ベヒシュタイン ピアノ

世界三大ピアノメーカーのひとつとして数えられるBechstein(ベヒシュタイン)は、1853年にカール・ベヒシュタインがドイツの・ベルリンで創業さしたのが始まりです。世界恐慌や第二次世界大戦など、様々な苦難に直面しながらも着実にその品質を世界に轟かせてきました。

ピアノ界のストラディバリウスと称される名器は、世界最高峰のピアノとして今現在でも多くの一流ピアニストに愛される、歴史と伝統を持つピアノメーカーです。

世界三大ピアノ

  • Bechstein(ベヒシュタイン)
  • Bosendorfer(ベーゼンドルファー)
  • Steinway & Sons(スタインウェイ・アンド・サンズ)

ベヒシュタインの歴史

ベヒシュタイン ピアノ
1826年、ドイツ共和国連邦で生を受けました。音楽家の父はベヒシュタインがまだ4歳の時に他界してしまいます。その後、母の再婚相手となったアグテは、厳しくもベヒシュタインにピアノ・ヴァイオリン・チェロを習う環境を整えました。

ベヒシュタインの姉、エミーリエがピアノ職人と結婚した事で彼自身もまた義兄の元ピアノ制作の修行を始める事になります。ドイツのピアノ工場で腕を磨いていたベヒシュタインでしたが、当時では世界一と言われていたフランス・パリへと移り、更なる修行の日々を送ります。

ピアノ職人として腕を磨き続けるベヒシュタインはドイツへと戻り、1853年10月1日に自身の工場を創業します。ベヒシュタインのピアノは、超絶技巧のピアニストであるリストや、クロード・ドビュッシーなど、多くの一流演奏家に愛されました。

ベヒシュタインの音色

ベヒシュタイン ピアノ
ベヒシュタインの音色は王室をも魅了したとされています。ベヒシュタインは音の立ち上がりが非常に早く、演奏者のタッチに瞬時反応する特徴を持っています。そして透明感のある音は新鮮で自由、非常にバランスの取れた音域が魅力です。

そして三大ピアノと比較するとわかる大きな特徴に、「音の減衰が速い」事が言えます。他者が音量を追求する中でベヒシュタインはとにかく音楽を奏でる楽器としての質を重視しました。音たちが混じりあいながら消えて行く時の美しさに関しては内田光子もこのように述べています。

“音が消えてゆく時の美しさを表現できるピアノに久しぶりに出会えた”

このように演奏家の個性を立体的に表現できるベヒシュタインの音色は、世界三大ピアノのひとつに数えられ、世界中のピアニストを魅了してやまない素晴らしい名器とされています。

ベヒシュタインの価格

ベヒシュタイン ピアノ

モデルによって違いはありますが、価格帯でみるとスタインウェイやベーゼンドルファーと同じく1,000万から3,000万円ほどになっています。一台一台が全てハンドメイドの一級品であるため、このような価格帯も納得と言えます。

しかしながら、ベヒシュタインはアップライトピアノの品質においても一級品であるという評価を受けています。そのためグランドピアノではなくアップライトピアノであれば世界最高峰のピアノを200万円代から購入する事もできるのでおすすめです。

ベヒシュタイン愛用者

ピアニスト リスト
リストがベヒシュタインについて語った有名な言葉があるのでご紹介したいと思います。この言葉はベヒシュタインを愛する全ての演奏家の想いを代弁したような言葉に思えます。

あなたの楽器に何か言わせてもらうとすれば、ただただ称賛するだけだ。28年間ベヒシュタインを弾き続けているが、その優秀さが衰えることは一度だってなかった。ベヒシュタインを弾いた最高権威者の見解によれば、もはや称賛する必要はない。それは、余計な言葉で、ただ冗長で同じような言葉の反復になるのだから。

フランツ・リスト
・フランツ・リスト
・ヨハネス・ブラームス
・クロード・ドビュッシー
・モーリス・ラヴェル
・セルゲイ・ラフマニノフ
・バルトーク・ベーラ
・ギャリック・オールソン
・フェルッチョ・ブゾーニ

ベヒシュタインを襲った災難

ピアノ
ベヒシュタインのピアノは多くの一流ピアニストに愛される素晴らしい名器でしたが、長い歴史の中でこの世界的ピアノメーカーを苦しめたのは時代という名の悪魔でした。ピアノの音色や品質ではなく、世界恐慌や第二次世界大戦といった世界情勢に苦しめられる事になるのです。

世界大恐慌による打撃

1929年から三年間、世界中の資本主義諸国を襲った史上最大規模の恐慌は、創業から70年以上が経過し、順風満帆に見えたベヒシュタインの経営にも大打撃を与えました。世界貿易は70.8%も減少し、失業者の数は5000万人にも達しました。こうした惨事が起こり、各国は封鎖的な経済圏を形成するようになってしまいました。後に起こる第二次世界大戦の引き金とも言われています。

第二次世界大戦が勃発

大恐慌で打撃を受けていたベヒシュタインに更なる災難が襲い掛かります。戦時中、ピアノ工場は破壊され、ベヒシュタインの高品質なピアノ製造に欠かせない設計図などの重要な資料は灰となりました。その上、熟練の職人たちをも失うという大惨事となりました。大戦中にナチスに加担していたとして、時代が和平へと向かう中ベヒシュタインの栄光は陰りを見せるようになりました。

ベヒシュタインのその後

1986年、カール・シュルツェが38歳でこの会社を引き継いだ時にはベヒシュタインのかつての栄光はなく、経営は落ち込んでいました。ベヒシュタイン黄金期の再建を目指したシュルツの努力はすぐに実を結び、ベルリンの壁崩壊によって更に過酷な経済の時代へと突入しましたが順調に売り上げを伸ばしていきました。

ベヒシュタインの現在

ベヒシュタイン ピアノ
様々な苦難を乗り越え、創業から100年以上が経過した今でもベヒシュタインのピアノは子孫たちに引き継がれ歴史と伝統あるピアノメーカーとしての地位を確固たるものにしています。今でも年間で数千台のピアノを製造・販売し、苦難の末の成功を収めています。

新たな時代を迎え、多くの経済危機を迎えながらも、近年では1900年の全盛期同様に年間5,000台のピアノを製造するにまで至っています。コンクールなどでは中々見かける機会がありませんが、一流ブランドの世界最高峰のピアノはいまだ健在で、売れ行きも好調のようです。

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