読書の時におすすめのクラシック音楽

『株式会社ヤマハミュージックジャパン』が、「ヤマハミュージックメンバーズ」の会員を対象に「読書」をテーマとしたウェブアンケートを実施しました。期間は2018年9月4日(火)~9月30日(日)。この調査結果が面白かったので皆さんに紹介したいと思います。

音楽を聴きながら読書をする人は、全体の6割を占めました。やはり、リラックスできるからと回答した人が多く、ながら読書が日常的になっている事を物語っています。図書館で読書するのも集中できて良いと思いますが、自分の部屋でリラックスしながら読む人の方が多いようです。

どんな音楽を聴きながら読書をしているのでしょうか。自分だったら何を聴きながら読書するだろうかと予想してみるのも面白いでしょう。最後に断っておきますが、回答はクラシック音楽に限定していません。ですから、曲が分散しているため、票数が少なめでもランクインしています。

回答集計データ

集計データ

【回答数】868名、首都圏、主要都市を中心に北海道から沖縄県までの、10代~80代の方。
【男女比】男性:66%、女性:34%。
【読書するときに音楽を聴く】聴く:14%、時々聴く:45パーセント、聴かない:41%
【読書するときに音楽を聴く理由】第1位:リラックスできる、第2位:集中できる、第3位:本の内容に合う曲を聴いてストーリーに没頭したい

読書をするときに音楽を「聴く」人と、「時々聴く」を合わせて、59%を多いとみるか、少ないとみるか判断が分かれると思います。私は約6割という事で多いと判断し、記事を進めて行きたいと思います。これ以降は、聴く時の音楽名を紹介していきます。

第10位 バッハの作品

回答数:6名、同数で第10位は2つあります。

ランキング第10位はバッハの音楽全般という結果です。特にこの楽曲と固定せずにバッハを聞き流す事はとても良く分かります。バッハは幅広い楽曲が在りますから、どんな種類の本にも合わせる事が出来そうですね。純文学から推理物、雑学物など何でもOKかと思います。

変わったところでは、バッハのオルガン曲などは、サスペンスに合いそうですし、推理物にも、より謎解きが面白く感じる事が出来ると思います。『トッカータとフーガ』なんてちょっとミステリアスな部分があるので、面白いかもしれません。

第10位 バッハ『平均律クラヴィーア曲集』

回答数:6名

バッハを良く聴いている方の選曲かと思います。『平均律クラヴィーア曲集』は第1巻24曲、第2巻24曲という曲集ですが、両方ともに、1曲ごとの時間はさほど長くありません。優しさに溢れた楽曲が多く、楽曲によって、違った感覚が味わえそうで、なかなか通の選曲だと思います。

落ち着いた楽曲が続きますので、恋愛小説やじっくり読み込みたい本に合いそうな音楽です。感動的なフレーズなどもありますが、決して読書の邪魔をするような事はありません。バッハに包まれて、コーヒーなどすすりながら読書する、最高の時の使い方です。

第6位 バッハ『ゴルトベルク変奏曲』

回答数:7名、ランキング第6位は同数で4曲あります。

元々、眠りに入る時のために作曲されたピアノ曲ですので、リラックス効果は抜群かと思います。読書をするためにこの楽曲を聴くなんて、皆さん良く考えていますね。落ち着いて、しっかりと本が読めそうです。

落ち着いて、どっしりと構えている楽曲ですので、この楽曲もじっくりと読み込むタイプの本が合うと思います。難しい専門書でも頭に入って来るでしょう。言い換えれば、本のジャンルに拘ることなく、オールマイティであるとも言えます。

第6位 バッハ『G線上のアリア』

回答数:7名

『G線上のアリア』もリラックスと集中に優れた楽曲です。まるで神様がバッハに書かせたような素晴らしい音楽。ゆったりとした流れの中に素敵なメロディが漂います。少し物悲しい気分にもなってしまいます。センチメンタルな音楽ともいえるでしょう。

『G線上のアリア』はバッハの心象風景が伝わってくる音楽ですから、涙を誘うような本が合っているでしょう。悲恋などの恋愛小説、ドキュメンタリーなどに向いている楽曲です。心理描写が効果的な本にもマッチするでしょう。心洗われる楽曲です。

第6位 パッヘルベル『カノン』

回答数:7名

バロック音楽の代表曲、パッヘルベル『カノン』の登場です。落ち着いた雰囲気の中に美しいメロディが流れます。装飾などなく、心に直接的に訴えてくる音楽になっていて、かつ、哲学的な雰囲気も漂わせています。バロック音楽は心を落ち着けてくれます。

パッヘルベル『カノン』に似合う本は、純文学の心理描写を巧みに描いた作品が良いと思います。時代物の人情噺なども合うでしょう。哲学的なところもあるため、人間関係の複雑さをテーマにした本もぐっとくるかもしれません。暗めでなかなか読めなかった本にトライするのもアリです。

第6位 ジャズ全般

回答数:7名

クラシック音楽ではなく、ジャズの登場です。私には専門外なので詳細なコメントはできませんが、ジャズが好きな方にはリラックスできて読書が進むのでしょう。私でも聴いた事があるキース・ジャレットのピアノは読書にとても合うかと思います。

第5位 ヴィヴァルディ『四季』

回答数:9名

ランキング第5位はバロック音楽、ヴィヴァルディ『四季』。「春」から「冬」までありますが、どの季節でも大丈夫です。でも、読書には「秋」が最も合っているような気もします。メロディといい、テンポといい、また人恋しさも感じられます。

ヴィヴァルディ『四季』に合う本は、やはり純文学、歴史小説、推理小説など、じっくりと腰を据えて読むものがいいでしょう。落ち着いた雰囲気に満たされますから、文章の良さを存分に味わう事が出来るでしょう。長編を読むにも適した音楽だと思います。

第4位 モーツァルトの作品

回答数:10名

ランキング第4位にしてようやくモーツァルトの登場です。特にモーツァルトの音楽には1/fゆらぎというリラックスできる効果がある楽曲が多いと言われています。小品からオペラまでジャンルが多いのも魅力です。バッハと比べると、比較的明るい曲想が多いと思います。

『魔笛』のような根っから明るい楽曲や『交響曲40番』など暗めの楽曲まで、かなりの幅がありますので、どんな本にも合う音楽が用意できます。固い本から、笑いを誘う本まで何でもOKです。『交響曲25番』が映画『アマデウス』で使われたように、サスペンスにも合います。

第1位 クラシック全般

回答数:11名、第1位は同数で3曲あります。

この回答が最も多いのは当然かと思います。色々な作曲家の音楽を聴きながら読書する方が楽しいと思いますからね。バッハが終わったら次はショパンとか好きな楽曲を次々と聞くのが一番です。1曲終わるごとに、次はこれにしようと考えるのも楽しいものです。

自分が読んでいる本の内容とマッチする音楽を選ぶも良し、全く違った傾向の音楽も新鮮で良いかもしれません。読書を楽しむための音楽ですから、自分が楽しめれば最高です。好きな作曲家の楽曲を聴きながら、本を読みふけるのは至高の喜びでしょうから。

第1位 サティ『ジムノペディ』

回答数:11名

サティ『ジムノペディ』も1位です。落ち着いたというよりは、少々落ち込んだような暗い楽曲です。第1番「ゆっくりと苦しみをもって」、第2番「ゆっくりと悲しさをこめて」、第3番「ゆっくりと厳粛に」ととても重いテーマの楽曲になっています。

こういった暗い楽曲には、そのまま暗い本を選ぶのがお勧めです。音楽の気分と自分の気持ちを同化させて、思いっきり涙にくれましょう。悲しみ、苦しみを頭の中で作り上げてしまいましょう。そういう日もあっていいと思います。そんな雰囲気に浸るための楽曲です。

第1位 バッハ『無伴奏チェロ組曲』

回答数:11名

最後は、バッハ『無伴奏チェロ組曲』。この楽曲の素晴らしさを分かってくれる回答者は実に素晴らしいです。バッハの大傑作。この楽曲をBGMにして読書するなんて、なんと贅沢な事でしょうか。クラシック・ファンなればこその醍醐味です。

タイトル通り、チェロの独奏曲です。大河ドラマの原作本なぞを、たばこをくゆらせながら読むのにぴったりの音楽。出来れば、ヘッドホンなどではなく、やや低めの音量で、部屋全体に響かせながら聴きたいものです。優雅な雰囲気にどっぷりと浸かって読書が楽しめるでしょう。

作曲家別集計結果

第1位:バッハ、回答数:57名
第2位:モーツァルト、回答数:19名
第3位:ショパン、回答数:14名
第4位:サティ、回答数:11名
第5位:ベートーヴェン、回答数:9名

ランキングを見てもそうでしたが、バッハの人気に高さに驚きます。難しそうな音楽というイメージがあるバッハですが、読書のBGMとして使用している方が最も多くなっているのは意外でした。コアなクラシック・ファンの回答者が多かった結果でしょう。

まとめ

読書の時に聴きたいクラシック音楽ランキングは如何だったでしょうか。思った以上の方が読書の時にBGMを流している事も驚きましたし、バッハの人気にも驚きました。人によってBGMに相応しい曲が違ってくると思いますが、さて、あたたは何を聴きながら読書しますか。

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