勝手に交響曲作曲家ランキング

交響曲作曲家は有名な作曲家でも30人ほど存在します。交響曲の世界はベートーヴェンが登場したおかげで作曲家の中で最も主要な分野となりました。

ほとんど交響曲しか作曲しなかった作曲家もいれば、多くの分野で作品を残した作曲家もいます。後者の方が圧倒的に多い事でしょう。

今回はそんな作曲家の中で交響曲の質が高い作曲家を勝手に格付けし、ランキング化してみようという事を考えました。遊びのような感覚で楽しんでいただければ嬉しいです。

ランキングの基準

  1. 交響曲が音楽史に影響を与えた作曲家
  2. 全作品の中で交響曲が重要な意味を持っている作曲家
  3. 交響曲に名曲が多い作曲家
交響曲の名曲が多い作曲家が有利ですね。
交響曲の数が多い作曲家ではなく、どれだけ重要な交響曲を残しているかだ。

交響曲とは

ランキングに入る前に交響曲とはいったいどういった音楽を指すものかを簡単に見てみます。

交響曲の起源

交響曲の起源を辿ると、バロック時代にオペラや演劇の前に奏でられた短い楽曲が始まりです。

これを当時はシンフォニアと呼んでいました。時代が下って来ると、そのシンフォニアが独り立ちし、演奏会で演奏されるようになります。

交響曲の進歩

古典派の時代に移行してから、シンフォニアにも「オーケストラで演奏される、少なくとも1楽章にソナタ形式を持つ比較的大規模な曲」という緩い縛りが生まれます。名前もシンフォニアからシンフォニーと変化し、ひとつの確立されたジャンルとなります。

ここに辿り着くまでに大きく貢献したのがハイドンです。ハイドンによって、これが交響曲だという形式が完成されたのです。この事からハイドンは「交響曲の父」と呼ばれるようになりました。

同時代のハイドン、モーツァルトによって交響曲は4楽章に定着し、作曲家にとってより重要なジャンルとして扱われるようになっていきます。

ベートーヴェン登場

ベートーヴェンの登場によって交響曲に哲学が注ぎ込まれます。モーツァルトまでの交響曲とはまるで性格の違う、精神性や人間性なども含まれる究極の形が作られました。

これによって交響曲は作曲家の根幹の作品とみなされるようになります。

ベートーヴェン以降

ベートーヴェン以降の作曲家は常に彼の交響曲を超える様な作品ではないと発表できないという呪縛に捉われる事になります。ベートーヴェン以降の作曲家の交響曲の数が異常に少なくなったのはこのためです。

しかし、近代の作曲家からは、交響曲の概念が変わってきて、形に拘らないようになってきました。作曲家がこれは交響曲だと言えば交響曲となる時代となってきたのです。

ハイドンがいなかったら今の交響曲はなかったかもしれませんね。
ハイドンとベートーヴェンは音楽史上大切な仕事を成し遂げたのだよ。

第10位 ハイドン

ハイドンは生涯104曲の交響曲を作曲しました(最新の研究では106曲)。交響曲の形式を整え、基礎を確立した大作曲家です。よって「交響曲の父」とも呼ばれています。

交響曲は20代から60代まで40年間に渡り作曲しています。重要な分野との意識があった証拠です。後期においてはオーケストラも40人規模の大掛かりのものになってきました。

『驚愕』とか『ロンドン』など「愛称」のある交響曲が人気となっています。現在でもよくコンサートで演奏される作曲家ですので、ランキングには入れないといけない作曲家です。

第9位 ドヴォルザーク

ドヴォルザークは9曲の交響曲を作曲しています。中でも最後の『第9番「新世界より」』は3大交響曲のひとつと呼ばれ、演奏回数も群を抜いています。また、『第8番』も次いで演奏回数が多い作品です。

その他の作品は滅多に演奏されません。よって第9位としました。世界3大交響曲とは誰が言ったのか分かりませんが、『新世界』はここに入れていいのか考えさせられる通俗名曲です。

第8位 シューマン

シューマンは生涯4曲しか交響曲を残せませんでした。精神障害が無ければ、もっと数多くの交響曲を作曲出来たでしょう。これほどの才能の持ち主であった事を思うと残念です。

演奏頻度は『第3番』『第1番』『第2番』『第4番』の順ですが、前2曲が圧倒的に多くなっています。『第3番「ライン」』『第1番「春」』共に音楽史上に残る名曲です。

第7位 チャイコフスキー

チャイコフスキーは6曲の交響曲を作曲しました。『第4番』から『第6番』が良く演奏会に演奏される楽曲です。特に『第6番「悲愴」』は名曲として知られています。『第5番』の魅力も負けてはいないと個人的には思っていますが…。

チャイコフスキーも他分野に渡って数々の作品を残しました。だからでしょうか、交響曲作曲家としてのイメージはそう強くありません。よって第7位としました。

第6位 シベリウス

シベリウスは生涯7曲の交響曲を作曲しました。とりわけ人気のあるのが『第2番』です。北欧の雰囲気満点の楽曲で心癒されます。次いで『第1番』、『第5番』といった感じでしょうか。

後期の交響曲になるにつれ、自ずから交響曲の形を崩しています。『第7番』は単一楽章です。作曲家が交響曲と言えば交響曲なのです。作曲家の独創性とは凄いものですね。

第5位 ブルックナー

ブルックナーは交響曲とわずかに宗教曲を作曲しています。本当の意味での交響曲作曲家です。生涯9曲の交響曲を作曲しています(0番を除く)。最後の『第9番』は3楽章までしかなく、未完に終わっていますが、それでもコンサートで演奏される傑作です。

『第4番』『第7番』『第8番』『第9番』が人気どころでしょうか。これら4曲は同じぐらいどれもが人気があります。ブルックナーの交響曲は長大さが特徴です。とにかく1曲に1時間以上のものがほとんどですから、女性には人気がありません。

第4位 ブラームス

ブラームスは生涯で4曲の交響曲を作曲しています。ベートーヴェンの交響曲に影響され続け、『第1番』は構想から21年もかかってようやく出来た作品です。力のこもった力作となっています。名曲です。

ブラームスの凄いところは4曲共に甲乙つけがたいほどの出来栄えになっているところであり、4曲共にイメージが全く違ったものになっている事です。流石は3大Bのひとりです。

第3位 モーツァルト

モーツァルトは生涯41曲の交響曲を作曲しました。どれもが名作かと言われるとNOというしかありません。しかし、その中の8曲ぐらいは名曲と言われるものがあります。特に最後の3曲は彼にとっても特別なもので、人気がある交響曲です。

後期3大交響曲は演奏会でも取り上げられる機会が多く、どれもが名曲です。モーツァルトの交響曲の集大成となっています。日本で最も聴かれているのは『40番』でしょう。短調の交響曲はこれを含めても2曲しかないもので、「哀しみのシンフォニー」としてPOPSにもなりました。

第2位 マーラー

交響曲と歌曲しか作曲しなかった作曲家です。その2つのジャンルの旋律がそれぞれに使われていて、密接な関係にあります。マーラーの本職は指揮者であり、シーズンの休みを利用して交響曲を作曲していました。

マーラーは10曲の交響曲を作曲していますが、9曲目の交響曲に不吉という事で番号を付けず『大地の歌』というタイトルを付けました。しかし、次の交響曲にはついに9番の番号を付けてしまいます。その2年後にマーラーは亡くなってしまいました。

第1位 ベートーヴェン

何といっても第1位はベートーヴェンしかいないでしょう。『第3番』以降のベートーヴェンは人が変わったように傑作を書き続け、神の領域まで昇り詰めます。『第9番』は合唱まで取り入れた革新的なものになりました。

ハイドンとモーツァルトが完成させた交響曲の世界をより一段上のランクに押し上げた偉大なる功績は誰も否定できないと思います。交響曲の精神性までも一気に変えてしまいました。この天才により交響曲は新たな世界へ突入したのです。

やはり第1位はベートーヴェンでしたね。
様々な観点から見て、第1位はベートーヴェン以外考えられない。

まとめ

交響曲作曲家は数多くいますが、本当の意味での交響曲作曲家はここに挙げた人たちではないでしょうか。交響曲を完成させたハイドンから、形式や調性までもなくそうと考えたマーラーまで取り上げています。

ベートーヴェン以後の『第9番』問題を楽々乗り越えたショスタコーヴィチはあえて除きました。社会主義の顔色を窺いながら作曲していた人物で、自分の好きなように書けなかった作曲家ですから。

交響曲作曲家としての格付け、つまりランキングの順位もランキング基準に鑑み、こう作りましたが、少々自分の好みが出過ぎた感はあります。あしからず。

関連記事