ピアニストは世の中に星の数ほど存在します。何十年もクラシックファンをやっていると聴いてきたピアニスト達も数多くなってきました。何百回とホールに足を運んできましたが、一流だからと言って全てのピアニストが感動を与えてくれたかと言えばその答えはイエスではありません。
今回はクラシック音楽を心の底から愛するおじさんが実際に生で演奏を聞いて、心と耳にいつまでも余韻を残してくれたピアニストたちをランキング形式で紹介しています。
おじさんなのでどうしても年齢層が高くなってしまいますが、間違いなく超一流、そして感動させてくれたピアニストたちです!!
ピアニストランキングTOP30
基本的にピアニストは自分自身の楽器を持ち運べない可哀想な音楽家です。どんなに自分と相性の悪いピアノでも、コンサート会場のピアノを使わなければいけないのです。そういった点も少ーしだけ考慮した上で、4つの選考条件を元にしたピアニストランキングを作成しました。
- 私自身が生演奏を聴いた演奏者
- 心を揺さぶる演奏であった
- 独自の音楽性がある
- 独自性を伝える技術がある
かなり昔に聞いたものもありますが、どれだけの時が経過しようと、今回紹介するピアニストたちの演奏は間違いなく私の心と耳に深く残っています。
第30位 アンドレイ・ガブリーロフ
Andrei Gavrilov(1955~)
出身地:ロシア
1974年19歳でチャイコフスキー国際コンクールで優勝。ヴィルトゥオーソピアニストの1人です。私が聴いたのはチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」。まだ若き彼がテクニックを駆使して演奏している様は将来の活躍ぶりを感じさせるものがありました。しかし最近は余り彼の名を聞くことが無くなり残念です。
第29位 セシル・ウーセ
Cécile Ousset(1936~)
出身地:フランス
パリ音楽院を何と14歳で首席で卒業した超エリートです。エリザベート王妃国際音楽コンクール4位入賞、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝。私が聴いたのはラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」でしたが、この難曲を難なく弾きこなす姿はとても素晴らしいものでした。彼女も残念ながら2006年に健康不安を理由に演奏活動から引退しました。
第28位 イモージェン・クーパー
Imogen Cooper(1949~)
出身地:イギリス
12才よりパリ国立高等音楽院で学ぶほど、子供の頃から才能に溢れていました。2007年大英帝国勲章授与、2008年ロイヤル・フィルハーモニック協会からも賞を授与、イギリスを代表する女流ピアニストとして活躍しています。私が聴いたのはモーツァルト「ピアノ協奏曲第26番」。「戴冠式」の名を持つこの名曲を魅力的に弾いていました。
第27位 パスカル・ドヴォワヨン
Pascal Devoyon(1953~)
出身地:フランス
1973年ヴィオッティ国際音楽コンクール第2位、1974年ブゾーニ国際ピアノコンクール第2位、1975年リーズ国際ピアノ・コンクール第3位、1978年チャイコフスキー国際コンクール第2位にそれぞれ入賞。非凡な才能に恵まれたピアニストです。私が聴いた曲はベートーヴェンの「皇帝」。煌くようなベートーヴェンでした。
第26位 イレーナ・ヴェレッド
Ilana Vered(1943~)
出身地:イスラエル
13歳でイスラエル政府の給費留学生としてパリ音楽院に入学。わずか2年で卒業!15歳でピアニストとしてデビューしますが、19歳で今までの自分の音楽生活に疑問を感じ、ピアニストとしてのキャリアを捨てて画家を目指した異色のピアニストです。私が彼女の演奏を聴いたのはモーツァルトの「ピアノ協奏曲第21番」。女性とは思えないような大胆な演奏振りが印象的でした。
第25位 セシル・リカド
Cecile Licad(1961~)
出身地:フィリピン
ショルティ指揮シカゴ交響楽団との衝撃的デビューの後、アバドとラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」のCDで世界的名声を得ます。私が彼女を聴いたのはN響との共演。ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」。あの難しい曲を見事に演奏していました。若くてこんな演奏するなんて凄い!と驚いたものです。
第24位 ピーター・ゼルキン
Peter Adolf Serkin(1947~2020)
出身地:アメリカ
父は大ピアニストのルドルフ・ゼルキン。1966年19歳のときグラミー賞にて最優秀クラシック・アーティスト新人賞を受賞。一時音楽を離れるが自分には音楽しかないと復帰。彼の演奏は3度聴いています。モーツァルト「9番」、ブラームス「2番」、ベートーヴェン「4番」の協奏曲でしたが、どれもが圧巻の演奏でした。
第23位 フランス・クリダ
France Clidat(1932~2012)
出身地:フランス
1956年にフランツ・リスト国際コンクール(現在のブダペスト国際音楽コンクール)に出場し、同コンクールでは19年ぶりとなるフランツ・リスト賞を受賞。リスト弾きの演奏家として世界的に知られていました。私も彼女のリストを聴いた一人です。「ピアノ協奏曲第1番」。リストのこの通俗名曲を完全に自分の物にしていて、観衆を惹きつける見事な演奏でした。
第22位 フランソワ=ルネ・デュシャーブル
François-René Duchâble(1952~)
出身地:フランス
1968年エリザベート王妃国際音楽コンクール入賞。ベートーヴェン、シューマン、ブラームス、ラヴェル、バルトークらの演奏を得意としていました。私が聴いたのもベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」。私が大好きなこの曲を見事に演奏していた姿は今でも鮮明に覚えています。残念ながら2003年に現役を引退しました。
第21位 アニー・フィッシャー
Annie Fischer(1914~1995)
出身地:ハンガリー
1933年国際リスト・コンクール優勝。モーツァルトやベートーヴェン、シューベルト、シューマン、バルトークなどのレパートリーは評価が高く、残された録音は好楽家から人気があります。私が聴いた時でも70歳ぐらいのお歳だったと思います。モーツァルト「ピアノ協奏曲第22番」。丁寧な演奏で我々を魅了しました。
第20位 エマニュエル・アックス
Emanuel Ax(1949~)
出身地:ポーランド
1972年エリザベート王妃国際音楽コンクール第7位。1974年テルアヴィヴ・アルトゥール・ルービンシュタイン国際コンクールに優勝。幅広いレパートリーの持ち主で現代音楽も結構演奏しています。私はショパンの「ピアノ協奏曲1番」をグシュルバウアー/N響で聴きましたが、けれんみの無い素直な音楽でした。奥様は日本人ピアニストの野崎陽子です。
第19位 花房 晴美
Harumi Hanafusa(1952~)
出身地:日本
1975年エリザベート国際音楽コンクール第9位。N響の定期演奏会で何回か聴いていますが一番印象に残っているのがグリーグの「ピアノ協奏曲」。見事なグリーグでした、その一語に尽きます。上皇后美智子様ともご親交があるそうです。
第18位 仲道 郁代
Ikuyo Nakamichi(1963~)
出身地:日本
1987年エリザベート国際音楽コンクール第5位。テクニックに裏付けされた見事な音楽を奏でる人です。リスト「ピアノ協奏曲第1番」を聴きましたが、基本に忠実な、実に見事な演奏でした。テクニックはあるけど無難すぎるとの批判がありますが、私はこういうタイプが好きです。この方は結婚されてからより音楽が深くなりました。また子供が出来てからもますます良くなったと感じています。素敵なピアニストです。
第17位 小山 実稚恵
Michie Koyama(1959~)
出身地:日本
1982年チャイコフスキー国際コンクール第3位、1985年ショパン国際ピアノコンクール第4位と二大国際コンクールの両方に入賞した日本人で唯一のピアニスト。この方も何回か聴いていますが大友直人/N響との共演で演奏したチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲1番」がより印象的でした。とても才能豊かな日本を代表するピアニストの一人です。
第16位 ワルター・クリーン
Walter Klien(1928~1991)
出身地:オーストリア
ブゾーニ国際ピアノコンクールと、ロン=ティボー国際コンクールに入賞。モーツァルト弾きとして有名。私が聴いたのもモーツァルトの「ピアノ協奏曲24番」、N響の定期でもう随分昔のことです。澄んだ響きの素敵な演奏でした。これはライブレコード化されていますのでぜひ聴いてほしいいと思います。
第15位 クリスティーナ・オルティス
Cristina Ortiz(1950~)
出身地:ブラジル
1969年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝。コンドラシン/N響でバルトークの「ピアノ協奏曲第3番」を聴きました。優雅なタッチで優しい音楽だったと記憶しています。短めの曲ですが基本的なことがきっちりとしていて忘れられない演奏です。また新日本フィルでのモーツァルトの9番の協奏曲も素敵な演奏でした。
第14位 アンドレ・ワッツ
Andre Watts(1946~)
出身地:ドイツ
グールドの代役でバーンスタイン/ニューヨークフィルのコンサートに出演し一躍世界に躍り出たピアニスト。テクニックが物凄く、硬質なタッチのピアニストです。私が聴いたのはメンデルスゾーンの「ピアノ協奏曲第1番」ですが、曲についてはまるで記憶がありません。しかしちょっと細めの黒人が見事に弾いている姿が今でも印象的です。ヴィルトォオーソという言葉がぴったりのピアニスト!
第13位 ネルソン・フレイレ
Nelson Freire(1944~2021)
出身地:ブラジル
見た目が親しみある気のいいおじさんといった感じ。音楽もそんなところがあって好きなピアニストの一人です。私が聴いたのはかなり昔のN響との共演でラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」でした。あの雄大な曲を自由に弾きこなして、見事な演奏でした。
第12位 イングリート・へブラー
Ingrid Haebler (1926~)
出身地:オーストリア
私が聴いた時ももうおばあちゃんでしたから今は引退したのかも知れません。モーツァルト弾きとして世界に名を馳せました。でも私が聴いたのはベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第4番」。これは感動的でした。しばらく拍手が鳴り止まなかった事を覚えています。
第11位 シプリアン・カツァリス
Cyprien Katsaris(1951~)
出身地:フランス
1972年エリザベート王妃国際音楽コンクールで第9位。このコンクールでは、西欧出身者として初の入賞者でした。彼を聴いたのはウーヴェ・ムント/N響とのモーツァルト「ピアノ協奏曲第12番」。とてもテクニックが凄く、曲の内面性もとらえた演奏で感激しました。
第10位 ラドゥ・ルプー
Radu Lupu(1945~)
出身地:ルーマニア
1966年第2回ヴァン・クライバーン国際コンクール、1967年エネスコ国際コンクール、1969年リーズ国際ピアノ・コンクールにおいてそれぞれ優勝。その凄さは世界的に超有名です。長髪に髭も長くその風貌は宗教者のよう。私が聴いたのはブラームスの「ピアノ協奏曲第1番」。あの交響曲のような大曲を見事に弾きこなしていました。圧倒された演奏会で忘れられません。
第9位 アンネローゼ・シュミット
Annerose Schmidt(1936~)
出身地:ドイツ
旧東独出身。彼女はモーツァルト弾きというイメージが強くあります。事実モーツァルトの録音が多いのは確かです。しかし私が聴いたのはブラームスの「ピアノ協奏曲第1番」。時には叙情的にまたある時にはパワフルに弾いていました。綺麗なピアニストでしたが、もう現役は引退したのでしょうか。
第8位 ブルーノ・レオナルド・ゲルバー
Bruno Leonardo Gelber(1941~)
出身地:アルゼンチン
私の敬愛する評論家、故吉田秀和が好きだったピアニスト。1961年ロン=ティボー国際コンクール第3位。ベートーヴェンとブラームスを得意としており、現代を代表するピアニストの一人です。私は2回彼を聴いていますが、ブラームスの「ピアノ協奏曲第2番」は素晴らしかった。あの大曲を十分にコントロールしつつ見事な演奏でした。
第7位 クリストフ・エッシェンバッハ
Christoph Eschenbach(1940~)
出身地:ドイツ
今でこそ彼は大指揮者となりましたが、元々はピアニストでした。私が聴いたのは本当に昔、70年代最後、N響の定期でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番」。若きベートーヴェンを彷彿とさせるような活きのいい演奏でした。これ以後は指揮者としての演奏しか接していません。
第6位 クリスティアン・ツィマーマン
Krystian Zimerman(1956~)
出身地:ポーランド
1975年第9回ショパン国際ピアノコンクール史上最年少(18歳)優勝者。現代を代表するピアニストの一人。彼をナンバー1に推す人も多い事でしょう。私はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」をN響定期で聴き、その素晴らしいテクニック、集中力、音楽性に魅了されました。演奏後女の子達が花束を渡すために列を作ったのを始めて見てびっくり!イケメンですからね。
第5位 内田 光子
Mitsuko Uchida(1948~)
出身地:日本
1970年ショパン国際ピアノコンクール第2位。今でこそ世界のUCHIDAになりましたが、本当の意味でメジャーになったのは1980年代から。モーツァルトのソナタ、協奏曲の全曲演奏会を行なってロンドンの聴衆たちを感動させ世界に躍り出ました。私も何回か聴いていますが、読響とやったベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第3番」は名演でした。こんな日本人ピアニストがいたのかと感動したことを覚えています。彼女の現在の国籍はイギリスです。
第4位 アルフレート・ブレンデル
Alfred Brendel(1931~)
出身地:チェコ
1949年ブゾーニ国際コンクール第4位入賞。オーストリア、ドイツ系の音楽の王道が得意なピアニスト。私が聴いたのもベートーヴェンの「皇帝」。素晴らしい高みの演奏!その風貌のようにとても知的で正当なベートーヴェンを聴かせて貰いました。残念ながら2008年に引退を発表しています。
第3位 マウリツィオ・ポリーニ
Maurizio Pollini(1942~)
出身地:イタリア
マウリツィオ・ポリーニの略歴
1957年、当時男女別で審査が行われていたジュネーブ国際コンクールに出場し、15歳で男性部門第2位を獲得しました。翌年、同コンクールに再度挑むがまたしても第2位。技術は申し分ないが、中々優勝できずにいました。
1960年、18歳のポリーニは世界的にも名高いショパン国際ピアノコンクールで優勝を成し遂げます!!審査委員長のアルトゥール・ルービンシュタインが「今ここにいる審査員の中で、彼より巧く弾けるものが果たしているであろうか」と賛辞を述べ、一躍国際的な名声を勝ち取りました。
空白の8年間
ショパン国際ピアノコンクール優勝後、約8年間に渡り音楽界から姿を消しました。演奏会はおろか、録音も一切残っていません。突如音楽会から消えた天才ピアニストに様々な憶測が流れました。腱鞘炎であるとか他の病気であるとか、現在でも彼は当時について口を開こうとはしません。
ショパン国際ピアノコンクールで優勝した天才ピアニストをオーケストラやレコード会社が放っておく訳がありません!将来を約束された天才の身に何が起こっていたのか、未だ多くの謎に包まれているピアニストです。そんなミステリアスな所も彼の音楽に深みを持たせているのでしょう。
マウリティオ・ポリーニの活躍
空白の8年を経て音楽界に復帰したポリーニはその才能を世界に轟かせる事になります。世界の主要な指揮者やオーケストラとの共演は何れも絶賛され、録音も全て気迫溢れるものです。数々の国際的な賞も受賞していますので紹介したいと思います。
- 1987年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団名誉賞
- 1995年ザルツブルク州ゴールド勲章
- 1996年エルンスト・フォン・シーメンス賞
- 1999年アルトゥール・ルービンシュタイン賞
- 2000年アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ国際賞
- 2010年高松宮殿下記念世界文化賞
ポリーニの音楽は、硬質かつ均質でクリアな音色である事が特徴です。そして正確無比なテクニックによる完成度の高い演奏は聴く人全てを魅了します。私が聴いたのは小澤征爾とのベートーヴェン「皇帝」。この曲の到達点なのかもしれないと思わせるほど、心を打つ見事な演奏でした。
第2位 ルドルフ・ゼルキン
Rudolf Serkin(1903~1991)
ルドルフ・ゼルキンの略歴
幼少のころにウィーンに移り、音楽活動に没頭します。作曲は偉大なる音楽界の巨匠『アルノルト・シェーンベルク』から学びました。わずか12歳でウィーン交響楽団とメンデルスゾーンの「ピアノ協奏曲」を共演して音楽界にデビューした神童!
1936年アルトゥーロ・トスカニーニ指揮ニューヨーク・フィルハーモニックと共にアメリカデビューを果たします。1939年ナチスから逃れるためにアメリカへと移住しました。演奏活動をする傍らカーティス音楽院で30年に渡って教鞭をとり、1968年から学院長となります。
音楽院で教授をしながらも1951年にはマルセル・モイーズらとともにマールボロ音楽学校と同音楽祭を創設、主宰となり活躍しました。1991年、生涯現役を貫いた偉大な音楽家はアメリカのギルフォードの地で88歳で世を去ります。ちなみに、24位のピーター・ゼルキンは彼の息子です。
ルドルフ・ゼルキンの活躍
20世紀型の巨匠の一人として活躍したルドルフ・ゼルキン。コンクールなど無い時代にデビューし、自らキャリアアップしてきたピアニストです。ドイツ音楽を得意とし、ベートーヴェン、ブラームス、モーツァルトなどに名演奏を残し、また室内楽にも定評がある人でした。
こんなに凄いピアニストでしたが録音に関してはあまり積極的ではなく、CDの数は他の世界的ピアニストと比べ遥かに少ないです。やはりライブに拘ったピアニストだったのでしょう。
感動的だった演奏会
私が彼の演奏を生で聴く事ができたのは残念ながらたったの2回です。どちらもベートーヴェンの「皇帝」。その中でも小澤征爾との「皇帝」は二人の息がぴったりと合った素晴らしい演奏でした。
アンコールはシューベルトの「即興曲集」D935の第2番。これも心の中で大事な思い出として残っていて、40数年たった今でもこの曲を聴くと彼の弾いてる姿が頭に浮かびます。優しい人柄が出た、暖かく心に澄み渡る素敵な音楽でした。
第1位 マルタ・アルゲリッチ
Maria Martha Argerich(1941~)
出身地:アルゼンチン
マルタ・アルゲリッチの略暦
No.1の登場です。自分だけのピアニストランキングを作った時、私と同じようにマルタ・アルゲリッチを一位とするクラシック愛好家も多いのではないでしょうか。2歳8ヵ月からピアノを弾き始め、8歳の時には公の場でベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第1番」を演奏してみせました。
1957年ブゾーニ国際ピアノコンクール優勝。またジュネーブ国際音楽コンクールの女性ピアニストの部門においても優勝!1965年ショパン国際ピアノコンクールでも優勝(中村紘子は4位入賞)。『ピアニストの女王』としての確たる地位を手に入れました。
アルゲリッチの偉大なる指導者たち
- グルダ
- マガロフ
- リパッティ(夫人)
- ミケランジェリ
- アスケナーゼ
マルタ・アルゲリッチの活躍
唯一無二のピアニスト。自由奔放で優しい人柄は音楽にも反映されており、彼女の演奏はとても自由で堅苦しさが無く、聴く者の心にすっと入ってきます。そんな彼女ですから世界の主要な指揮者、オーケストラとの共演はもちろん、録音も素晴らしい音楽を次々と生み出しています。
今まで聴いたCDの中で「はずれ」が1枚も無く、どれもこれも名盤です。レパートリーはバロック音楽から古典派、ロマン派、印象派、現代音楽まで何でも弾きこなしてしまいます。近年では彼女お気に入りの音楽家と室内楽をすることも多くなりました。
アルゲリッチの演奏会を聴いて
私が彼女を聴いたのは随分昔のことです。最初は1981年小澤征爾/新日本フィルとシューマンの「ピアノ協奏曲」。出だしの和音がなった瞬間から引き込まれてしまいました。
次は1984年、これも小澤征爾/新日本フィルとの共演でチャイコフスキー「ピアノ協奏曲」。最初から最後まで一所懸命、力の続く限り走りきったぞといった演奏でした。物凄く興奮したことが昨日の事のように思い出されます。
当時は彼女も小澤もまだ若かった(そして私も)。彼女の音楽と小澤との掛け合いも良くあっていて、本当に素晴らしいものでした。天才と天才がぶつかるとこんなにも感動する音楽が生まれるのかと感心した事が思い出されます。
ピアニストランキングを振り返って
第1位 マルタ・アルゲリッチ
第2位 ルドルフ・ゼルキン
第3位 マウリツィオ・ポリーニ
第4位 アルフレート・ブレンデル
第5位 内田 光子
第6位 クリスティアン・ツィマーマン
第7位 クリストフ・エッシェンバッハ
第8位 ブルーノ・レオナルド・ゲルバー
第9位 アンネローゼ・シュミット
第10位 ラドゥ・ルプー
第11位 シプリアン・カツァリス
第12位 イングリート・へブラー
第13位 ネルソン・フレイレ
第14位 アンドレ・ワッツ
第15位 クリスティーナ・オルティス
第16位 ワルター・クリーン
第17位 小山 実稚恵
第18位 仲道 郁恵
第19位 花房 晴美
第20位 エマニュエル・マックス
第21位 アニー・フィッシャー
第22位 フランソワ=ルネ・デュシャーブル
第23位 フランス・クリダ
第24位 ピーター・ゼルキン
第25位 セシル・リカド
第26位 イレーナ・ヴァレッド
第27位 パスカル・ドヴォワヨン
第28位 イモージェン・クーパー
第29位 セシル・ウーセ
第30位 アンドレイ・ガブリーロフ
特別名誉1位 中村 紘子
© Hiroshi Takaoka
Hiroko Nakamura(1944~2016)
出身地:日本
2016年に永遠に旅立ってしまいました。本当なら順位を付けるのもおこがましい、あまりにも偉大過ぎる、私の中の永久欠番です。お時間ありましたら下方の『中村紘子【追悼記事】』もお読みいただければ幸いです。
あわせて読みたい!コンサートシェア98%のピアノとは!
ピアニストランキングまとめ
ランキングを決めるために色々と悩みました。正直な話、5位以内は誰が1位になっても不思議はありません。本当に感性で選んだ順位です。私の中で、マルタ・アルゲリッチと中村紘子さんは本当に特別な存在です。若い世代の人にもランキングをぜひ参考にして欲しいと思います。
やはり人気のある楽器、ピアノだけに、一流のピアニストも数多くいらっしゃいます。将来このランキングが日本人ばかりになる事を願うばかりです。そしてやはりピアノが弾ける人はかっこいいですね。改めて楽器ができる人の素晴らしさを感じました。