
東京に数多く存在するコンサートホールの中でも超一流のクラシック音楽を奏でるオーケストラ、ベルリン・フィルやウィーン・フィルを聴くなら当然会場も最高峰の音を響かせるコンサートホールで聴きたい!!そう思っている人は多くいると思います。
一口にホールと言っても様々な種類や特性があって、音楽専用と謳っているホールもあれば、様々な公演が可能な多目的ホールもあります。どうせオーケストラの音を聴くのだったらよりクオリティの高い音楽専用ホールで聴きたいものです。
今回は私が40年以上をかけ足繁く通ったコンサートホールの中から厳選して、音響だけでなく、ホール全体の雰囲気等も踏まえ、大小100以上ある東京のコンサートホールから本当に素晴らしいと思った10のホールをランキング形式でしっかりと紹介していきたいと思います。
ランキング条件
ランキングを作成する上で非常に重要な4つの項目を基準に順位を決めました。質の高いコンサートホールを語る上で本当に重要なものだと思います。
- 残響が適度にあり、音響が素晴らしい
- 空間がとても素敵で、雰囲気が良い
- 余韻を残しながら帰れる程アクセスが良い
- 外観がお洒落で聴く気持ちを高めてくれる
これらを総合的に評価し、本格的に厳選している為、かなり長めの記事となりましたが、ぜひ東京コンサートホールランキングからお気に入りを見つけてみてください!
第10位 日生劇場
出典 : https://visit-chiyoda.tokyo
創立年:1963年
座席数:1,320席
ホール:アリーナ型(オペラ、ミュージカル専用ホール)
日生劇場のおすすめポイント
ホールの中に入って驚くのがその作りの素晴らしさです。建築用語でホワイエと呼ばれる入口から観客席までの広い通路がとにかく美しく、ホール内の視覚的魅力には目を見張るものがあり、日本一の生命保険会社が巨額を投じて作り上げた豪華絢爛な仕様が至る所から見て取れます。
私が聴いたのは東京室内歌劇場の「三文オペラ」という出し物でした。声だけじゃなく、その状況に応じた演技、表情も良く見えるのが小ホールならではでした。オペラ、ミュージカル専用ホールと銘打っているように、音響へのこだわりを感じさせる絶妙な広さの空間が魅力だと思います。
日生劇場のマイナス点
最大の欠点は良くも悪くもコンサートホールのサイズです。オペラ、ミュージカル専用と銘打っている割に1,300席という座席数はコンサートホールとしては小さ過ぎて、非常に中途半端です。声楽やピアノコンサートなどの室内楽に合っているホールの大きさだと感じました。
これだけ立派なホールでありながらフルオーケストラを呼べないことはもったいない事です。そしてオペラの時にオーケストラが演奏するステージ前の空間(オーケストラピット)を持ったホールなのに大きさが中途半端で海外の有名なオペラ座を呼ぶには少し無理があります。
日生劇場チケット情報
オペラやコンサートのS券はとにかく数万円と高額ですが、日生劇場の場合たとえC券であってもホールが小ぶりなだけに舞台もよく観え、十分に楽しむ事ができます。日生劇場のチケットを購入される際は無理してS券を買うよりもC券を買って気軽にたのしむ事をおすすめします。
交通アクセス
東京メトロ千代田線、日比谷線、都営三田線「日比谷駅」より徒歩約1分。
有楽町の会社街のビルが乱立している場所に日生ビルがあり、その中のコンサートホールです。道を挟んだ先には日比谷公園もあり、立地もいいし、アクセスもとても良いコンサートホールです。
第9位 メルパルクホール
出典 : https://www.mielparque.jp
創立年:1971年
座席数:1,582席
ホール:アリーナ型(多目的ホール)
メルパルクホールのおすすめポイント
講演会などにも使われる多目的ホールは残響が少なく、音楽向きでない事がほとんどなのですが違いました。友人に連れられ、あまり期待せずに“地方都市によくあるパターンの多目的ホールなのだろう?”と思って聴き始めたら、なんとオーケストラの音が良く響いているではありませんか。
多目的ホールとは言え、ホール内の音の反響を調整できる反響板の仕組みがあって良く響いているのだと思います。クラシック音楽専用ホールには劣るものの、決して音を駄目にしていないホールで、他の多目的ホールとは違って良い響きを伝えてると思いました。
メルパルクホールのマイナス点
多目的ホール故の特徴のなさが気になります。ABCで評価をつけるならこのホールは真ん中のBです。このホールは多目的ホールですが講演会もコンサートもどちらも合格点+αを取ることが出来るとても立派なコンサートホールですが、やはりそれ以上でも以下でもない印象です。
メルパルクホールでは国内のオーケストラは聴きたいと思いますが、外国のオーケストラについては「ここではちょっとね」と思わせるホールです。基本的にチケットの値段が高いのですから同じ金額を払うのだったらクラシック音楽専用ホールで聴くべきだと私は思ってしまいます。
メルパルクホールチケット情報
メルパルクホールでは良く日本の一流オーケストラが公演をしています。しかもサントリーホールでやる時よりも割安な料金設定になっています!少しでも割安で日本の一流オーケストラの演奏を聴きたいと思うなら本当にとてもおすすめなホールです。
オーケストラとしてもホールによって手を抜くこともありませんし、東京タワーに登れる分ぐらいの料金が浮くのでから断然こっちのほうがお得です。一度そういう目でコンサート案内を見ることも大事かと思います。総合力は低いものの料金設定が非常に魅力的で、つい評価してしまいます。
交通アクセス
都営地下鉄三田線「芝公園駅」より徒歩約2分。JR「浜松町駅」より徒歩約8分。
近くには東京タワーを始めとする東京観光に欠かせないスポットが数多くあり、ホールの隣はホテルにもなっているので地方から観光に来る方には特におすすめです!
第8位 新宿文化センター
出典 : https://www.regasu-shinjuku.or.jp
創立年:1979年(2008年リニューアル)
座席数:大ホール1,802席(パイプオルガン付き)、小ホール210席
ホール:アリーナ型(多目的ホール)
新宿文化センターのおすすめポイント
ホワイエは赤と白を基調とした落ち着いた感じになっており、この雰囲気がコンサートがこれから始まる気持ちの高まりを作ってくれます。NHKホールとは違ってステージのすぐ隣にパイプオルガンが据えられています。
7位のメルパルクホールでも少し触れましたが自治体が建てた多目的ホールというと音楽も講演会も行うためどっちつかずの中途半端なイメージがありますが、このホールはクラシック音楽にも問題なく使えます。
最近は数々のコンサートホールが出来てこのホールの運営も大変だという話を耳にしました。ホールの残響音もそこそこで、かつ使用料が安いのですから、もっと評価・利用されても良いホールかと思います。残念ながらこの施設の小ホールでは聴く機会がありませんでした。
新宿文化センターのマイナス点
やはり多目的ホールは正直いまいちです。音的には悪くないのですが、クラシック音楽専用ホールと比べてしまうと「やっぱり微妙だね」となってしまうのが多目的ホールの悲しい所です。このホールではやはり外国の一流オーケストラの演奏は聴きたくありません。
ホールの雰囲気・イメージはやはりとても重要で、ここではそれを味わうことは出来ないと思うからです。自治体が作る多目的ホールには何で”文化センター”が多いのでしょうね。逆に文化レベルが問われてしまいそうです。
昔、指揮者の岩城宏之が書いていましたがこのホールは楽器の搬入口に段差があって搬入が大変なのだそうです。そんな事は我々聴衆には判らない事ですが、利用するオーケストラ側からするとそんな細かな点ですら大きなマイナスポイントとなるのでしょう。
メルパルクと大差はないのですが、新宿文化センターにはパイプオルガンがあるためワンランク上という順位にさせていただきました。
新宿文化センターチケット情報
このホールもメルパルク同様にクラシックのコンサートにしては比較的お手頃価格の公演が行なわれています。自治体後援によるコンサートはオーケストラを気にしなければ本当に安価でクラシックコンサートをたのしむ事ができます。
私はこのホールでよく「日本フィルハーモニー交響楽団」や「東京都交響楽団のコンサート」を聴きに行きました。チケット代も安く、気軽にクラシックに触れる事ができる大変お得なホールです。クラシック音楽を身近にしてくれるホールは最高とは言えませんが必要だと思います。
交通アクセス
都営大江戸線 、東京メトロ副都心線「東新宿駅」より徒歩約5分。都営新宿線「新宿三丁目」より徒歩約10分。JR・京王・小田急「新宿駅」より徒歩約15分。
新宿駅からはちょっと離れた場所に建っているホールです。昔は大江戸線とか副都心線とか無くて、新宿駅から汗を流しながら良く歩いたものです。ホール周辺は閑静な住宅街になっています。
第7位 浜離宮朝日ホール
出典 : https://www.asahi-hall.jp
創立年:1992年
座席数:ホール552席
ホール:シューボックス型(室内楽専用ホール)
浜離宮朝日ホールのおすすめポイント
ホール内に入ると格調の高さを感じさせる大人の雰囲気がある、室内楽専用のホールです。音質の良さには定評があり、ピアニスト、バイオリニスト、声楽家など、リサイタルを行なう音楽家にとっては人気の高いホールです。音楽家にとってこれぐらいの規模のコンサートホールは演奏しやすいホールなのだと思います。
勿論、聴衆にとっても響きの素晴らしいホールでピアニッシモの小さな音でも繊細さが感じられます。小ホールですが、音楽を追求して作られたホールです。私はここでは声楽家のリサイタルしか聴いた事はありませんが声楽家の息使いまでが鮮明に伝わってきました。
とても感心、感動したホールです。この感動をぜひ皆さんにも味わって欲しいと思います。このホールには小さなバーカウンターもあり、休憩時には軽くお酒も飲むことが出来ます。こんなところも大人の雰囲気を作ってくれている理由のひとつなのでしょう。
浜離宮朝日ホールのマイナス点
シューボックス型だからこそ感じる圧迫感!どうしてもステージが実際よりも狭く感じてしまう事に不満出てしまいます。小ホールなので尚更圧迫感を感じてしまい、正直壮大な音を求めて行くコンサートホールではないかと思います。
おそらくこの立地では大きなホールが作れなかったからこその室内楽専用ホールなのでしょう。せめて1,000人程度が入れればもっと評価されるホールになっていたはずです。
クラシック音楽を聴く上でどうあっても小ホールは評価が下がってしまいますが、このホールの格調の高さを少しでも味わって貰いたいことからランキングは7位とさせていただきました。
浜離宮朝日ホールチケット情報
小ホールなのでピアノやヴァイオリンのリサイタルが中心となり、チケット自体はそれ程高くありません。演奏者を間近で見る事ができ、雰囲気も素晴らしいのでカップルや夫婦で聴きに行く時は特におすすめしたいです。
超一流の演奏というわけには中々いきませんが、その代わり比較的チケットも取れやすいので是非デートの際に利用してほしいと思います。
交通アクセス
朝日新聞東京本社・新館2階。都営大江戸線「築地市場駅」より徒歩約3分。
朝日新聞東京本社新館内にある室内楽専用ホールです。浜離宮恩賜庭園に隣接している所からこのネーミングになったそうです。反対側には日本の台所築地市場や築地本願寺があり、時間がある時に周りを散策してみるのも楽しいと思います。
第6位 オーチャードホール
出典 : https://www.bunkamura.co.jp
創立年:1989年
座席数:ホール2,150席
ホール:シューボックス型(クラシック音楽専用ホール)
オーチャードホールのおすすめポイント
東京フィルハーモニー交響楽団のフランチャイズホールです。ホワイエはちょっとした近未来空間のようでカッコイイです。素敵なデザインで十分に音楽への期待が高まります。最近のクラシック音楽専用ホールは音楽には直接関係無い所にも素晴らしい気配りが成されています。
天井が高く(高さ約20m)垂直の両側壁は音が何度も繰り返し反射して重厚で豊かな音場を生み出すそうです。こんなタイプのホールは初めて体験しました。音響、音色の良さは評価するに値します。日本では数少ないシューボックス型のクラシック専用ホールに敬意を表しての第6位です。
オーチャードホールのマイナス点
ステージの視覚的雰囲気が悪いと感じます。視覚的魅力も芸術には大切だと思うのですが、その点でこのホールはとても残念です。ステージを初めて見た時にとても違和感を覚えました。ステージの3面の壁のデザインは音楽を聴くための集中力を削ぎ、音楽に熱中できない雰囲気を作り出しているように感じてしまいました。
そんな思いに駆られていた時、私の後方の席の人たちの話し声が耳に入ってきました“ここのホール見た目が良くないから好きじゃないのよね。なんか軍艦みたいで。”やっぱり私と同じようにステージに違和感を感じている人は結構いるみたいです。
オーチャードホールチケット情報
このホールでは日本のオーケストラだけではなく外国の有名なオーケストラも公演しています。ここでは日本のオーケストラもチケットの価格が多少高くなりますし、外国のオーケストラも有名な大オーケストラが多く来ますのでチケットの価格は高めだと言うことを認識しておきましょう。
交通アクセス
JR、東急、東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」より徒歩約7分。
若者の街「渋谷」の道玄坂を登っていくと東急本店、Bunkamuraが正面に登場します。そんな常に賑わいを見せる繁華街の中で喧騒を忘れられるオアシスのような存在です。
第5位 NHKホール
創立年:1973年
座席数:大ホール3,601席(パイプオルガン付き)
ホール:アリーナ型(多目的ホール)
NHKホールのおすすめポイント
日本トップクラスのオーケストラ「NHK交響楽団」の本拠地です。正面玄関前から見えるNHK放送センターは夜の公演の時は綺麗に各階のビルの明かりが灯っていてとても素敵に見えます。ホワイエも赤絨毯が敷かれていてリッチな気分が味わえ、雰囲気がとても良い空間です。
若い頃初めてNHKホールに訪れた時の第1印象は「凄い建物だ!さすがNHK!!」と感心しました。ホールに入るとステージに向かって右側の壁に巨大なパイプオルガンが設置されているのが印象的です。高級感漂う空間は非日常を味わわせてくれます。
ホール内の印象は、赤絨毯と椅子が華麗で、とても上品で豊かな気持ちにしてくれる見事な作りです。1階から3階までどの階も素晴らしい作りになっていて申し分ありません。素晴らしいホールでいつもNHK交響楽団や外国のオーケストラの演奏に聴き入ってました。
このホールの最大の良さはホールの作りが立派な事とホワイエが広く華麗なところ、そして楽屋が立派なことでしょう。まさに日本を代表するコンサートホールです。どんなオーケストラ、客人を招待しても恥ずかしくない、いや、むしろ誇るべきホールです。
このホールで歌った経験があるので楽屋なども知っていますが、裏側も非常に考えられた素晴らしい作りでした。そしてステージから見た客席の光景もまた素晴らしく綺麗なものでした。
NHKホールのマイナスポイント
クラシック音楽を重視した作りではない事が残念です。NHKとあってやはりこのホールの存在理由は大晦日の「紅白歌合戦」のためという点が大きいようです。その年一回の一大イベントを行う多目的ホールだけに空間が広すぎてクラシックを聴くには残響不足の点は否めません。
音自体が拡散してしまい、余程大きな音を出さない限りここのホールを響かせるのは至難の業と言えます。あとはパイプオルガンがホールの右側の壁に作られていること。あんなに立派なパイプオルガンが勿体無い気がするので、その点を踏まえて第5位としました。
クラシック・ファンとしては第5位どころか圏外という方もいるでしょう。しかし、ホールやホワイエの雰囲気は品がよく、気持ちを高めてくれます。それも踏まえてこの順位です。
NHKホールチケット情報
このホールは日本、外国問わず数々のオーケストラ、オペラ、バレエ公演が絶えず開かれています。チケットの価格もそれなりのものですから自分のお財布と相談しなくてはなりません。
安い席でも他のホールに比べて高めですからそのつもりで。ただし安いチケットはあっという間に売切れてしまうので手に入れるのはスピードも大切です。
交通アクセス
JR「渋谷駅」より徒歩約15分。JR「原宿駅」より徒歩約10分。
NHK放送センターの一角にNHKホールがあります。隣には代々木公園がありホールの周辺の道もテレビドラマで使われそうなお洒落な作りです。私はその日の気分で「渋谷駅」から歩いたり「原宿駅」から歩いたりしていました。
渋谷側から行ったほうがPARCO、西武デパート渋谷店などがある繁華街なので何かと便利ですが、原宿駅のすぐそばの橋を渡って歩くのも好きでした。ホールの近くになるとNHK放送センターの本館と新館が目に入ってきます。その端にNHKホールがあります。
第4位 昭和女子大学人見記念講堂
創立年:1980年
座席数:ホール2,008席
ホール:アリーナ型(多目的ホール)
昭和女子大学人見記念講堂のおすすめポイント
スクールカラーである青を基調とした内装はとても美しく、音楽大学でもないこの大学がこんな立派なコンサートホールを作ったことに、まず敬意を払いたいです。初めてこのホールを訪れた時は「女子大」構内に入ると思うとちょっとドキドキした思い出があります。当時私も大学生でした。
音響的にも非常に優れたホールで、作りもとても立派です。海外のオーケストラに対しても十分に誇れるホールです。様々な式典にも使うための多目的ホールとはなっていますが残響時間も長く、クラシック専用ホールと比較してもなんら遜色がありません。
何度も通いましたがその中でもC・クライバー/バイエルン国立管弦楽団を聴いたことは一生の思い出です。あんなに素晴らしいコンサートはこれからもう味わえないかもしれないです。でも昭和女子大学人見記念講堂という名前とともに一生忘れられないコンサートとなることでしょう。
昭和女子大学人見記念講堂のマイナスポイント
大学のキャンパス内に設けられたホールなのが少し残念です。コンサートホールとしては申し分ないのですが、やはり大学のキャンパス内にあるという点でどうしても現実に引き戻されてしまいます。本当に素晴らしいホールですが、TOP3に入れなかった理由はそんな所が原因です。
昭和女子大学人見記念講堂ホールチケット情報
昭和女子大学人見記念講堂ホールも国内外の有名オーケストラが頻繁に利用しているので、ここで行なわれる演奏会はチケットが高めのものが多いです。サントリーホールで行なわれるコンサートと大差ないと思って貰って良いと思います。
NHKホールの説明でも書きましたが、安いチケット(C席以下)ほど早く売り切れになりますので注意が必要です。
交通アクセス
東急田園都市線(半蔵門線直通)「三軒茶屋」駅より徒歩約7分。
三軒茶屋にある昭和女子大学構内にこのホールがあります。大学自体小学校から高校までの校舎があり、かなり広い敷地を占めています。近隣は住宅街で世田谷公園、こどもの広場公園などの大きな公園もあって素晴らしい環境だと思います。
第3位 すみだトリフォニーホール
創立年:1997年
座席数:大ホール1,801席(パイプオルガン付き)、小ホール座席数252席
ホール:シューボックス型(クラシック音楽専用ホール)
すみだトリフォニーホールのおすすめポイント
「人と音楽とホール」というトリフォニー(三位一体)からこのネーミングになったそうです。新日本フィルハーモニー交響楽団の本拠地で、日常の練習と公演を行うという日本初の本格的フランチャイズ制を導入しました。
新日本フィルハーモニー交響楽団の「定期会員」なので、もうかれこれ何十年と聴きに行っています。ただ残念ながらこの施設の小ホールでは聴く機会がいまだにないのが不思議です。今度無理にでも小ホールにも行ってみようかと画策しています。
ホワイエにはいくつかの有名な芸術家のモニュメント等があり、芸術のための空間という雰囲気を高めています。ホールに入って最初に目に入るのがやはりパイプオルガンです。ステージ奥中央にドーンと輝いています。ホール形態がシューボックス型なので入った感じは少し小さめのホールかなと思ってしまいます。しかし2階、3階席もあるので約1800の客席数となっています。
このホールの良さは音響・音質の良さに尽きます。素晴らしい響きを奏でることが出来るとても優秀なホールです。サントリーホール以来定番となった木材をふんだんに使った壁などが、優れた音響性能と柔らかい響きの音を作り出しています。
すみだトリフォニーホールのマイナス点
シューボックス型なので座席数が少なく、せめて2,000席は欲しかったと思います。もうひとつ気になるのが山手線の内側に無いこと。やっぱり一流のホールは一流の場所に建っていて欲しいと思うのはわがままでしょうか?
音響的には上位となんら遜色ありません!しかしこのような理由から東京コンサートホールランキングでは3位としました。
すみだトリフォニーホールチケット情報
このホールも外国の有名オーケストラが頻繁に利用しているので、ここで行なわれる演奏会はチケットが高めです。サントリーホールで行なわれるコンサートと大差ないと思って貰っていいと思います。良いホールになればなるほど仕方のない話です。
前の説明でも書きましたが、安いチケット(C席以下)ほど早く売り切れになりますので注意が必要です。しかし東京コンサートホールランキングのTOP3に入るレベルのホールで聴くならば、少し奮発してでも良い席で聴く事をおすすめしたいです。
交通アクセス
JR総武線「錦糸町駅」より徒歩約3分、東京メトロ半蔵門線「錦糸町駅」より徒歩約5分。
錦糸町駅から程良い距離で、工夫すれば雨の日でもほぼ濡れずに行けます。ホールの周囲には東武ホテルなど有名なホテルも多くあります。また、居酒屋、イタリアン、中華料理、韓国料理まで、格安店から高級店まで実に数多くの飲食店があるので演奏会後も楽しめます。
第2位 東京文化会館
創立年:1961年(2014年リニューアル)
座席数:大ホール2,303席、小ホール座席数649席
ホール:アリーナ型(クラシック音楽専用ホール)
東京文化会館大ホールのおすすめポイント
東京都交響楽団の本拠地です。日本初のクラシック専用ホールとしても有名で、東京ではサントリーホールが出来るまで、このホールこそ日本クラシック音楽界の聖地でした。このホールに来た回数は数えたことはありませんが、もう100回は軽く越えていると思います。
正面が全てガラス張りで外を歩いている人たちでも中を覗くことが出来ます。ホワイエも広くモダンな感じを受けます。柱は全てコンクリートむき出しで赤のカーペットとの対比が一層の音楽的高揚感を与えてくれます。
ホール内はステージに集中するような天井のデザインが印象的です。また両側の壁についている反響板もいろいろな形があり、良いアクセントになっています。ここは5階まであり、最上階から見下ろすと、ちょっと怖くて目が回ってしまいそうなぐらいの高さです。
今までどれだけの外国のオーケストラが来日公演を行なったのかは、もう数え切れないほどでしょう。私がカラヤン時代のベルリン・フィルを始めとする、ヨーロッパ、アメリカなどの超一流オーケストラを聴いた数も自分ではもうわかりません。
楽屋からステージに行く通路の壁全体に様々一流音楽家によるサインがあります。中には落書きみたいなものもありますが、全てこのホールで演奏した人たちが書いていったものです。残念ながら一般公開はされていないようです。
私はここでベートーヴェン「第9」を歌った経験があるので、超有名な演奏家達が残していったサインを見ることが出来ました。本当に鳥肌が立つほど感動物でした!!様々な人の、本当に数々の思い出を紡いできた記念碑的な歴史あるホールが堂々のランキング2位です!!
東京文化会館大ホールのマイナス点
音が少しドライに聞こえる気がします。クラシック音楽にはもう少し残響が多い方が響きが良くなります。カラヤンがこのホールでコンサートを行なった時、音がドライでエアコンの音がうるさいと言ったのは有名な話です。事実その時のコンサートは演奏が始まる前にエアコンが切られました。
残響が足りないと思うのも、現在ではサントリーホールのような素晴らしいホールが出来て、比較することが可能となったからです。それまではこのホールの響きを当然のように受け入れていましたし、東京文化会館大ホール絶対的No.1だと思っていました。
日本クラシック音楽界の頂点にいたホールでしたが、それよりも素晴らしいものができてしまったという理由で残念ながら第2位です!!
東京文化会館小ホールのおすすめポイント
小ホールはとても音響が良く、室内楽をする音楽家達には好評です。視覚的にもホールの反響板の形がユニークで、初めて見た時は驚きました。一体どんな音を聴かせてくれるのだろうとワクワクした覚えがあります。ステージも見易くて響きも良くとても素敵な小ホールです。
東京文化会館小ホールのマイナス点
ホワイエが少し窮屈に感じます!このレベルのコンサートホールになってくるとマイナスポイントを見つける事が非常に困難なため強いてあげるならと言った所です。第7位の浜離宮朝日ホールよりもかなり前に建てられたにも関わらず素晴らしい出来のコンサートホールです。
東京文化会館大ホールチケット情報
サントリーホールを先頭に数々の音楽専用ホールが建てられましたが、このホールの人気も相変わらずです。毎年多くの海外オーケストラがやって来ては公演を行なっていますし、日本の多くのオーケストラもかなり利用していますので、利用率は相変わらずです。
ここでは超高額なチケットの時もあるし、自治体が援助してくれる安価な価格でオーケストラが聴ける時期もあります。ただここは安い席で聴くと(例えば5階のステージ寄り等)ステージの半分しか見えなくなってしまうので、チケットを買う時はそんな所に注意が必要です。
交通アクセス
JR「上野駅」公園口より徒歩約1分。東京メトロ「上野駅」より徒歩約5分。
上野公園口を出て横断歩道を渡ればそこが東京文化会館です。隣には西洋美術館がありまた奥には上野公園が広がり美術館、博物館なども多く、まさに日本を代表する文化施設が集まっている地域です。
第1位 サントリーホール
出典 : https://www.suntory.co.jp
創立年:1986年(2007年リニューアル)
座席数:大ホール2,006席(パイプオルガン付き)、小ホール座席数252席又は432席
ホール:ワインヤード型(クラシック音楽専用ホール)
皆さまも既ににお気付きだったかもしれませんが、やはり東京コンサートホールランキングのNo.1はサントリーホールです。そしてサントリーホールこそ日本一のホールだと言えるでしょう!!このランキングはサントリーホールを紹介したいが為につくったようなものです!!
サントリーホールの正面玄関前
カラヤン広場と呼ばれるサントリーホールの正面玄関前。表玄関の左端には「響」をデザイン化したモニュメントがあります。上から見ると「響」に見えるそうです。
サントリーホール正面玄関の上壁にはパイプオルゴールが仕込まれています。正午と開場時に壁が開いて可愛らしいパイプオルゴールが登場してきて音楽が奏でられます
年4回、季節によって楽曲は変わります。演奏時間は3分ぐらい。これだけを見に来るお客さんもいるぐらいなのでぜひ一度見てもらいたいものです。本当に可愛らしい!!
サントリーホールのおすすめポイント
「世界一美しい響き」をコンセプトに建てられた、視覚的にも音響的にも日本最高峰のコンサートホールです。日本を代表するホールであり、世界的にも完成度の高いホールだと思います。世界のどのホールにも負けない美しい響きを持ち、内装も綺麗で楽屋も素晴らしいとなればもう言う事なしです。
サントリーの芸術・文化への貢献は素晴らしく、スケールの点でも内容の充実度においても、とてつもなく凄いものを作り上げました。ホワイエの雰囲気は今まで日本では無かったような革新的なものです。このホールを参考にして作られたホールも数多くあります。
ホール内に入るとステージ後方のパイプオルガンが見事な形態で音楽の殿堂に来たような感動を受けます。このホールのパイプオルガンがどのホールのものよりも一番見事だと思います。また、ワインヤードの客席の構造が素敵な雰囲気を醸し出しています。
ふんだんにオーク材が使われていてオープンしたての頃にはこのオーク材の香りが今よりももっと強烈でした。ステージ上の照明器具はビールの泡を表現しています。透明な反響板も独特のもので神秘的な雰囲気をもたらしてくれます。
さすが日本が世界に誇る一流ホール!サントリーホール内にはホールアテンダントと呼ばれる人がいて、客席への案内やこのホールについての様々な情報を教えてくれたり、気軽に対応してくれます。本当に至れり尽せりな日本一のコンサートホールです。
こんな理想的なクラシック音楽専用ホールが日本に作られた事は我々クラシックファンにとって最高の喜びです。やっぱりベルリンやウィーンのオーケストラはここで聴くのが一番です。ちなみに、このホールにはちょっとしたバーがあり、休憩時間にはビールを飲むことが出来ます。最高の音楽の余韻に浸りながらビールを喉に流し込む、まさに至福の時間。嬉しい限りです。
サントリーホールのマイナス点
本当にマイナスポイントはしぼりださなければ出てこないほど素晴らしいホールです。しかしながら強いてあげるとすると、交通アクセスの面かなと思います。各駅から中途半端な位置にあり、公演に遅れそうだという時には多少不便さを感じるレベルです。
サントリーホールチケット情報
最高のホールだけにほとんどの公演が高額なプラチナチケットだと思って下さい。日本のオーケストラの公演でも、東京文化会館の2、3割増しです。ましてや外国のオーケストラの場合は謂わずと知れています。
指揮者が好きな人はステージ後ろにも客席がありますから、カッコイイ指揮振りを見ることが出来ます。ただしこの席だと音は多少落ちます・・・。彼女とのデートとか夫婦の結婚記念日とか思い出作りに、1年で1度でいいですから訪れて欲しい場所でもあります。
交通アクセス
東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王駅」より徒歩7~10分。
都内の1等地、赤坂アークヒルズ内にあるクラシック専門ホールです。このアークとはARK、A「赤坂」、R「六本木」、K「Knot=つなぎ目」の合成語だそうです。周りには高層ビルが乱立していて、すぐ近くに全日空ホテルとかアメリカ大使館、ホテルオークラ等があります。
一角には公園があり、その下にカラヤン広場が広がっています。勿論ここのホールの設計にいろいろとアドバイスした指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンに因んだ名前です。その隣には以前はテレビ朝日のオープンスタジオがあって『ニュースステーション』などをやっていました。
東京カテドラル・マリア・大聖堂【番外編】
厳密にはコンサートホールではありませんが、度々クラシックコンサートを行なっているとっても美しい教会がありますので紹介したいと思います。東京コンサートホールランキングには入れませんでしたが、本当に美しく、ぜひここでも素晴らしい音楽を聴いてもらえればと思います。
世界的にも有名な日本の建築家・丹下健三氏の設計によって1964年に建設されました。真上から見ると十字架の形をした建物で近くから見ると教会とは思えない不思議な形態になっています。
教会なので基本的にコンサートホールではありません。しかし大聖堂内には宗教行事を行なうための立派なパイプオルガンもありステージ後方には大きな十字架が飾られており、視覚的にも異空間に紛れ込んだような感覚にとらわれます。
私はここでヘンデルの「メサイア」を聴きました。コンクリートの壁むき出しの教会なので残響が物凄く、今まで未経験の音楽体験でした。
ぜひ皆さんにも一度は聴いて欲しいと思い、番外編として紹介しました。
交通アクセス
東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」より徒歩約15分
音響が一番良い席の選び方【豆知識】
コンサートホールの一番音が良いとされる場所はステージに向かってセンターの15から20列目ぐらいと言われています。また、2階のセンターも良い音で聴けます。
チケットを購入する際は同じS席でも演奏者を間近で見たいのか、最高の音を聴きたいのかによっても変わってくると思うのでしっかりと確認してから購入する事をおすすめします。
センターをが取れなかった場合もステージに向かって右側の席を取る方が良いとされています。これはピアノがある時限定なのかもしれませんが、ピアノの反射板の形態からだそうです。ピアニストの指使いが見たい人もいますから一概にはどっちとはいえないのですが・・・。
まとめ
東京コンサートホールランキングはいかがだったでしょうか。私が自身を持っておすすめする10ヶ所+1をご紹介させていただきました。人と同じでコンサートホールにも個性があります。残響豊かだけど響きがちょっと違うなど、ひとつひとつ聞き比べてみるのも面白いと思います。
ホールによってオーケストラも進歩すると言います。昔と違って音響の良いホールが増えました。この事によって日本のオーケストラが世界レベルにランクアップできたら最高だと思っています。