『のだめカンタービレ』は2001年から2010年まで月刊誌『Kiss』に連載された人気コミックです。作者は二ノ宮知子。連載開始からあっという間に人気が出て、あれよあれよという間に実写でテレビ番組になり、映画も作られるまでになりました。
クラシック音楽を題材に取ったコミックとしてこれだけ人気が出たのはこれが初めてなのではないでしょうか。2021年6月の時点で累計発行部数3870万部です。クラシック音楽コミックの魁となりました。
今更『のだめ』かよという声は聞き流して、『のだめカンタービレ』が何故こんなに人気になったのかを考察し、そして各巻毎にあらすじと、取り上げられた音楽を紹介したいと思います。
『のだめカンタービレ』の人気の理由
二ノ宮知子が書いた『のだめカンタービレ』は、連載中から人気となりました。どうしてそんなに人気が出たのでしょうか?
主人公「のだめ」のキャラ設定
主人公のキャラ設定が良く出来ています。桃ヶ丘音楽大学ピアノ科の落ちこぼれ、「のだめ」こと野田恵。初回の登場時は大学3年生です。
生活態度は度を越してだらしがなく、部屋は汚く、風呂にも入らず、時々「ぎゃぼー」などと奇声を発したりする変人として描かれています。でも、人に優しく思いやりがある設定です。
きちんとした音楽教育を受けて来なかったので、楽譜を読むのが苦手。しかし、耳は良く、一度聴けばすぐにピアノで弾けてしまうほどの能力を持っています。
彼女の夢は幼稚園の先生でした。しかし、「千明真一」の存在により、世界的なピアニストに向かって歩み始めます。「のだめ」の才能を「千明」が発見した事でこの物語は面白おかしく発展していくのです。
この「のだめ」は現実のモデルがいます。リアル「のだめ」さんは、福岡でピアノ教室を開いている方という事しか分かっていません。各巻の巻末にリアル「のだめ」さんのその時点の動向が書かれているのです。
コミックのストーリーは全くのフィクションで、リアル「のだめ」さんはあくまでもキャラクター設定のモデルという事になりますので誤解なきよう願います。
「千秋真一」のキャラ設定
そしてもうひとりの主人公とも言っていい、天才「千秋真一」のキャラ設定も光っています。世界的に有名なピアニスト・千秋雅之と資産家令嬢・三善征子の一人息子で、帰国子女。超エリートであり、お金持ちであり、しかもイケメン。
初出時は桃ヶ丘音楽大学ピアノ科の4年生で、将来は指揮者を目指しています。ピアノもヴァイオリンも得意でしたが、大学に通っていても無味乾燥な日々を過ごしていました。
しかしどこか斜に構えていた「千秋真一」が「のだめ」との出会いによって、音楽の素晴らしさに改めて感動し、新たな境地を見出していきます。
「のだめ」の才能に気付き、「のだめ」をもっと音楽の高みに引き上げてやりたいと思う気持ちがいい刺激になって、本人も大きく変わっていくのです。
「のだめ」と「千明」の二人によって繰り広げられるドタバタ劇とラブストーリーはこのコミックの見どころとなっています。二人のサクセスストーリーともなっているのです。
脇役達の面白さ
脇役達も、それぞれ面白いキャラ設定になっており、これらの人間達の絡みも抜群に良く出来ています。ユニークさが半端ではありません。
「主な登場人物」
フランツ・フォン・シュトレーゼマン:現役の巨匠指揮者。桃ヶ丘音楽大学に教えに来る。通称ミルヒー
セバスチャーノ・ヴィエラ:千秋が子供の頃から師と仰ぐ巨匠指揮者
松田 幸久:R☆Sオーケストラの千秋の後任
ジャン・ドナデュウ:コンクールのライバル
片平 元:コンクールのライバル、アンコール編のオペラ練習もこの夫妻が手伝う
峰 龍太郎:桃ヶ丘音楽音大のヴァイオリン科。Sオケのコンマス。全編にわたり出て来る準主役
奥山 真澄:桃ヶ丘音楽音大で打楽器専攻。通称「もじゃもじゃ」
佐久 桜:桃ヶ丘音楽音大でコントラバス専攻
大河内 守:桃ヶ丘音楽音大で指揮科専攻。大事な場面でいつも失敗する役
三木 清良:バイオリニスト。重要な場面で登場する。峰の彼女でもある。
黒木 泰則:オーボエ奏者。R☆Sオケやパリで重要な役回りをする
江藤 耕造:桃ヶ丘音楽大学のピアノ教師。通称「ハリセン」
三善 竹彦:千秋の叔父。金銭的な面で彼を支えている
千秋 雅之:千秋真一の父。世界的ピアニスト。真一とは仲が悪い
シャルル・オクレール:コンセルヴァトワールの「のだめ」の先生
リュカ・ボドリー:コンセルヴァトワールの生徒。まだ12歳。「のだめ」の友達
孫 Rui:ピアニスト
ポール・デュボワ:マルレ・オケのバソン奏者
フランク・ラントワーヌ:パリの「のだめ」が住んでいるアパートの住人。ピアノ専攻
タチヤーナ・ヴィシニョーワ(ターニャ):パリの「のだめ」が住んでいるアパートの住人。ピアノ専攻
リ・ユンロン:パリの「のだめ」が住んでいるアパートの住人。ピアノ専攻
ヤドヴィガ:パリの「のだめ」が住んでいるアパートの住人。打楽器専攻
ニナ・ルッツ:有名なピアニスト。千秋とは幼い頃からの知り合い
ストーリーの面白さ
ストーリーの面白さも忘れてはならない重要なファクターです。「のだめ」と「千秋」のラブロマンスでもあり、「音楽家」としての対決としても、読み応えがありました。
あの「のだめ」が一流プロの仲間入りし、世界に羽ばたいていきます。天才、「千秋」もフランスのオーケストラの常任指揮者になって、描かれてはいませんが、将来は大指揮者になっていくであろう予感を感じさせてくれます。
本当のクラシックの世界を描いている
取り上げられている内容は、コミックにありがちな夢物語ではないことです。嘘ものではなく、音大生活にしても、コンクールにしても、また学生オーケストラにしても、リアルに描いているなと感じます。
プロのオーケストラでもこんな感じなんだよとそのまま伝えてくれているところが違和感無くストーリーに没頭できる所以なのでしょう。
選曲の本当さ
このコミックで取り上げる曲にしても、素人では絶対に出てこない曲ですし、クラシック好きな人でも、この曲は知らないぞという曲が至る所に出てきます。
音大の試験の曲とかコンクールにおける曲など良く調べて描いています。専門家のアドバイスを受けて描いている事が伺えます。実際に各巻の巻末にお世話になった人達が紹介されています。
タイトルの良さ
『のだめカンタービレ』って聞いただけで何か楽しそうな内容だと思いますよね。そして「カンタービレ」という音楽標語がまた絶妙です。聞いた事がありそうなのに、良く意味を知らない。けれど絶対に悪い意味じゃないって事だけはすぐ分かります。
「歌うように(美しく)」という意味なのですが、全編にわたってこの「カンタービレ」が生きています。「のだめ」の生き方、性格に、この言葉が上手くマッチしています。良く考えられたタイトルです。
音楽への愛情
そして最後は全編を通して流れている音楽に対する愛情です。人の気持ちを突き動かすのは演奏する人自身の問題なんだという本質的な事が全編に溢れています。
その自分の考えを人に伝えるためにはテクニックが必要で、その為に音楽学校があり、先生が必要という事を理解された上で描いている事が良く分かります。音楽には結局演奏するその人が出てくるものです。
物語を理解するための追加情報
ストーリー上で知っておかねばならない情報を挙げておきます。「のだめ」たちが活躍する場面やストーリー上で知らないと分かりにくくなると思われるものを挙げました。
Sオケ
正式名称は「シュトレーゼマン特別編成オーケストラ」。通称Sオケ。シュトレーゼマンが学内を見て人選したオーケストラ。最初は落ちこぼれのオーケストラだったが、「千明」やメンバーの奮闘により良いオーケストラに変身していきます。
Aオケ
桃ヶ丘音楽音大の正規オーケストラ。
R☆Sオーケストラ
ライジングスターオーケストラ。ヴァイオリニストの三木清良と「千秋」の2人が発起人となり、かつてニナ・ルッツ音楽祭で編成されたオーケストラの主要メンバーを中心に新設したオーケストラ。Sオケからも入団した人物がいます。
プリごろ太
作中に登場する世界的人気のアニメ。「のだめ」が大ファンで、「のだめ」はフランス語をフランス語版「プリごろ太」で覚えました。
裏軒
桃ヶ丘音楽大学の裏にある中華料理屋であり、峰龍太郎の父・龍見が経営しています。中華料理屋と言いながら、どんな注文でもこなすなんでも屋です。人気があり、みんなのたまり場になっています。
ヤキトリオ
「のだめ」、黒木、ポールの3人によるトリオ。コンセルバトワールの試験のために結成されたもの。
【第1巻】
ピアノ科音大生「のだめ」こと、野田恵と同じピアノ科の先輩、千秋真一の出会いが描かれています。「のだめ」部屋の汚さはリアル「のだめ」の部屋が実際に汚かった事をそのまま描写したもののようです!
第1巻ストーリー
桃ヶ丘音楽学園ピアノ科3年生の野田恵(通称「のだめ」)は大学の寮に入っている。その隣の部屋がたまたまピアノ科4年の千秋真一(ヴァイオリン、ピアノともプロ並みの腕を持つ天才)の部屋だったところから、この物語がスタート。
「のだめ」の部屋が余りにも汚すぎ、ベランダにも悪臭が漂っているので、千秋が強制的に「のだめ」の部屋の掃除、洗濯をする。
「のだめ」はご飯も千秋に強請るようになり、ずるずると二人の関係が続くようになってくる。千秋は「のだめ」の出鱈目なピアノには、うんざりするが、その才能に少しずつ気付いていく。
世界的な指揮者のシュトレーゼマンが大学で教えるためにやってくる。
第1巻登場曲
のだめ『ピアノソナタ』「清掃」
コミック中だけの架空の音楽。「のだめ」が即興で作った曲。
モーツァルト『2台のピアノのためのソナタ』
千秋の教師が谷岡先生に変わって、初めてのレッスンで「のだめ」と連弾する曲。
ベートーヴェン『ヴァイオリン・ソナタ第5番へ長調』「春」
「峰」の試験曲。ピアノ伴奏を急遽千秋が行う事になり、無事に試験は終わる。
【第2巻】
世界的指揮者シュトレーゼマンと千秋の関係が描かれる回です。一流指揮者の凄さを目の当たりにした千秋はシュトレーゼマンに教わりたくて指揮科への転科願を出しますが・・・。
第2巻ストーリー
千秋がシュトレーゼマンに指揮を教わりたくて、指揮科への転科願いを出すが、なぜかシュトレーゼマンは受け取ってくれない。
ある時「のだめ」がシュトレーゼマンを殴り倒したため、急に千秋がシュトレーゼマンの変わりにシュトレーゼマン・スペシャル・オーケストラ(通称Sオケ)の練習を行なう。しかしオーケストラはまるで言う事を聴いてくれない。
そこにシュトレーゼマンが登場し、指揮を変わる。オーケストラの変化を見た千秋は巨匠の偉大さを知る。千秋はピアノ科のままで、シュトレーゼマンの弟子となる。
第2巻登場曲
ベートーヴェン『交響曲第9番』~第2楽章
Aオケのリハーサル。
ベートーヴェン『交響曲第7番』~第1楽章
シュトレーゼマン・スペシャル・オーケストラ(略してSオケ)の最初の練習曲。
【第3巻】
コントラバス奏者桜ちゃんの物語です。貧乏でバイトに明け暮れていた桜は、実は良家のお嬢ちゃんで・・・。
第3巻ストーリー
コントラバスの桜ちゃん登場の巻。とても貧乏でバイトばかりやっていて、練習が出来ず困っている。見かねた「のだめ」と千秋は桜の家を訪ねる。もの凄い豪邸で、二人とも驚く。
桜の父がとても値打ちのあるヴァイオリンのコレクションをしていたため、お金がなくなっている事が判明。千秋が桜の父を説得し、ヴァイオリンを全て売りさばき、桜は貧乏生活から開放され、ようやく普通の生活に戻る。
シュトレーゼマンがSオケを脱退し、千秋が正式にSオケの正指揮者になる。「定期公演」でSオケは大成功。一方Aオケはシュトレーゼマンが振らず、突然、指揮科の大河内がシュトレーゼマンの代振りをさせられ、歴史的大失敗のコンサートになる。
第3巻登場曲
ベートーヴェン『交響曲第3番「英雄」』
千秋がSオケの副指揮者になり、練習をつける。
【第4巻】
「ニナ・ルッツ音楽祭」の様子が描かれます。「のだめ」は相変わらずドジばかりですが、最後に・・・。
第4巻ストーリー
千秋のパソコンを「のだめ」が作製したフォント「みそ字」に変えてしまって千秋が大激怒する。
シュトレーゼマンのマネージャーが突如ヘリコプターで大学にやってきて、シュトレーゼマンは強制帰国される。しかし、シュトレーゼマンはすぐにまた大学へ戻ってくる。
夏休みにシュトレーゼマンの推薦により、「のだめ」、千秋、真澄、峰が「ニナ・ルッツ音楽祭」に参加する。
第4巻登場曲
ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第2番』
シュトレーゼマンが千秋に課した課題曲。千秋が必死で勉強する。
ドヴォルザーク『交響曲第5番』
二日酔いのシュトレーゼマンに変わり、ニナ・ルッツ・特別編成オケに練習をつける。本番は勿論、シュトレーゼマンが指揮。大好評を得る。
バルトーク 組曲
「のだめ」が音楽祭が終わって皆が帰ろうとしているときに、見事に弾きこなした。皆は誰が弾いたのか知らないまま。
【第5巻】
学園祭の事を描いている巻です。Sオケで「のだめ」が着ぐるみを着て演奏したり、Aオケで千秋がシュトレーゼマンと共演したり・・・。
第5巻ストーリー
大学の試験明け。学園祭でSオケが仮装(みんな紋付羽織姿)で演奏会をして喝采を浴びる(指揮は大河内)。
一方、千秋はAオケでシュトレーゼマンの指揮でラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』を演奏し、大喝采を浴びる。これを聴いた「のだめ」は、この曲を弾きたくなり、一人で練習を始める。
「のだめ」はシュトレーゼマンから「もっと音楽に正面から向き合わないと、本当に心から音楽を楽しめない」といわれショックを受ける。シュトレーゼマンは大学から去り、帰国する。
「のだめ」と千秋が大学の練習室で2台のピアノを使って、ラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』(千秋がオーケストラパート)を演奏する。この演奏を聴いた先生のハリセンが「のだめ」の才能に気づく。
「千秋が飛行機に乗れない理由が明らかになる」。千秋は母の離婚によって、一度日本に帰るが、その飛行機が胴体着陸の事故を起こす。千秋はそれがトラウマとなり、飛行機に乗れなくなっていたのである。
第5巻登場曲
ガーシュイン『ラプソディ・イン・ブルー』
学園祭、ピアノ科もピアニカで参加。「のだめ」はマングースの着ぐるみを着て参加。喝采を浴びる。
ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第2番』
千秋がピアノ、シュトレーゼマン指揮Aオケ。大熱演の演奏で、ブラボーの嵐。
以下の2曲は千秋の回想
ベートーヴェン『運命』
初めて、ヴィエラ指揮のコンサートで聴いた曲。
チャイコフスキー『悲愴』
ヴィエラの指揮で聴いた曲。
【第6巻】
千秋が飛行機に乗れない理由が明らかにされる巻です。「のだめ」もそれを知ってしまいます・・・。
第6巻ストーリー
千秋の叔父(三善武彦)から電話があり、家に行くことになる。「のだめ」も付いていく。叔父は社長で、できれば千秋に会社を次いで欲しいと思っている。千秋の生活費や、学費、生活費も彼が面倒を見ている。
叔父は千秋の飛行機に乗れないトラウマを消そうと、催眠療法の先生を連れてきて、千秋はその療法を試すが、一切効かない。「のだめ」はこの家で千秋が飛行機や船舶に乗れない理由を知る。
第6巻登場曲
エルガー『バイオリンとピアノのためのソナタ』
叔父の家で「のだめ」と千秋で演奏する。この家の家族が集まり、二人の音楽に聞き惚れる。そして家族達が集まり、元のように優しくなる。
【第7巻】
「のだめ」の才能に気付いたハリセン先生は何とか彼女を教えようと画策します。先生も大変なようで・・・。
第7巻ストーリー
「のだめ」の担当がハリセンに変わる。「のだめ」はハリセンが気に入らず、逃げ回る。しかし最後には二人で話し合い、協定書を交わし、ハリセンの元で練習することになる。
最初の練習は、前任者と遣り残した『もじゃもじゃ組曲』第12曲目を完成させること。「のだめ」はハリセンと一緒に作曲に励み、ついに第12曲目「幸せ色の虹」を完成させる。
ニナリッチ音楽祭のメンバー達が集まって、オーケストラを作り、コンサートを行なう話が持ち上がる。オーケストラの名はライジング・スター・オーケストラ(略してR☆Sオーケストラ)と名付けられた。指揮は千秋。千秋は未来への不安を抱えたまま、R☆Sオケの練習に励む。
第7巻登場曲
「のだめ」『もじゃもじゃ組曲』
コミックの中だけに出て来る架空の曲。
【第8巻】
「のだめ」の催眠術で、千秋が何とか飛行機に乗れるようになります。試しに札幌までの飛行機に乗りますが・・・。一方、「のだめ」はコンクールに挑みます。
第8巻ストーリー
R☆Sオーケストラの演奏会が大好評を得る。
「のだめ」が千秋に、懐中時計で催眠術をかける。これが功を奏して、千秋は飛行機に乗ることが出来るようになる。千秋は本当に飛行機に乗れるかどうか、札幌行きの飛行機で試す。どうにかこうにか、無事に札幌に到着し、安心する。
「のだめ」は突然コンクールに出ると言い出し、ハリセンの家で合宿練習に明け暮れる日々を過ごす。
第8巻登場曲
シューマン『マンフレッド序曲』
モーツァルト『オーボエ協奏曲』
ブラームス『交響曲第1番』
R☆Sオケの演奏会
マラドーナ・ピアノ・コンクール(「のだめ」も参加)
シューベルト『ピアノ・ソナタ第16番』
第1次予選
ショパン『エチュード』作品10-4
リスト『超絶技巧練習曲第5番「鬼火」』
第2次予選
ドビュッシー『喜びの島』
第3次予選
【第9巻】
マラドーナ・ピアノ・コンクールで失敗した「のだめ」は田舎に帰ってしまう。そこへ千秋がやってきて・・・。
第9巻ストーリー
マラドーナ・ピアノ・コンクール本選で「のだめ」はストラヴィンスキーの第1楽章の最後、曲を忘れ、適当に作曲してしまう。次の楽章からは立ち直るが、勿論コンクールは選外。
「のだめ」はコンクール後、田舎に帰って、ピアノには一切近づかないし、誰からの電話にもメールにも出ない。そんな「のだめ」を気にして、千秋は福岡の彼女の実家まで会いに行く。
千秋が乗ったタクシーが、散歩していた「のだめ」と偶然すれ違い、二人は久々の再会を果たす。千秋は「のだめ」の家族から大歓迎されて、なかなか帰るに帰れない。
「のだめ」はハリセンの好意でフランスのコンセルバトワール留学を決める。千秋の留学先はオーストリアではなく、パリに決定。「のだめ」、千秋共に同じフランスに留学するようになる。しかも、アパートは千秋の母が所有するところで、2人はまた同じアパートで暮らすことになる。
第9巻登場曲
マラドーナ・ピアノ・コンクール本選
ベートーヴェン『ピアノ・ソナタ第23番作品57「熱情」』
ハリセンの男の弟子が弾いた曲
モーツァルト『ピアノ・ソナタ作品300d』
シューマン『ピアノ・ソナタ第2番』
ストラヴィンスキー『ぺトルーシュカからの3つの楽章』
「のだめ」の弾いた曲
【第10巻】
パリに戻った二人の生活を描いた巻です。フランス語が苦手だった「のだめ」は意外な形でフランス語を学習する・・・。
第10巻ストーリー
千秋、「のだめ」がパリに着いたその日、ヴィエラ指揮のヴェルディのオペラ『オテロ』を一緒に聴く。その夜二人はパリのレストランで食事をする。
コンセルバトワールの試験のときに知り合ったフランス人のフランクが、偶然にも同じアパートに住んでいて、「プリごろ太」の大ファンだった。「のだめ」はビデオのフランス語版「プリごろ太」でフランス語を覚える。
千秋は2週間後の指揮者コンクールのために勉強中。
第10巻登場曲
ラヴェル『鏡』
「のだめ」がパリのアパートに引越して来た日に弾いた曲。
ヴェルディ オペラ『オテロ』
プラティニ国際指揮者コンクール1次予選
15分間オーケストラに練習を着ける。
ベルリオーズ 序曲『ローマの謝肉祭』
ハイドン『交響曲第10番「ロンドン」』
プラティニ国際指揮者コンクール2次予選
課題A「初見演奏」・・・審査員が選んだ曲を、初見で演奏する
課題B「間違い探し」・・オーケストラは8ヶ所故意に書き換えられた楽譜で演奏し、指揮者はその間違いを指摘する
プラティニ国際指揮者コンクール3次予選
持ち時間60分、課題は2曲。
ラヴェル 組曲『鏡』~「道化師の朝の歌」
R・シュトラウス 交響詩『ティル・オイゲンシュピールの愉快ないたずら』
ライバルのジャンの抽選曲
ラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』
R・シュトラウス 交響詩『ティル・オイゲンシュピールの愉快ないたずら』
千秋の抽選曲
【第11巻】
千秋の指揮者コンクールの様子を描いています。果たして千秋の結果は・・・。
第11巻ストーリー
プラティニ国際指揮者コンクール本選に千秋とジャンと片平の3人が残る。持ち時間90分で非公開リハーサル、その夜コンサート本番。コンクールは千秋が第1位を獲得し終了する。
シュトレーゼマンはその知らせを聞いて、マネージャーを使って、強制的に自分と同じ事務所に契約させる。千秋は、また、シュトレーゼマンの弟子になる。
シュトレーゼマンと千秋は世界を回る公演に旅立つ。その公演の途中、シュトレーゼマンが急病になり、千秋が代振りし、指揮者デビューする。
「のだめ」は、いよいよ、コンセルバトワールの授業が始まる。アナリーぜの講義に全く付いていけず、ショックを受ける。フランス語も全くわからなく撃沈。
第11巻登場曲
プラティニ国際指揮者コンクール本選
本選1曲目「審査員指定」課題曲(3人共演奏する)
バルトーク『舞踏組曲』
チャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲』
千秋が本選で指揮した曲
スカルラッティ『ピアノ・ソナタ K525(L188)』
「のだめ」初見の授業で使われた曲
リスト『超絶技巧練習曲第1曲「前奏曲」』~2、5、10番
「のだめ」シャルル・オクレールの最初の授業の曲
【第12巻】
千秋正式に指揮者デビュー。「のだめ」とのデートも・・・。
第12巻ストーリー
千秋の正式パリデビューは華々しく終了。オーケストラはコンクール優勝時のウィルトール交響楽団。
久しぶりにアパートに帰ってきた千秋は、「のだめ」と息抜きにオルセー美術館に出かける。
オーボエの黒木がコンセルバトワール留学していた。「のだめ」、千秋と久々の再会をする。千秋はオランダのオケに呼ばれ、オランダに出発する。「のだめ」は対位法とか勉強しないといけないとようやく気付く。
第12巻登場曲
ラヴェル『マ・メール・ロア』
武満徹『遠い呼び声の彼方へ』
シベリウス『交響曲第2番』
千秋のパリデビュー曲
バッハ『平均律クラヴィーア曲集第2巻』~第14番
「のだめ」オクレール先生の授業
【第13巻】
千秋は「のだめ」の成長ぶりに驚きます。そして自分にも常任指揮者の話が・・・。
第13巻ストーリー
パリ留学後、初めてのノエルの日。「のだめ」はリュカに頼まれて、教会の寸劇にロバの役で出る。黒木も「のだめ」に頼まれて、一緒にロバの足役で出演する。
その頃、千秋はアパートに帰ってくるが、アパートの住人は誰もいない。本当は「のだめ」に会いたくて、帰ってきた。
外出した千秋は、偶然、教会から帰ってきた「のだめ」と出会う。二人は喧嘩を始めるが、千秋が折れて、仲直りをする。二人でアパートに戻り、千秋は「のだめ」のピアノを聴く。久しぶりに聴いた「のだめ」のピアノ、千秋はその成長ぶりに感心する。
千秋はマネージャーから突然、「ル・マルレ」(以下マルレ・オケ)の常任指揮者就任の話を聞かされて驚く。「のだめ」と千秋はどんなオケかマルレ・オケを二人で聴きに行く。
千秋は常任指揮者になるマルレ・オケが大変ひどい状況であることを知り、愕然とする。楽員達が大量に辞めて、エキストラを入れないと、コンサートも開けない状態であった。
別の日、千秋はピアニストのRuiと出会う。Ruiは母の反対を押し切り、勉強のためにパリにやってきたことを話す。
千秋は、急に、マルレ・オケを指揮することになる。ゲネプロでチェレスタとトライアングルの奏者が足りなくて、急遽奏者を探し回ることになる。
第13巻登場曲
リムスキー・コルサコフ『スペイン奇想曲』
「のだめ」と千秋がマルレ・オケを聴きに行った日の曲
デュカス 交響詩『魔法使いの弟子』
千秋、マルレ・オケ
【第14巻】
千秋は常任指揮者になったマルレ・オケのレヴェルの低さに嘆き、新団員の募集を行う。旧友の黒木も現れて・・・。
第14巻ストーリー
千秋にチェレスタの代役を頼まれた「のだめ」は、マルレ・オケの楽屋口で、偶然Ruiに出会う。オケの人たちは、千秋がRuiにお願いしたと思い込み、結局「のだめ」に変わり、Ruiがチェレスタを演奏することになる。
マルレ・オケ本番。エキストラが多く、最低のコンサートになり、千秋はとても落ち込む。
Ruiの母が突然アメリカからやってきて、Ruiを強引にアメリカに連れ帰る。
千秋は、偶然、オーボエ奏者の黒木と再会。二人で、松田指揮のルセール管弦楽団のコンサートを聴きに行く。
千秋はマルレ・オケのライブラリアンのテオに呼び出されて、レンタルパート譜の書き込みを消す仕事と、ボーイングの書き写しを頼まれる。常任指揮者がやる仕事ではないと思いながら、結局徹夜してやり終える。マルレ・オケは団員の募集を行なう。
徹夜で帰った千秋の部屋に「ヤキトリオ」(「のだめ」、黒木、ポール)が来て、コンセルバトワール演奏試験の曲を聴いてもらう。千秋は黒木の才能に興味を示し、マルレ・オケのオーディションを受けて欲しいと頼む。ポールもその話に興味を示す。
「のだめ」はオクレール先生の紹介で、教会のリサイタルに行くことになる。千秋は中古車を買う。
第14巻登場曲
プーランク『ピアノ、オーボエとバソンのための三重奏曲』
「ヤキトリオ」が千秋の部屋で弾いた曲
ショパン『練習曲(エチュード)』10-2
モーツァルト『ピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲付き」』
ドヴュッシー『12の練習曲「半音階のための」』
「のだめ」コンセルバトワール試験曲 何とか「トレビアン」をとる
【第15巻】
ブノワ家の演奏会の話。「のだめ」はモーツァルト時代の服装で演奏します。千秋はオケのオーディションで多忙中・・・。
第15巻ストーリー
「のだめ」、千秋、ターニャは、千秋が運転する車で、「のだめ」がオクレール先生に紹介された、サン・マロのブノワ城に向かう。黒木とはサン・マロで落ち合うことになっている。
途中、寄り道をしながら、ブノワ家の城に到着する。昔ながらの物凄い城で皆驚く。城主ピエール・ブノワはモーツァルトが大好きで、モーツァルト時代の衣装で皆を歓迎する。「のだめ」はすぐに練習を始める。
夕食は、城主ブノワがモーツァルトについて話続ける。こんな贅沢な城だから、さぞや凄い夕食を期待していたが、質素すぎる夕食にみんながっかるする。その夜、千秋は「のだめ」の要望に答え、モーツァルトの書簡集を読んで聞かせる。
リサイタル当日、「のだめ」のドレスのファスナーが壊れる。そこで「のだめ」はブノワから借りた衣装(モーツァルトの時代の)で演奏する。リサイタルは大好評を得て終わる。
戻った千秋には、マルレ・オケのオーディションの仕事が待っていた。1日目・・弦楽器セクション 、2日目・・木管楽器セクション。黒木も受ける。ファゴットと断ったオーディションにも拘わらず、バソンのポールもオーディションを受ける。
第15巻登場曲
モーツァルト『ピアノ・ソナタK.376』
サン・マロのブノワ城に着いて「のだめ」がすぐに練習した曲
モーツァルト『キラキラ星変奏曲』k265
モーツァルト『ピアノ・ソナタ第18番』k576
リスト『波の上を歩くパラオの聖フランチェスコ』2つの伝説no.2
ラヴェル『水の戯れ』
シューベルト『ピアノ・ソナタ第16番』D.845
「のだめ」、教会での初リサイタル
モーツァルト『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』
モーツァルト『オーボエ四重奏曲K370』
モーツァルト『ピアノ・ソナタ第8番K310』
千秋、ターニャ、黒木も加わり、当時の衣装で演奏させられる。
【第16巻】
千秋はオケのオーディションも終了し、常任指揮者就任コンサートのために張り切ります・・・。
第16巻ストーリー
マルレ・オケのオーディション 。バソンのポールに、コンマス、千秋ともにOKを出す。千秋は、マルレ・オケの練習回数を増やし、常任指揮者就任初公演に備える。
千秋リハーサル・・・鬼の千秋の練習が蘇る。オーケストラにはオーディションで選ばれた、優秀な演奏者も入っている。
コンマスも今回の演奏会には、力が入っていて、パート練習を行なう(皆が嫌がっているにも拘らず)。黒木はオーボエの2番奏者に頼まれ、子供のベビーシッターをする。
一人暮らしの黒木は「のだめ」たちのアパートで、その子を見てもらう。そこに千秋が帰ってきて、皆で夕食を食べる。子供は大喜び。ターニャはコンクールに出る決心を固める。
ピアニストのRuiがまたパリに来て、オクレール先生の個人授業を受ける。
第16巻登場曲
ロッシーニ『ウィリアム・テル』序曲
ブラームス『ハイドン・バリエーション』
マルレ・オケ定演曲
【第17巻】
千秋は常任指揮者就任コンサートを成功させます。しかし、次の定期演奏会で偶然客席に反目している父の姿を発見して・・・。
第17巻ストーリー
マルレ・オケ常任指揮者就任記念定演は成功裡に終わる。千秋はオーケストラの練習に専念するため、アパートをしばらく離れる。
「のだめ」はコンクールに出たい事をオクレール先生に打ち明けるが、先生からはまだ許可されない。
千秋はニナ・ルッツの家でバッハの練習をする。次の定演で、千秋はバッハ演奏後、客席に父を発見する。この事で、千秋は集中が途切れてしまい、最後のベートーヴェンの交響曲を上手く振れなくなってしまう。
コンマスがいち早くその事態に気づき、演奏はオーケストラの助けを借りて、無事に終了する。
公演終了後、千秋は父の事を思い続け、「のだめ」と喧嘩する。後日、「のだめ」は千明の父、雅之のピアノリサイタルを聴きに行く。千秋はあのコンサート以来、ずっと機嫌が悪い。
第17巻登場曲
ニールセン『交響曲第4番「不滅」』
マルレ・オケ就任記念定演 最終曲
チャイコフスキー幻想序曲『ロメオとジュリエット』
バッハ『ピアノ協奏曲第1番』
ベートーヴェン『交響曲第4番』
マルレ・オケ定演
バッハ『パルティータ第2番』
ブラームス『ピアノ小曲集作品118』
ベートーヴェン『ピアノ・ソナタ第32番』
千秋雅之リサイタル
【18巻】
千秋はアパートを移る決心をします。そして、子供の頃から憧れのヴィエラ先生と偶然会います・・・。
第18巻ストーリー
千秋はアパートを移る決心をする。
「のだめ」はサロンコンサートに出演を依頼される。
千秋の母が突然日本から千秋たちが住んでいるパリのアパートへやってくる。同じアパートに住んでいるヤドヴィも彼女の歓迎パーティーに顔を出す。
Ruiは相変わらずコンセルヴァトワールで勉強し、オクレール先生には個人レッスンを受けているが、先生とは余りよくいっていない。
そんな時ににアメリカからRuiの母がやってくる。コンサートオファーが沢山来ているから、どれかに出るようにとRuiに迫る。Ruiはアパートを飛び出し、千秋に連絡を取って、夕食を一緒に食べる。
アパートに戻ってきたRuiは母に千秋と協演したいと打ち明ける。母は了承し、アメリカに帰国する。
「のだめ」サロンコンサートの日、千秋は地下鉄のストライキでバスで行こうとするが、バスの中で偶然ヴィエラ先生と出会う。先生に練習を見に来ないかと誘われ、千秋は先生について行く。
第18巻登場曲
バッハ『イタリア協奏曲』
メンデルスゾーン『無言歌集』
ショパン『幻想ポロネーズ』
リスト『2つの伝説「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」』
イサーク・アルベニス『イベリア組曲』
「のだめ」サロンコンサート
【第19巻】
日本から清良の応援に峰がやってきます・・・。
第19巻ストーリー
千秋と「のだめ」はサルバドーレ・リッピ追悼演奏会を聴く。千秋はその演奏に刺激を受ける。
「のだめ」と千秋は、シュトレーゼマンを見舞いにウィーンに行くが、シュトレーゼマンは既にウィーンにはいなくなっていた。日本へ行った模様。
仕方が無いので、「のだめ」たちは、ウィーンに住む清良の案内で、名所を見て回る。
ターニャとユンロンは、コンクールを受けることをみんなに発表し、勉強に励む。峰が清良のコンクールを応援にパリにやってくる。カントナ国際コンクール、一次試験、清良とターニャは通過、ユンロンは落選する。
第19巻登場曲
カントナ国際コンクール 一次試験
イザイ『ヴァイオリン・ソナタ第6番』
清良が弾いた曲
バッハ『平均律クラヴィーア第1巻』~22番
ショパン『バラード第4番』
ターニャが弾いた曲
バッハ『平均律クラヴィーア第2巻』~4番
ベートーヴェン『ピアノソナタ第17番「テンペスト」』~第1楽章
ショパン『スケルツォ第1番』
ユンロンが弾いた曲
【第20巻】
カントナコンクールの模様を描いています・・・。
第20巻ストーリー
カントナ国際コンクール、二次試験に清良は通過するが、ターニャは落選する。本選で清良は第3位に入選する。
千秋はRuiとラヴェルの『ピアノ協奏曲』をやることが決定する。千秋は「のだめ」のピアノ練習を見てやる。
第20巻登場曲
カントナ国際コンクール 本選
ベルク『ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」』
清良の弾いた曲
ショパン『ピアノソナタ第3番』
ベートーヴェン『ピアノソナタ第31番』
「のだめ」が練習で弾いた曲
【第21巻】
千秋とRuiがラヴェルのピアノ協奏曲を演奏します。それを聴いて「のだめ」は・・・。
第21巻ストーリー
「のだめ」はオクレール先生に「ベーべ」と呼ばれていたが、初めて「めぐみ」と呼ばれ「もうベーべじゃ無い」と浮かれる。
千秋はRuiの部屋でラヴェルの『ピアノ協奏曲』を聴く(演奏会の個人的リハ)。「のだめ」達は千秋とRuiのコンサートを聴きに行く。オクレール先生も聴きに来ていた。「のだめ」は大感激する。「楽しい」が凄かったです・・・「のだめ」感想。
自分がやりたかった演奏をRuiにやられてしまい、また暗い「のだめ」になる。その時「のだめ」の前にシュトレーゼマンが現れる。
シュトレーゼマンは「のだめ」の愚痴を聞いてやり、最後に「のだめ」のピアノを聴く。シュトレーゼマンは「のだめ」と共演するため、突然自分のコンサートの曲目を変更する。
第21巻登場曲
モーツァルト『交響曲第31番「パリ」』
マルレ・オケ定期
ベートーヴェン『ピアノソナタ第31番』
「のだめ」オクレール先生との授業
黛敏郎『舞楽』
ラヴェル『ピアノ協奏曲』
ムソルグスキー(ラヴェル編)『展覧会の絵』
千秋、Rui、マルレ・オケ定期
【第22巻】
「のだめ」はシュトレーゼマンの指揮で突然デビューするが・・・。
第22巻ストーリー
「のだめ」は突然皆の前からいなくなり連絡も取れなくなって大騒ぎになる。千秋は心配になり仕事にも身が入らない。
「のだめ」はロンドンでシュトレーゼマン指揮の元、デビュー公演を行う予定。千秋はマネージャーからの電話でそれを知りロンドンへ駆けつける。
そして「のだめ」の演奏を聴く。演奏が終わって、千秋が「のだめ」の楽屋を訪ねるが会おうとしない。
「のだめ」はもう自分のやりたいことをやり切った事で、抜け殻のようになってしまう。千秋はそれ以降「のだめ」と連絡が取れなくなって、ますます仕事が疎かになる。
「のだめ」はシュトレーゼマンたちの前からも消えてしまう。「のだめ」はエジプトを観光していた。
第22巻登場曲
「のだめ」ロンドンデビュー公演
モーツァルト歌劇『ドン・ジョバンニ』序曲
ショパン『ピアノ協奏曲第1番』
「のだめ」はリハーサルと全く違う演奏をするが、シュトレーゼマン/オーケストラはそれに合わせて無事に終わる。
ブラームス『交響曲第4番』
【第23巻】最終章
本編最終話です。様々な登場人物たちのそれぞれの世界が描かれます。最後はまたブノワ家の演奏会。「のだめ」は聴衆に「楽しく弾くので、頑張って聴いて下さい」といったところで終了です。
第23巻ストーリー
千秋の父、雅之はヴィエラに騙され、悩んでいる千秋と会う。久しぶりに親子対面し、「のだめ」の将来について話し合う。
アパートのみんなはコンセルヴァトワールの試験が終わって晴々しているところに、「のだめ」が帰ってくる。アパートに住んでいるヤドヴィと二人で、めちゃくちゃにはしゃいで打楽器を叩きまくる。
黒木はまたベビーシッターを頼まれ、今度は二人の子供を連れて来る。「のだめ」が帰ってきた事に皆が気付き、大騒ぎとなる。「のだめ」は黒木が連れてきた二人の子どもと遊んでやる。
千秋は傷心のままブラジルへ仕事に行く。「のだめ」が帰ってきたとの連絡を受けほっとする。
黒木はまた5人のベビーシッターを頼まれ、「のだめ」たちのアパートへ連れて来る。「のだめ」はその子たちの世話をする。「のだめ」はその子らの前で、ベートーヴェンを弾く。
ブラジルから帰ってきた千秋がたまたま部屋の外でその曲を聴いて、思わず涙を流す。そして「何度でもあいつをあの舞台へ連れて行きたい」と思う。
千秋は部屋に入り、「のだめ」に一緒に共演を迫るが、「のだめ」はOKしない。千秋は無理やり「のだめ」をニナ・ルッツのアパートへ連れて行く。学生の頃、最初の授業で二人で弾いたモーツァルトを演奏する。二人は今までの事を色々思い出し、自然と抱擁しあう。
「のだめ」はまたコンセルヴァトワールに通いだす。試験は終わっていてしまっていたので、9月の追試を目指す。そこでオクレール先生から、昨年行ったブノワ家からコンサート依頼が来ている事を告げられ感激する。
ユンロンは中国へ帰国。アパートには新しい住人(皆音大生)が入ってくる。ターニャは室内楽のクラスへ。フランクはフォンテーヌ音楽祭でRuiと競演の予定。
マルレ・オケは相変わらず貧乏オケで、辺鄙な小さな音楽祭など、どんな仕事でも請けている。
黒木はミュンヘンのコンクールへ出る(ターニャの伴奏)。2人は既にお互いを意識しあう仲となっている。
「のだめ」はようやく演奏会(ロンドン響とか世界の有名オケ)の仕事を請けるようになる。
1年ぶりのブノワ家。そして教会のコンサート。「のだめ」は去年を思い出すように「モーツァルトの当時の衣装」を着て、聴衆の前に出る。
「のだめ」のシュトレーゼマンとやったコンサートの評判を聞いて、昨年より聴衆が多い。「のだめ」は聴衆に向かって「楽しく弾くので、頑張って聴いて下さい」と挨拶する。
第23巻登場曲
ダウリス・ミヨー『「スカラムーション」サクソフォンと管弦楽のための組曲』
千秋ブラジル公演の1曲
ベートーヴェン『ピアノソナタ第31番』
「のだめ」が子供たちの前で弾いた曲
モーツァルト『二台のピアノのためのソナタK448』
「のだめ」と千秋が連弾した曲
***** これにて本編終了! *****
第24巻 アンコール オペラ編
設定が日本での市民オペラ公演『魔笛』の舞台をやり遂げるまでを描いています。しかし、それまでには様々な困難が・・・。
第24巻ストーリー
千秋の元へ日本の峰からR☆Sオーケーストラでオペラ(モーツァルト『魔笛』)をやるから指揮しないかと連絡が入る。千秋は厳しいスケジュールの中、すぐにその話を受ける。歌手は主役以外は全てオーディション。物凄く癖のある人間ばかり集まる。
「のだめ」もコンセルヴァトワールを卒業して、日本に帰ってくる。日本ではリサイタルを開く予定がある。黒木もターニャを連れて日本へ帰ってくる。コンクールで入賞し、来年からはマルレ・オケを止め、ドイツのオケに入団することが決定している。
千秋はオケの練習中、集まったメンバー達の顔を見てこれまでの事を振り返り色々と思いにふける。
オペラの練習 、1:「音楽稽古」・・・コレペティトゥール(歌唱指導者)の元、歌手は自分の役の歌詞や音楽を理解する。2:「立ち稽古」・・・演出家が演技指導して、キャラや立ち位置、動きの確認などを行なう。3:「オケ合わせ」。しかし、大河内が勝手に練習を付け、全てぶち壊しになる。
大河内の練習を全て白紙に戻し、千秋が歌手たちに一から練習を付ける。演出の峰はなかなか歌手たちに評価して貰えないが、千秋のアドバイスを受け何とか演出の役をこなしていく。
千秋のマネージャーがやって来てスケジュール表を渡す。凄い強行日程で、ヴィエラ先生とオペラの勉強が出来ないと反論するが、マネージャーに打っちゃられる。
「のだめ」はパリ管やフィラデルフィア管などの一流オケのオファーを受けている事をマネージャーが話す。千秋は初めて「のだめ」に先を越された事を実感する。千秋は仕事のため一旦日本を離れるがすぐに再来日する。
第24巻登場曲
モーツァルト歌劇『魔笛』
R☆Sオケ オペラ公演
第25巻 アンコール オペラ編2
これが本当に「のだめ」の最終エピソードです。『魔笛』公演は何とか無事に成功します。そして、「のだめ」と千秋は・・・。
第25巻ストーリー
「のだめ」日本での初リサイタルを行なう。三善家が「のだめ」の日本でのデビューパーティーを開いてくれる。
一方、千秋が指揮するオペラのオケの練習が再開。千秋はまた仕事のため日本を離れるが、その間の練習を片平夫婦に任せる。千秋が戻ってきてハウプトプローヴェ(オケ伴奏の通し稽古)。千秋は本番に間に合わないとあせるが、R☆Sオケの変なエネルギーに引っ張られて練習をこなす。
オペラ「魔笛」本番。グロッケンシュピールはこっそりと「のだめ」が弾いている。千秋はそれを見て安心する。一番問題だったパミーナの独唱も上手く行く。千秋は「のだめ」の鈴の音が奇跡を起こさせてくれているように感じながら指揮を続ける。公演は大成功に終わる。
公演の帰り道、千秋は「のだめ」の薬指に指輪をはめる。
第25巻登場曲
モーツァルト『ピアノソナタ第13番』
ドビュッシー『前奏曲集第1集』~「音と香りは夕暮れの大気に漂う」「亜麻色の髪の乙女」
ショパン『ピアノソナタ第3番』
「のだめ」日本リサイタル
ショパン『エチュード』「黒鍵」
ジョプリン『メープルリーフ・ラグ』
サティ『ピカデリー』
ドビュッシー『ゴリウォークのケークウォーク』
ガーシュイン『3つのプレリュード』
「のだめ」日本リサイタルのアンコール
モーツァルト歌劇『魔笛』
R☆Sオケ オペラ公演
***** 以上で物語は全て終了! *****
まとめ
『のだめカンタービレ』単行本を簡単に1巻ごとに見てきました。ストーリーもなるべく簡潔に書いたつもりですが、分かってもらえると嬉しいです。
曲については出て来た曲目を各巻毎に全て載せたつもりです。抜けてる曲は無いと思いますが、これだけ調べたのですからもしあってもお見逃しください。
こうして見返すと、いかにもオーケストラの定期演奏会でやっていそうな曲やコンクールで課されるであろう曲など、良く吟味されて書かれている事が分かります。
『のだめカンタービレ』は我々クラシック愛好家のみならず、多くの人の楽しめるコミックとして人気を博しました。不朽の名作として今後も読み継がれて行く事でしょう。