違っています。楽器というのはとても繊細なもので、少しでも温度や湿度などが変わると音程に影響を受けてしまうのです。

だから、舞台上に出てきた後でまた微調整を行う必要が生じます。演奏前に舞台上でオーケストラがチューニングを行うのはこうした理由のためです。聴衆により良い音楽を提供するために、オーケストラは常に最善の努力をしているのです。

オーケストラ・チューニングを「ラ」で行なう理由

オーボエを持つ女性
一言で言ってしまうと「ラ」の音は音楽の原点だったからです。古代ギリシャで使われていた弦楽器の一番低い音が「ラ」なので、これを基準に音階が決められました。現在は「ドレミファソラシド」が基本となっていますが、最初は「ラシドレミファソラ」が基本だったのです。

これを音楽記号で表すと「ABCDEFGA」となり、最初の音は「A」、つまり「ラ」になります。この事から、音合わせは最初の音に合わせるようになったわけです。そこから幾多の年月を経て、現在のクラシック音楽が出来て来たわけですが、基準音「A」は残りました。

「ラ」の国際基準音を決定

オーボエ
音楽は有史以来、様々な音律によって音階が作られてきましたが、実はその基準となる音の高さ(基準ピッチ)も時代、地域、ジャンルによって様々なものが使われてきました。そこで、国際的に統一する必要が出てきて、国際基準音「ラ」は440Hzと決定されました。

「A=440Hz」または「A440」と表します。因みにNHKの時報のピ、ピ、ピ、ポーンの時のピの部分が440Hzです。こうして、国際的に基準音が規定され、各国ともそれに従うようになりました。

基準音の変化

せっかく国際的に基準値を決めたにも拘わらず、現在ではA=440を使って演奏しているオーケストラは少数派になってきています。オーケストラの基準音が少しずつ高くなってきたのです。これは世界的傾向です。事実、今のベルリン・フィルはA=444~446で演奏しています。

どうして基準音を高めにするのかには理由があります。一番分かり易い楽器は弦楽器です。基準音を上げると音に艶が出て、音色が良くなります。オーケストラのように弦楽器を集団で弾く場合には、よりその美しさが際立って華やかに聴こえるのです。

基準音の問題は時代によって変化しています。モーツァルトの時代はA=425ぐらいだったといいます。今は大抵のオーケストラはA=442以上でチューニングしています。この傾向は今後どうなるかは分かりません。また昔に戻ってA=440が好まれる時代が来るかもしれません。

まとめ

オーケストラが演奏を始める上で、まず、やらねばならない事は音を合わせる事です。オーケストラのチューニングは簡単に見えますが、実はとても大切なことをしているのです。各楽器の音程をピッタリと合わせる事が演奏上の基本中の基本です。

コンサート前のオーケストラ・チューニングが始まるとワクワクしてきます。これから、どんな演奏をしてくれるのだろうと期待に胸が高まります。基準音などという難しい話はひとまず置いといて、目の前のオーケストラの演奏を楽しみましょう。

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