前奏曲・間奏曲の名曲おすすめ10選

古典派までの歌劇はまず最初に楽曲全体のイメージを示唆する「序曲」を置きました。しかし、ロマン派になるとワーグナーが「序曲」から、より歌劇と一体化させた「前奏曲」に変化させます。

それ以降の歌劇には彼以外も「前奏曲」を用いるようになり、現在に至ります。序曲とは違った魅力があり、より作品に寄り添った音楽になっているのです。また、「間奏曲」とは歌劇の幕と幕の間、または同じ幕の間でも小休止のために演奏される楽曲を言います。

「前奏曲」と「間奏曲」の中でも特に有名な作品を紹介します。コマーシャルや映画の中で良く使われている作品ですから、タイトルは知らなくとも耳にした事がある楽曲ばかりの事でしょう。順位は付けられませんので作曲家のABC順に紹介して行きます。

前奏曲・間奏曲は名曲の宝庫です。誰もが知っている楽曲ばかりです。
その楽曲のイメージを表すものだから、そのオペラが悲劇か喜劇かわかるように作られているのだ。

ビゼー: 歌劇『カルメン』~第1幕への前奏曲

この楽曲を聴いた事のない人はいないのではないかと思えるほど超有名な作品です。テレビ番組やCMなどでの使用頻度はかなりのものがあります。

歌劇『カルメン』はこの楽曲から始まります。賑やかで楽しげな感じを受けますが、歌劇の内容は最後にカルメンが殺されてしまう悲しいストーリーなのです。

ビゼー:歌劇『カルメン』~第3幕への間奏曲

2曲目も同じ『カルメン』からの楽曲です。歌劇のドロドロした内容とは打って変わってとても綺麗な作品になっています。フルートとハープの織りなす美しいメロディが心に染みる音楽です。『カルメン』では良く知られた楽曲が多くあります。

ここでは取り上げませんが、「ハバネラ」という楽曲も有名です。これも聴いた事のある方が多くいると思います。『カルメン』は人気のある歌劇なのが良く分かります。

フェラーリ:歌劇『マドンナの宝石』~間奏曲

フェラーリは1876年生まれのイタリアの作曲家ですが、今ではほとんどの作品が忘れ去られました。その中で1曲だけ残ったのがこの歌劇『マドンナの宝石』です。しかし、滅多に上演される事はありません。

間奏曲だけは特に有名で、単独でコンサートに取り上げられる機会が多い楽曲です。一度聴いたら忘れられない哀しいメロディなので、この楽曲だけが残ったのでしょう。

レオンカヴァッロ:歌劇『道化師』~間奏曲

『道化師』は人間の愛憎を描いた悲劇の物語です。ヴィリズム・オペラの代表作です。ヴィリズムとは現実主義と訳され、人間の残忍な激しい感情を描いていたオペラです。『道化師』も最後は自分の奥さんとその浮気相手を殺して、「喜劇はこれで終わりです」と言って終了します。

最初は暗雲立ち込めているような不安そうな音楽で始まりますが、その後はとても繊細で美しい楽曲です。美しく穏やかな楽曲のようですが、これから起こるであろう人間の愚かさ、はかなさを暗示しています。大変短い間奏曲です。

マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』~間奏曲

これも誰もが一度は耳にしている作品です。良くCMに使われています。タイトルの意味は「田舎の騎士道」。そういわれても内容が思い浮かびませんね。2組の男女の愛憎劇を描いたぞっとするような内容なのです。

しかし、この間奏曲は美しく上品なイメージを持った楽曲です。マスカーニはこのメロディに歌詞を付けて『アヴェ・マリア』としても発表しています。

マスネ:歌劇『タイス』~瞑想曲

マスネの歌劇も『タイス』以外は忘れ去られました。この『タイス』でさえ、世界中の歌劇場で1年に何度上演があるかどうかという類いの歌劇です。修行僧と娼婦のラブストーリーの物語。娼婦を改心させて真人間に戻すハッピーエンドの歌劇です。

この歌劇が残ったのは恐らくこの間奏曲が余りにも美しいからです!娼婦が改心して信仰の道へ進んでいく心の葛藤を描写しています。瞑想の中で正しき道へ進んでいこうという決心と、少し躊躇する様子が見事に表現されています。

プッチーニ歌劇『マノン・レスコー』~間奏曲

プッチーニを一躍有名作曲家にした『マノン・レスコー』は悲劇の物語です。第2幕と第3幕の間に演奏されますが、この先も悲しい運命が待ち受けている事を暗示しています。とても暗く悲しみに溢れた楽曲です。

ルイージ・イッリカとジュゼッペ・ジャコーザの台本にプッチーニが曲を付けるという3人の組み合わせは、『トスカ』や『蝶々夫人』などで成功を収めます。その最初の歌劇が『マノン・レスコー』でした。

ヴェルディ: 歌劇『椿姫』~第1幕への前奏曲

『椿姫』は人気の高い歌劇のひとつです。多くの歌劇同様、最後は悲劇の結末になります。この前奏曲はその悲劇を暗示するかのように静かに始まります。ゆったりとした心穏やかなメロディが奏でられます。そしてそれはまた静かに終結していきます。

まるで命が消えていくようにゆっくりと。暗い影などないゆったりとしたメロディですが、楽しさを感じさせる要素はありません。この感じはヴェルディの才能のなせる業です。

ワーグナー:歌劇『ローエングリン』~第3幕への前奏曲

ワーグナーのロマンティック・オペラとしては最後の作品です。この作品以降は楽劇というワーグナーが作り上げた特別の世界へ入って行く事になります。『ローエングリン』はワーグナーに多くあるように悲劇的な物語です。

「第3幕への前奏曲」は華やかな楽曲です。金管楽器が活躍し盛り上がります。次に続く婚礼の場面のために賑やかな前奏曲になっているのです。続く『婚礼の合唱』(結婚行進曲)は一般の結婚式でよく使われるものなのでとても有名です。

ワーグナー:楽劇『ニュルンベルグのマイスタージンガー』~第1幕への前奏曲

ワーグナーの歌劇、楽劇の中で珍しく悲劇的でなく唯一の喜劇の物語です。『ニュルンベルグのマイスタージンガー』は今も人気のある楽劇で、各地の歌劇場で上演される機会の多い演目のひとつとなっています。

第1幕への前奏曲はライトモチーフという登場人物やシーンを音楽で表現した手法が満載で、高揚感にも溢れ男性的でダイナミックな楽曲です。人気作なのでこの楽曲だけ単独で演奏される事もしばしばあります。

どれもこれもいい音楽ですね。
オペラのほとんどが悲劇を描いているが、どの楽曲もその内容をよく表しているね。名曲ばかりだ。

名盤について

こういった小品はカラヤンの演奏が優れています。「カラヤン間奏曲集」「カラヤン前奏曲・間奏曲集」など名前を変え、1960年代の録音がリマスターされています。安心して聴ける1枚ですので、おすすめです。

カラヤン嫌いの人にはヴェルディ限定になりますが、シノーポリ/VPOの「序曲、前奏曲集」が素晴らしい内容です。ぜひ1度聴かれる事をおすすめします。

まとめ

歌劇の前奏曲・間奏曲の名曲を挙げてみました。作曲家によって様々な表情を持ち、こうして改めて聴き直してみると、小品にもそれなりの良さがあってこれだけで満足できてしまいます。

ここに挙げた10曲はどれもが有名でCM等にも使われている楽曲です。曲名を知らなかった人にはこれを機会に覚えて貰って、歌劇を聴くきっかけにして貰えると嬉しいです。

otomamireには以下の記事もあります。宜しかったらどうぞご覧ください。

関連記事