ポップスで使われたクラシック音楽

クラシック音楽が他のジャンルで使われている例は数多くあります。今回はポップスで使われたクラシック音楽を紹介したいと思います。世の東西問わずに様々な歌い手が様々なクラシック音楽を編曲して歌っています。

私自身、クラシック音楽以外の曲はそう詳しくないのですが、それでも結構見つけられました。意外と多くて驚いています。ここに挙げた10曲以外にも数十倍はあるのでしょう。ロックの世界でも使われているのですね。

クラシック音楽に無縁の方も実はクラシックのメロディを知らずに聴いているのです。良いメロディだなと思っているならば、そんな方には是非一度オリジナル曲も聴いて欲しいと思っています。

シルヴィ・ヴァルタン「哀しみのシンフォニー」(1972年)

モーツァルト『交響曲第40番』第1楽章のテーマを使った曲です。当時日本でも大ヒットしました。私が中学生になったばかりの頃で今でもよく覚えています。歌詞はイタリア語です。

シルヴィ・バルタンは数々のヒット曲を持つフランスの大歌手です。もう、70代も後半のはずですが、今でもファンは多くいます。フランスの永遠の歌姫ですね。

この曲の原題は「Caro Mozart」(愛しいモーツァルト)なのに、なぜ邦題は「哀しみのシンフォニー」なんでしょうね。
モーツァルトの原曲がそう呼ばれているから、そのイメージをそのまま使ったのだろう。歌詞は全く哀しみに関係ないのだよ。

ザ・ピーナッツ「情熱の花」(1959年)

ちょっと古めですが、ザ・ピーナッツの登場です。今の若い方はザ・ピーナッツといっても知らない方が多いのでしょうか。ベートーヴェン『エリーゼのために』が原曲です。この曲も長く歌われている名曲ですから、現在でもそれなりのお歳の方はカラオケで歌っています。

ザ・ピーナッツは何を歌わせても素晴らしいですね。二人とも歌唱力、表現力があって歌のイメージが良く伝わってきます。

『エリーゼのために』がザ・ピーナッツによってこうも変わるのですね。
原曲のイメージを損なっていないからこれはこれで楽しめていいと思うよ。

ヴィーナス「キッスは目にして」(1981年)

これもちょっと古くなりましたが、私が予備校に通っていた頃に大ヒットしたので個人的にも思い入れがある曲です。『情熱の花』と同じくベートーヴェン『エリーゼのために』が原曲となっています。同じ原曲でもアレンジによってこうも変わるところを感じ取って貰いたいです。

1981年カネボウ化粧品秋のキャンペーンソング。それがヒットした理由でもありますが、オールディーズ風なアレンジも成功した要因だと思います。

これはザ・ピーナッツとは全く違いますね!
アレンジによって曲風は変わるものだからね。原曲はしっかりわかるからこれも成功した例のひとつだな。

平原綾香「Jupiter」(2003年)

原曲はホルスト『惑星』より「木星」。平原綾香の「Jupiter」を最初に聴いた時はホルストの惑星だと一人で喜んだ事が懐かしいです。まさか「木星」に歌詞を付けて歌うなんてありえないと感動しました。

「木星」は原曲の『惑星』の中でも中心的な位置を占めていて、この曲だけでも感動します。原曲を聴いた事がない人は「木星」だけでも聴いて欲しいです。因みにJupiterとは木星を意味します。

ホルスト「木星」の中間部をアレンジした曲ですね。
「木星」のダイナミックな所は流石に歌えないよ。それでもよくこの曲を使ったものだと感心している。

平原綾香「ノクターン/カンパニュラの恋」(2008年)

原曲はショパン『ノクターン第20番』。「ノクターン」はフジテレビ系ドラマ『風のガーデン』の主題歌でした。両A面シングルとして発売され、「ノクターン」は英語の歌詞、「カンパニュラの恋」は平原綾香が付けた日本語の歌詞によるものです。

オリコンの第6位までいった曲ですからそこそこのヒット曲でした。純粋で哀愁に満ちたショパンの原曲を良く使ったものだと感心するばかりです。

よくぞこの原曲を選びましたね。哀愁に満ちた難しい楽曲ですよ!
本当にそう思うよ。ショパンの『ノクターン第20番』を歌にするとは彼女しかできないだろう。

サラ・ヴォーン「ラヴァーズコンチェルト」(1966年)

世界各国の幾人もの歌手が歌っていますが、日本で一番有名なのはサラ・ヴォーンが歌ったもので、2005年の月9ドラマ『不機嫌なジーン』の挿入歌やCMで使われました。原曲はバッハの『メヌエットト長調』です。

現在でもCMやゲーム機で使われている有名な曲ですが、実はバッハ作曲ではなくクリスティアン・ペツォールト作曲のものと分かりました。しかし、今までの経緯もあり、バッハ(ペツォールト)と表記される事が多くあります。

この曲はよく知られている曲でCMにも頻繁に使われています。
元々が万人に受け入れやすい軽快な楽曲だからね。どんなアレンジにしても楽しめる曲になるのだよ。

エルビス・プレスリー「好きにならずにいられない」(1961年)

プレスリーは今でもある年代以上の方には人気のある歌手です。「世界史上最も売れたソロアーティスト」であり、今でも「キング・オブ・ロックンロール」と称されています。ロックンロールは彼によって一般的になりました。

原曲はマルティーニ『愛の喜びは』という歌曲です。プレスリーの甘い声とルックスが当時の女性たちを熱狂させたのが分かるようです。

原曲そのものをそっくり使っている感じですね。
プレスリーの甘い声で歌われると原曲より素敵な感じがするよ。

小柳ゆき「Lovin’ You」(2002年)

原曲はポンキエッリ歌劇『ラ・ジョコンダ』から『時の踊り』。花王のシャンプーのCMソングとしても使われました。

原曲を上手くアレンジして素敵な曲に仕上がっています。彼女のイメージとは少し違った感じの曲です。女性らしい可愛らしさが満載の甘い曲になっています。

『時の踊り』を使っていると言われないとわからないですね。
そうだね。クラシックが原曲とはわからないように上手く編曲されているよ。

BENI「見えないスタート」(2017年)

2017年の競艇テーマソングでした。渡辺直美が歌っているバージョンもあります。原曲はベートーヴェン『ピアノソナタ第8番「悲愴」』第2楽章。

BENIの歌声は清々しくベートーヴェンの名曲を上手く表現しています。ベートーヴェンも自分の曲がまさか競艇のCM曲になるとは思ってもいなかったでしょう。

これは原曲を損なわずに良い曲になっています。
『悲愴』の上品さを失わずに良いアレンジになっている。

白鳥英美子「HEARTLAND」(1987年)

キリンのハートランドビールCM曲でした。原曲はブラームス『弦楽六重奏曲第1番』第2楽章です。この曲を聴くといつもハートランドビールが頭に浮かびます。

白鳥英美子は歌唱力ありますね。この難しい曲をさらに素晴らしく表現しています。声質もこの曲にピッタリです。見事としか言えません。

これは凄い!原曲そのままに歌詞を乗っけたのですね!!
原曲そっくりそのままだね。とても素晴らしい曲になっている。

番外編・椎名林檎「時が暴走する」(1998年)

この曲は原曲がクラシック音楽という訳ではありません。クラシック音楽の使い方が上手いのでここに挙げました。動画の2分34秒からの間奏に10秒間ぐらいモーツァルト『ピアノ・ソナタ第11番』第1楽章の冒頭が使われているのです。

こういった使い方もあるのですね。編曲した人のセンスの良さが感じられます。椎名林檎のファンの人はモーツァルトが使われているの事を分かって聴いているのでしょうか。

こんなクラシックの使い方もあるのですね。間奏にちょっとだけ使うという発想が凄い!
本当にアイデアが素晴らしい。アレンジした人のクリエイティブさが伝わってくるよ!

まとめ

原曲がクラシック音楽である曲を10曲+1挙げてみました。実際には数えきれないほどの曲がありますが、その中でも良くアレンジしてある曲を選びました。

古い曲もありますが、名曲は形を変えて何度も使われるものなのですね。歌唱力のある人が歌うとこういうのもアリかなと思いました。

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