ブルーノワルター 指揮者

往年のクラシックファンにはお馴染みのブルーノ・ワルターですが、録音を多く残した指揮者でもあったので、現在でも彼の演奏に歓喜するファンは多く存在します。ユダヤ系ドイツ人であったため、デビュー以降は本名を変え、ナチスの迫害と戦いました。

偉大な作曲家グスタフ・マーラーに気に入られ、生涯彼とは固い絆を保ちました。マーラーに招聘されて、ウィーン宮廷歌劇場(現在のウィーン国立歌劇場)の副指揮者となり、活躍します。著名オペラ座の音楽監督などもこなし、順風満帆なスタートを切りました。

しかし、ナチスに迫害され、スイスからアメリカに亡命。戦後は、アメリカで彼のために作られたコロンビア交響楽団と数々の録音を残し、トスカニーニやフルトヴェングラーと並び三大巨匠と呼ばれるようになります。今回はそのブルーノ・ワルターについて紹介します。

ブルーノ・ワルターの略歴

ブルーノワルター 指揮者
ブルーノ・ワルター(1876年9月15日-1962年2月17日)は、ユダヤ系ドイツ人の指揮者・ピアニスト・作曲家です。本名はブルーノ・シュレジンガーですが、ナチスの台頭時期に姓をワルターというドイツ人風に変えました。ナチスに翻弄された芸術家の一人です。

1894年にケルン市立歌劇場でデビューし、1896年にハンブルク歌劇場に移りました。ここではマーラーが音楽監督を務めており、マーラーは彼を気に入り、生涯の親友としてかかわるようになります。1901年にはマーラーに呼ばれウィーン宮廷歌劇場の副指揮者になります。

以降、同歌劇場楽長、ミュンヘン宮廷歌劇場音楽監督、ベルリン市立歌劇場音楽監督、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団楽長などを歴任。各地の著名オーケストラにも呼ばれ、ワルターの名は世界的に知れ渡ります。ウィーン・フィルではフルトヴェングラーと人気を二分しました。

しかし、ヨーロッパをナチスが支配するようになってからは、スイスに逃げ、その後アメリカにまで逃れます。戦後は、ヨーロッパにも復帰しますが、CBSがブルーノ・ワルター専用のオーケストラ、コロンビア交響楽団を作り、数多くの名曲を録音しました。

ブルーノ・ワルターの音楽

特に定評ある作曲家はモーツァルトとマーラーです。それ以外にも、ベートーヴェンを始めとするドイツ・オーストリア系音楽は今でも名盤と言える録音も存在しています。彼は自伝の中で「自分は教育的指揮者」と言っています。その頃の時代は独裁的指揮者が多くいた時期です。

あえて自分からそういう通り、彼の指揮は穏やかであり、丁寧であり、感情をあらわにする様な演奏はなく、その人柄がよく出ています。専制君主的にオーケストラに接しず、オーケストラには「もっと、歌ってください」など実に丁寧な態度だったといいます。

そういう人物ですから、彼の演奏する音楽も丁寧な音楽作りで、特に今でもモーツァルトは一部の愛好者からは非常に愛されています。また、マーラーとは大の親友であった事から得意としていました。今でも残る録音はワルターと思えないほど感情の起伏を出しているものもあります。

ワルターファンは今でも彼のモーツァルトに至福の時を見出しているようです。録音の優れた現代盤ではなく、ワルターの音楽の実に丁寧な音楽を昔の録音から感じているのです。こんなに長く愛されている指揮者も珍しいです。彼が如何にすごい指揮者だったかを物語っています。

まとめ

ブルーノ・ワルターのモーツァルトやベートーヴェン、シューベルトなどの録音は現在でも良く売れています。85歳で亡くなる1年前まで、スタジオ録音を続けていたといいます。ステレオ時代に間に合った指揮者でもあった為に、数多くの録音が残っています。

ワルターファンは、フルトヴェングラーファンと肩を並べるぐらいまだ多く存在しています。録音技術の発達が彼らの演奏を現在まで聴かせてくれています。時代を超えて、良い演奏が楽しめる事は素晴らしい事です。たまには、ブルーノ・ワルターの残したモーツァルトを聴いてみましょう。

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