楽器の王様ピアノの秘密に迫る

ピアノは「楽器の王様」と呼ばれています。音域が広いなど多々理由はあるのでしょうがどうしてそう呼ばれるか考えた事がありますか?

ピアノは現在の音楽を支えている小オーケストラですからプロの演奏家でピアノが弾けない人いません。

どんな音楽の練習にもピアノは活躍しています。今回はそんなピアノの不思議について考えてみましょう。

ピアノは小さなオーケストラとよく言われます。その意味が分かるように説明してくれるのですね。
ピアノの発展の歴史を見ていくとよく分かってくれると思うよ。ピアノ自体が凄い楽器という事も理解できる事だろう。

鍵盤の数はどうして88鍵なのか

ピアノの歴史は古典派の時代から始まりますが、当時のピアノの鍵盤数は88鍵より少ないものでした。そこから発展し、現在の88鍵に落ち着いていくのです。

古典派の時代

モーツァルトやベートーヴェンが活躍していた時代は鍵盤の数は88鍵ではありませんでした。ベートーヴェンが最初に使用していたピアノは61鍵のものです。

中期には68鍵になり、後期には73鍵になりました。彼は73鍵のピアノをプレゼントされた事を非常に喜び、『ハンマークラヴィーア』を作曲した逸話は有名です。

88鍵ピアノの誕生

1890年頃に白鍵が52、黒鍵が36で88鍵となるピアノが誕生したとみられています。そして20世紀前半に定着したようです。

88鍵という数字にも理由があるのです。それは人間の聴きとれる音域と関係しています。人間の可聴周波数は20Hz(ヘルツ)から2万Hzです。

しかし、音程を把握できる周波数は20Hzから4000Hzの範囲なのです。ピアノの88鍵は約27.5Hzから4186Hzであり、うまい具合にこの範囲をカバーできています。

だから、ピアノは88鍵が完成版として広がっていったのです。一部のピアノメーカーが90鍵を超えるピアノを作っていますが、それは意味のないもので、付け加えられた鍵盤もほとんど使われることはありません。

ピアノの鍵盤数が88鍵になった事がよく分かりました。
ピアノという楽器は本当に上手く考えられている楽器なのだよ。

どうして「楽器の王様」と呼ばれるのか

大きく分けて5つの理由が考えられます。

  1. 音域が広い
  2. 音の強弱が可能
  3. 和音が弾ける
  4. 音色が豊富
  5. 様々な楽器とアンサンブルが可能

ひとつひとつ簡単に見ていきましょう。

①音域が広い

ピアノは88鍵もあるためオーケストラ以上の音域を持っています。「楽器の王様」といわれる最大の要因です。

ピアノ1台でオーケストラの楽曲を演奏出来てしまうのです。改めて凄い楽器だなと感心してしまいます。

②音の強弱が可能

ピアノのハンマーはとてもクオリティーが高く、鍵盤のタッチをそのまま表現出来ます。弱く引けば弱音が、強く引けば強い音が出るように作られているのです。

また、ペダルによっても弱音にすることができます。誰でも簡単に強弱をできる楽器はそうありません。

③和音が弾ける

ピアノは一度に沢山の音を鳴らすことが可能な楽器です。弦楽器でも出来ますが、ピアノほど多くの数を鳴らすことは不可能。人間の指は10本なので最大10音を同時に鳴らす事が出来ます。

④音色が豊富

ピアニストによって音色を変える事が可能です。これもピアノのハンマーが高性能のためですが、同じピアノでも弾く人によって全く違う音色になるのは不思議ですよね。

⑤様々な楽器とアンサンブルが可能

ピアノはソロでも楽しめますが、どんな楽器とも合わせる事が出来ます。ですから、ジャンルを問わず使われているわけです。

オーケストラとの協奏曲もできますし、室内楽でも使われます。ピアノ単体でも演奏会ができるのです。こういう楽器はなかなかありません。

ピアノが「楽器の王様」と言われる事はもっともだと納得しました。
ここまで完成された楽器はピアノしかないのだよ。だから、全ての音楽家は皆ピアノを使っているのだ。

88鍵を全て使った作品はあるのか

NHKEテレで放送している『ららら♪クラシック』でその回答が得られました。

ヤニス・クセナキスの『ヘルマ』という作品では、数学理論に基づき88の音をすべて使っています。聴いていると単に出鱈目に鍵盤を弾いているようです。

有名な作品では、88鍵全てを使っているわけではありませんが、ラフマニノフの『ピアノ協奏曲第3番』とラヴェルの『左手のためのピアノ協奏曲』は最低音と最高音の鍵盤を使うそうです。

ピアニストによってなぜ音色が違うのか

違うピアノを使っているなら分かりますが、同じピアノを演奏していながらなぜそれぞれのピアニストの音色は違うのでしょう。

特にオーケストラの定期会員ならばいつも同じ席で聴いているので、ピアニストの音色の違いがよく分かると思います。

大きく分けると次の3点が考えられます。

  1. テクニックの差
  2. 手の大きさ、体格の差
  3. ピアニストの感覚の違い

これもひとつひとつ簡単に見ていきましょう。

①テクニックの差

このテクニックの差が音色の違いにとっては最も重要な要素といえるでしょう。

テクニックとは様々な奏法を如何に弾き分けられるかという事も含まれます。その方法はピアニストにとって千差万別です。ここに音色の違いが生まれてきます。

和音の弾き方、鍵盤のタッチの違い、つまり指使いの上手さはピアノに伝わります。ピアノは1秒間に15回も音を出す事が出来るように作られていますから、どんな小さな変化も音に影響が出てきます。

しっかりした正確な指使いの元で打鍵をするとピアノ自体も良く鳴ってくれます。ピアニストによって千差万別と書きましたが、自分の理想の音色を求めてそれぞれに微妙にやり方が違っているのです。

これがピアニストによって音色が違う理由となります。ホロヴィッツやグールドのように異端ともいえる指使いでこれを獲得したピアニストもいます。

手の大きさ、体格の差

体格差、手の大きさの違いは努力しても如何ともしがたいものです。しかし、ピアニストは自分なりの方法でこれを乗り越えています。

ピアノのタッチが違ってきますから音色にも影響が出てくるのは当然の事です。

ピアニストの感覚の違い

精神性の違いと言い換えてもいいと思います。人によって感覚は違っています。音楽の感じ方はみな違うものです。

同じ楽譜を見ても、ピアニストによって取り方が違ってきます。人によって歌わせ方や音の強弱の違いが生まれてきて、それが音色の違いをもたらすのです。

ピアニストによる音色の違いはこうして生まれるのですね。ピアノってすごい楽器なのですね。
ピアノの性能は少しの違いでも表現できるまでに発展したのだよ。だから「楽器の王様」と呼ばれるまでになったのだ。

まとめ

「楽器の王様」ピアノについての疑問を見てきました。なぜ88鍵なのか、ピアニストによって音色が違うのも、ピアノの進化によってもたらされたのです。

最も驚くべきことはピアノのハンマーの精巧さです。これがあってこその「楽器の王様」なのです。ピアノをここまで完璧に作り上げた先人に感謝します。

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