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変わった曲名

クラシック音楽界に燦然と輝き続ける大作曲家たちは、細かく見ていくと「なんだ、この作品は」と叫び出したくなるような「変なタイトル」の楽曲を作っている人物が多くいます。笑える曲名もありますし、どう考えても何でこんな曲名にしたのか分からない楽曲もあります。

しかし、大作曲家がわざわざ時間を割いてまで作った作品ですから、作曲家本人のためには必要だったのでしょう。そう考えても不思議に思う作品が目白押しです。「変なタイトル」を作曲している作曲家はそれが一つや二つでないところが面白いです。

順位付けしなくても楽しめると思いますが、作曲者の変人さ加減で敢えて順位を付けてみました。世の中をどう見ていたら「変なタイトル」が出来るのか、分かって来るかも知れません。とにかく、変な楽曲もあるものだと楽しんでいただければ嬉しいです。

第10位 フランツ・ヨーゼフ・ハイドン

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
ハイドンは古典派の代表的作曲家で、交響曲という形を完成させた偉大なる作曲家です。同時代のモーツァルト、ベートーヴェンに影響を与えただけではなく、時代を超えて、様々な作曲家に影響を与えている作曲家です。その意味で「音楽の父」と呼ばれています。

ハイドンの変な曲名

『結婚すれば自由がなくなるとはよく言った』
ハイドンがクラシック音楽界三大悪妻と呼ばれるような女性と結婚していた事から、とても興味深いものがあります。ハイドンの本音を吐き出した楽曲なのでしょう。そう思うと笑える曲名です。

『交響曲第59番「火事」』
実際の火事の様子を音楽にしたものではなく、演劇の附属音楽に由来するものと考えられていますが、本当のところは不明の楽曲です。

『交響曲第60番「愚か者」』
フランスのジャン=フランソワ・ルニャールの喜劇「ぼんやり者」の付随音楽を基に作られた交響曲だからこんな曲名が付けられました。

第9位 パウル・ヒンデミット

パウル・ヒンデミット
20世紀ドイツを代表する作曲家として、現代音楽の音楽家に強い影響を与えました。調性の枠を大きく超えるような音楽を書いた作曲家でしたから、大衆に受け入れやすい音楽ではありませんでした。現代音楽の作曲家としては珍しく様々な楽器の音楽を作曲しています。

ヒンデミットの変な曲名

『朝7時に湯治場で二流のオーケストラによって初見で演奏された「さまよえるオランダ人」序曲』
題名の通り、リヒャルト・ワーグナーの歌劇『さまよえるオランダ人』序曲を下敷きとし、形を変えて弦楽四重奏にした楽曲です。「変なタイトル」にぴったりの楽曲です。曲の終わり頃には、ワルトトイフェルの『スケーターズ・ワルツ』も引用されています。

『白鳥を焼く男』
ヴィオラ協奏曲の曲名です。ドイツ民謡を基に作られたようですが、そのまま引用せずとも良かったと思うのは私だけではないでしょう。

第8位 クロード・ドビュッシー

クロード・ドビュッシー
印象派音楽家として確固たる地位を得た作曲家です。『月の光』や『亜麻色の髪をした乙女』など誰もが知るような名曲を多く残しています。20世紀で最も影響力のある作曲家の一人で、バルトークやストラヴィンスキー、ガーシュインなど、多くの作曲家に影響をもたらしています。

ドビュッシーの変な曲名

『大鎌を持った貴婦人』
演劇『大鎌を持った貴婦人』のための付随音楽なので、自分で付けた曲名ではありません。

『あちらもこちらも』
オペラのタイトルです。印象派の巨匠としては、何とも平凡すぎる曲名です。このオペラが成功しなかったのも頷けます。

『柳の植え込み』
合唱曲ですが、全く落ち着き過ぎた陳腐な曲名です。こんな詩に曲を付けたところで、名曲になるわけがないと思いませんか。

第7位 ヨハン・シュトラウス2世

ヨハン・シュトラウス2世
19世紀に大活躍をしたワルツ王です。オペレッタ『こうもり』は有名ですが、生涯のほとんどをワルツ、ポルカに捧げた作曲家でした。『美しく青きドナウ』『皇帝円舞曲』などは特に有名です。日常的な事を何でも音楽にしてしまった作曲家でもありました。

シュトラウス2世の変な曲名

『訴訟ポルカ』
訴訟という言葉は音楽の曲名には向いていないような気がします。

『証券取引所ポルカ』
ポルカは楽しい曲のはずですが、これはどんな楽曲なのか想像もつきません。

『取りこわしポルカ』
何でこんな曲名を付けたのでしょうか。頭の上に?マークがいっぱいです。

第6位 ジョン・ケージ

ジョン・ケージ
現代音楽と言えばこの人を抜きには語れません。実験音楽、前衛音楽の旗振り役でした。独特の音楽論や表現によって音楽の定義を広げた作曲家。特に偶然性の音楽を展開しました。代表作に『4分33秒』があります。しかし、音楽と呼んでいいのかどうか疑問も残ります。

ケージの変な曲名

『31分57.9864秒』
プリペアード・ピアノ(ピアノの弦に様々なものを詰め込んだピアノ)を使って演奏します。偶然性の音楽で、2度と同じ音楽にはなりません。生涯ケージが追求したものです。

『26分1.1499秒』
弦楽器奏者のための作品です。偶然性の音楽です。ケージの頭の中は良く分かりません。

『34分46.776秒』
プリペアード・ピアノのための作品です。ケージはこんなのばかりです。

『0分00秒』
楽譜には「独奏として誰が何をしてもよい」と書かれています。音を出す代わりに、タバコを吸ったり、コーヒーを飲んだり、何でもありの音楽(?)です。『4分33秒』の第2形態です。

第5位 ダリウス・ミヨー

ダリウス・ミヨー
20世紀フランスを代表する作曲家の1人。異なる調性を同時使用する複調、多調や、強烈なブラジルのリズム、ジャズなどを取り入れた重厚な作風で知られています。フランス6人組の1人としても有名です。パリ音楽院の教授を長く勤めました。

ミヨーの変な曲名

『屋根の上の牛』
ミヨーの超現実主義バレエ音楽。と言われてもピンときません。バレエダンサーがどんな踊り方をするのか想像もつきません。まずもって、タイトルがバレエにそぐわないですよね。

『空飛ぶお医者さん』
劇の付随音楽。現代作曲家が作曲した音楽なのですから、さぞかし劇自体も変わった出し物だった事でしょう。

『体温表』
歌曲。普通の作曲家は歌曲にこんなタイトル付けません。逆にどんな歌なのか興味がわいてきます。もしかして名曲だったりして。

『泥棒たちの舞踏会』
劇の付随音楽。演劇の音楽ですから、自分でつけたタイトルではありませんが、ミヨーだったら付けかねないタイトルだと思ってしまいます。

第4位 フランツ・シューベルト

フランツ・シューベルト
ベートーヴェンを非常に愛した作曲家。交響曲を始め、様々な音楽を作曲しましたが、中でも歌曲の数はすさまじいものがあり、歌曲王として知られています。31年の生涯の間に、1000曲に及ぶ楽曲を作曲していますが、そのほとんどが歌曲でした。

シューベルトの変な曲名

『今や肉体を埋めた』
ピアノ伴奏付き合唱曲。何を表現したいのか分からない楽曲です。どんな合唱曲なのでしょう。不気味なイメージしかわきません。

『自己満足』
歌曲。こんな歌曲を聴きに行きたいとは思いません。文字通り、シューベルトの自己満足な歌曲ですね。

『私は吸い込んだ』
重唱曲。意味が分かりません。何を歌っている曲なのでしょうか。

『母が部屋を通る』
歌曲。何を訴えたい歌曲なのでしょうか。自宅の普通の出来事ですよね。

『婚礼の焼肉』
歌曲。これも不思議な歌曲です。誰かの婚礼の際に振舞われた焼肉が美味しかったのでしょうか。

第3位 エリック・サティ

エリック・サティ
近代作曲家の代表の1人です。様々な西洋音楽の伝統に問題意識を持って作曲し続け、革新的な技法を盛り込んでいった作曲家でした。調性は放棄し、和声進行の伝統も無視された楽曲を作曲しています。我々にすると非常に難しい音楽です。印象派のさっきょくたちに影響を与えました。

サティの変な曲名

『犬のためのぶよぶよした本当の前奏曲』
ピアノ曲。『犬のためのぶよぶよした前奏曲』を出版社へ持ち込みましたが、出版を拒否されました。そこでサティは、これこそ本当の前奏曲だと『犬のためのぶよぶよした本当の前奏曲』を作曲し、再度出版社へ持ち込んだと言われています。バロック音楽のパロディの楽曲です。

『自動記述法』
ピアノ曲。5分ほどの短い曲。不思議なタイトルが多いサティならではの楽曲。

『干からびた胎児』
ピアノ曲。どうしてこういったタイトルを付けたのかサティに聞いてみたいです。ユーモアあふれる音楽らしいですが、積極的に聴きたいとは思いませんね。

『あらゆる意味にでっちあげられた数章』
ピアノ曲。ユーモアのセンスがあるかどうかも分からないタイトルです。何のために作曲したのでしょう。

『でぶっちょ木製人形へのスケッチとからかい』
ピアノ曲。楽し気な内容を思わせるタイトルですが、耳にしたことが無いため、単なる想像です。

『官僚的なソナチネ』
ピアノ曲。本気で作曲したのかどうかも不明なタイトルです。サティはなぜこういったタイトルばかりなのか不思議です。音楽の中身が想像も出来ません。

第2位 ルートビィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

beethoven
古典派を代表する作曲家、というよりクラシック音楽を代表する作曲家です。クラシック音楽に興味がない人でもベートーヴェンの名前だけは知っていると思います。ベートーヴェンはクラシック音楽の基本形を完成させ、発展させた作曲家です。

ベートーヴェンの変な曲名

『失われた小銭への怒り』
ピアノ曲。ベートーヴェン自身が付けたタイトルは『奇想曲的なハンガリー風のロンド』。未完でしたが、誰かが補完、完成させました。タイトルも誰が付けたか分からないのですが、面白いので現在でも時々演奏される機会があるそうです。どうしてこんなタイトルになったかは不明です。

『お願いです、変ホ長調の音階を書いてください』
カノン。「お願いです、変ホ長調の音階を書いてください」を繰り返すだけの合唱曲です。あっという間に終わってしまいます。ベートーヴェンは何のためにこんな曲を作ったのかは分かりません。

『それはまっぴら、ごめんこうむる』
カノン。前曲がWoO.172、この曲がWoO.173ですので、もしかしたら2曲は同じ時に作られたのかもしれません。「変ホ長調の曲を書いて」の返答の曲「ごめんこうむる」なのではないかと思われます。

『親愛なる市参事会員殿、あなたは寒がる』
カノン。これもカノン。この歌詞を繰り返すだけの曲。気難しいベートーヴェンがどんな時に書いた楽曲なのでしょう。背景が気になります。

『ふざけずに向きを変えろ』
カノン。ベートーヴェンの一連の冗談音楽はカノンに集中しています。この楽曲はどんな時に書かれたものなのか気になります。

『門でなければ壁を通って』
カノン。魔法でも使わない限り通られません。ベートーヴェンにもこんな滑稽な楽曲が在って、いつもしかめっ面ではなかった事にほっとしています。

第1位 ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト

モーツァルトの青年期
第1位は何といってもモーツァルト!古典派の代表的作曲家で、神のような楽曲を数々作曲した人物です。しかし、変態野郎としても有名で、曲名にもわんさかそんなものがあります。モーツァルトに関しては神の子なのか単なるいたずらな人物なのかはっきりしません。

モーツァルトの変な曲名

『俺の尻をなめろ』
6声のカノン。モーツァルト独特のスカトロ趣味の楽曲。面白いを通り越して、変態趣味を連想させます。おそらく、6人で酒を飲んでいる時に書いた作品と想像されます。

『みてくれの馬鹿娘(偽ののろま娘)』
オペラ曲にしてはタイトルが最低です。こんなオペラがヒットするわけないですよね。原作がこのタイトルだたと思われますが、芸術家ですから、もっと綺麗なタイトルが付けられなかったのでしょうか。

『私は行く、だがどこへ』
歌曲。モーツァルトにしては手抜きのタイトルと感じます。もっと、洗練されたものが出来たのではないでしょうか。

『飲んで食って身が保つ』
歌曲。これも歌ですから、もっと美しいタイトルにすればって思いますよね。

『男たちはいつもつまみ食いしたがる』
バス歌手のための演奏会用アリア。まさに男にしか歌えない曲ですね。しかし、これを歌曲としてステージで歌うのはちょっと恥ずかしいかも。

まとめ

有名な作曲家でも、難しい楽曲ばかりではなく、遊びとしても楽しみながらこういった「変なタイトル」で作曲している楽曲もあるのですね。聴衆としては、お金を払ってまで聴きたいとは思いませんが、有名作曲者と言えども、やっぱり人間なんだなというところが分かって面白いです。

面白いところがもう一つありました。「変なタイトル」の多い作曲家ほど、変人と称される作曲家でした。これも、もっともな事と言えますね。天才たちの頭の中には、常識では測れない何物かがあるのでしょう。

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