ベルリン・フィルは音楽監督だったサイモン・ラトルとの契約が2018年6月に切れて、現在はその立場の指揮者が不在になっています。オーケストラにとって自分たちのシェフが存在しないことは、運営面、技術面でとても不安な状態にあります。
ベルリン・フィルは既に楽団員の選挙で後任をキリル・ペトレンコに決定しています。しかし、キリル・ぺトレンコは現在バイエルン国立歌劇場の音楽監督の立場にあり、その契約が切れる時期をベルリン・フィルは待っているわけです。
キリル・ペトレンコとの契約は2019年8月19日からとなっており、ベルリン・フィルは期待を込めて待っている事でしょう。世界有数のオーケストラの次期音楽監督はすごいのですが、キリル・ぺトレンコについてはあまり知られていないので少しだけ彼の経歴などを記載しておきます。
キリル・ぺテトンコとは
キリル・ガリエヴィチ・ペトレンコ(ラテン文字転写: Kirill Garrievich Petrenko)、ロシア出身、1972年2月11日生まれ(47歳)。父はヴァイオリニスト、母は音楽学者というユダヤ系家族に生まれました。11歳でピアニストとしてオーケストラ・デビューしたほど、才能ある少年でした。
大学はウィーン国立音楽大学に通い、そこでウロシュ・ラヨヴィチらに師事。またペーター・ギュルケ、チョン・ミョンフン、エドワード・ダウンズ、エトヴェシュ・ペーテル、セミヨン・ビシュコフにも指揮を学んでいます。
2002年にベルリン・コーミッシェ・オーパーの音楽監督に就任し、2007年まで務めました。2013年よりはバイエルン国立歌劇場の音楽監督に就任し、現在に至ります。この在任中の2015年にベルリン・フィルから音楽監督に指名され、世界中から注目されました。
キリル・ぺトレンコ選定の経緯
ベルリン・フィルの前任の音楽監督サイモン・ラトルが契約延長はしないと発表した後、ベルリン・フィル団員は会議を行いましたが、一度の会議では結論が出ずに、二度、三度と行われたそうです。外には話は漏れてきませんでしたがかなり揉めたようです。
クリスティアン・ティーレマンやアンドリス・ネルソンスらが候補に挙がっていたと伝えられていましたが、ベルリン・フィルが決定したのはキリル・ぺトレンコでした。音楽監督決定の記者会見でその名が発表された時にはマスコミ関係者たちは誰もが驚いたそうです。
無名とは言いませんが、キリル・ぺトレンコの名はそう有名ではなく、まさか彼がベルリン・フィルの音楽監督に指名されるとは誰も予想していませんでした。競馬でいえば”大穴”が出たような感じだったと思います。
まとめ
いよいよキリル・ぺトレンコの芸術監督まで秒読み段階に入りました。キリル・ぺトレンコ、ベルリン・フィル両者とも期待と不安が入り混じった思いなのでしょう。両者が早く良好な関係を築き上げる事を願っています。
カラヤン、ベルリン・フィルが絶頂期だった1980年当時のような素晴らしい関係が出来上がると両者ともにますますいい音楽を生み出すようになってくるでしょう。キリル・ぺトレンコには末永く腰を据えて続けてほしいと思っています。