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多くの作曲家がピアノソナタを作曲しています。それらを全て聴くなど到底できるものではありません。総数でどのぐらいあるかも数えきれないでしょう。その中から我々が聴く事が出来るのは、せいぜい数十曲ほどに絞られてくるでしょうね。

どうしても、ピアノリサイタルで取り上げられる楽曲は、有名曲に集中しますから、あえて自分で珍しいピアノソナタを聴くという行為をしなければ、その数は増えていかないはずです。しかし、そんな事をする事自体が時間の無駄かと思われますから普通の方はやりません。

皆はどんなピアノソナタを聴いているのか気になる時の手助けになるのが、専門誌の特集です。今回は、イギリス・グラモフォン誌が選んだピアノソナタTOP10を紹介します。ピアノソナタは何を聴くべきか迷っている方の参考になるでしょう。

モーツァルト『ピアノソナタ第11番』

第3楽章に「トルコ行進曲」が付いている有名なピアノソナタです。モーツァルトからしてこのソナタを挙げるところが初心者向けたるところですね。モーツァルトが作曲したソナタで完全な形で残されているものは18曲ありますが、その中で最も知名度が高いソナタです。

ハイドン『ピアノソナタ第62番』

ハイドンの作品番号であるホーボーケン番号(Hob.)では52番となっているピアノソナタです。ハイドンのピアノ・ソナタの中で最後期に書かれた作品であり、華やかさ、盛り上がりに富んだ充実したピアノソナタです。ハイドンらしくとても爽やかなソナタで、音の曲弱も激しい作品です。

ベートーヴェン『ピアノソナタ第14番』

「月光」という愛称で親しまれている名曲です。ベートーヴェン自身により「幻想曲風ソナタ」という題名を付けられている作品で、聴く人により、そのイメージは様々に広がります。ドイツの音楽評論家レルシュタープはこの曲の第1楽章が「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と表現した事により、現在まで「月光」と呼ばれるようになりました。

シューベルト『ピアノソナタ第21番』

シューベルト晩年のピアノソナタ3部作の最後を締めくくる作品です。そして、彼の生涯最後のピアノソナタになりました。4楽章まであるピアノソナタとなっており、演奏時間も35分を超える大曲です。シューベルトらしい美しく穏やかな作品となっています。

ショパン『ピアノソナタ第2番』

第3楽章が葬送行進曲である事から「葬送」と呼ばれている作品です。この葬送行進曲はとても有名でドラマ、映画などで良く使われています。最初に第3楽章の葬送行進曲が完成し、そのモチーフを使って残りの楽章が作曲されました。名曲ですが暗い影を引きずっています。

リスト『ピアノソナタ』

ピアノ曲を数多く作曲したリストですが、なぜかソナタだけはこの1曲のみでした。この作品は一般に、3つの楽章を単一楽章に圧縮したものと考えられています。また、主題の要素をさまざまな形に変容させて新たな主題を生み出してゆくという「主題変容の技法」が用いられています。

ラフマニノフ『ピアノソナタ第2番』

この作品は3つの楽章から出来ていますが切れ目なく演奏され、第1楽章の冒頭に提示される主題は、循環主題として第2楽章、第3楽章にも現れ、作品全体の統一感を取っています。大変な難曲ですが、曲自体の持つ荘厳な雰囲気やドラマチックな展開がラフマニノフらしいです。

スクリャービン『ピアノソナタ第2番』

2楽章のソナタで、演奏時間も10分程度の小さい作品です。旅行先で出会った海の風景から、この作品の着想を得ました。光彩と打ち寄せる波が交錯するような印象。中声部に現れる第2主題は極めて美しいものとなっています。第2楽章はとてもダイナミック。

アイヴズ『ピアノソナタ第2番』

「マサチューセッツ州コンコード 1840-60年」という副題がついているため、コンコード・ソナタという愛称で知られています。前衛作曲家アイヴズの4楽章からなる実験的ソナタです。楽譜には小節線がなく、和音も独特です。これを入門者向けとしてTOP10入りさせるとはなんと大胆!

プロコフィエフ『ピアノソナタ第7番』

演奏者に高度な技巧を要求する作品です。強烈な印象を与えるダイナミックさと美しい叙情性を見事に兼ね備えています。ピアノ・ソナタ史の中でも特筆すべき傑作と言えます。プロコフィエフ円熟期の作品。一つ一つのモチーフが関連性を持つように計算されて作られた作品です。

イギリス・グラモフォン誌が挙げたTOP10

グラモフォン誌では、例えばベートーヴェンを挙げれば、彼は32曲ものピアノソナタを書いているので、その中から10曲選ぶ事も出来るが、そう言った事はしないで、音楽史を網羅するような形で選んだと記述しています。モーツァルトからプロコフィエフまでの作品が選ばれています。
 
また、初心者向けに最良のピアノソナタを選んだとも書いていますので、入門者向けにも、また、ある程度聴き込んでいる方にも面白いTOP10となっているのではないでしょうか。各作曲者1曲だけですから、ベートーヴェンはこのソナタなのなど不満のある人もいるでしょう。

あくまでもイギリスのグラモフォン誌が選んだものですから、あのピアノソナタがないとか、様々な意見が出てくるのはしたがない事です。これを機会に、自分だけのピアノソナタ・ベストテンを作ってみる事も面白いと思います。

イギリスのグラモフォン誌の記事を見たい人はこちら

まとめ

入門者向けという割には、アイヴズのソナタなどはどうかなと思うところもありますが、音楽史をざっと見渡す事が出来る選曲だったと思います。これらをきっかけにして、自分の聴く音楽を増やしていけばよいと思います。どうしても好きな作曲家しか聴かないようになってしまうので、こういう機会を利用して聴いた事のない楽曲にチャレンジするのもありかと思います。

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